新新薬品工業(富山市)と富山大学が、芍薬(シャクヤク)のエキスを用いて、抗がん剤による手足の痛みやしびれを和らげる塗り薬の開発に乗り出しているようです。

年齢を積み重ねていくと、自分の身の周り(身内・友人)において、少しずつですが病気を発症したという情報が入ってくるようになってきています。

病気の中でも「癌」については、身内の経験者がいるので、抗がん用の薬を飲んだ後の身体の辛さ(手足の痺れ等)についての情報にもたまに触れることがあります。

このような後遺症を、ハーブの力で癒すことができればいいなあと思っていたのですが、まさにそれに該当するニュースが入ってきましたのでご紹介します。

抗がん剤の痛み、富山の漢方で緩和 新新薬品工業と富大

2019/08/11 02:08
医薬品メーカーの新新薬品工業(富山市)と富大大学院医学薬学研究部は、抗がん剤による手足の痛みやしびれを和らげる漢方エキスを用いた塗り薬の開発に乗り出した。「末梢(まっしょう)神経障害」と呼ばれる副作用は、既存の鎮痛薬でも効果が少ないケースが多く、医療現場で課題となっている。皮膚から患部に直接、浸透させる塗り薬は副作用も少なく、早期の製品化を目指す。

薬の開発には、筋肉が急激に収縮して痛む「こむら返り」に効くとされ、飲み薬として商品化されている漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」のエキスを用いる。新新薬品工業は既に、芍薬の主成分である「ペオニフロリン」を使用し、皮膚になじみやすいゲル状クリームの試作品を完成させた。

富大大学院医学薬学研究部はこの試作品を使い、抗がん剤「パクリタキセル」を投与して末梢神経障害に陥ったマウスの皮膚に塗ったところ、後ろ足をなめるなど痛みに伴う行動が激減することが分かった。

新新薬品工業は今後、薬効を最大限に高めるために最適なペオニフロリンの濃度を検証する。皮膚に塗った際のアレルギー反応の有無も調べ、2026年までの承認申請を目指す。

新新薬品工業によると、これまで抗がん剤による末梢神経障害の治療薬はいずれも飲み薬で、局所の治療に有効な塗り薬は開発されていない。薬が飲み込みにくい嚥下(えんげ)障害の患者にも使用できるほか、薬を皮膚に揉み込むようにして塗ることで痛みを和らげる「タッチ・セラピー」の効果も期待できるという。

新新薬品工業の濱田和紀開発部技術開発グループリーダーは「塗り薬なら薬用量の調節も容易になる。がん治療と闘う患者の福音となる新薬を富山から生み出したい」と話している。

北國新聞の2019年8月11日の記事(https://www.hokkoku.co.jp/subpage/TH20190811411.htm)より抜粋

このような取り組みは、とても心地よい気分になり、心から応援したくなります。

この塗り薬の開発に使われる芍薬(シャクヤク)については、昨日ご紹介したニホンドウ漢方ミュージアム内の漢方ギャラリー内で展示されていました。

(五味)苦・酸 (五性)微寒  (帰経)肝・脾  (起源)ボタン科シャクヤクの根  (応用)補血調経・・・生理不順   養陰柔肝・・・脇痛、自律神経失調症

生薬としての芍薬(シャクヤク)についての説明は、日本漢方生薬製剤協会のページが充実しているので以下に貼ります。

シャクヤク (芍薬)
「立てば芍薬,座れば牡丹」とは,花の美しさに擬えたばかりでなく,芍薬や牡丹を薬として服用すれば,女性ホルモン分泌を整え,肌も美しく艶やかになるということが秘められている.その花の様子や美しさが「婥約」(姿がしなやかで美しいの意)としている.つまり,きわめて美しく麗しいことからきた名称である. <「生薬単」より>

原植物
1.原産地又は分布
原産地は中国北部で,東シベリアから中国北部に分布する.
2.植物形態
草丈50 ~ 80 cm.根は狭紡錘形か円柱状に肥厚する.茎は数本が直立して無毛.葉は互生し,1 ~2回3出羽状複葉で小葉は皮針形から卵形で,ときに2~3裂する.花期は5月.茎の頂きに紅色,白色など多種の大形花を1~3個つけ,しばしば重弁となる.

生薬
1.基原
シャクヤク Paeonia lactiflora Pallas (ボタン科 Paeoniaceae) の根を乾燥したもの.
2.産地
日本(北海道,奈良県,群馬県等) 中国(安徽省,四川省等)
3.生薬の性状
本品は円柱形を呈し,長さ7~20cm,径1~2.5cm,外面は褐色~淡灰褐色で,明らかな縦じわ及びいぼ状の側根の跡と横長の皮目がある.横切面は緻密で淡灰褐色を呈し,木部は淡褐色の放射状の線がある.本品は特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後に渋くて僅かに苦い.
4.成分
モノテルペン配糖体:ペオニフロリン(paeoniflorin),アルビフロリン(albiflorin) 等.
その他安息香酸,ガロタンニン等
5.日局17 規格値
ペオニフロリン 2.0%以上
純度試験 (1)重金属  10 ppm以下
(2)ヒ素  5 ppm以下
乾燥減量 14.0 %以下(6時間)
灰分 6.5 %以下
酸不溶性灰分 0.5 %以下
6.適用
鎮痛鎮痙薬,婦人薬,冷え症用薬,かぜ薬,皮膚疾患用薬,消炎排膿薬とみなされる処方に配合されている.
7.配合される主な漢方処方
温清飲,黄耆建中湯,葛根湯,桂枝湯,桂枝茯苓丸,柴胡桂枝湯,四物湯,芍薬甘草湯,十全大補湯,小建中湯,小青竜湯,加味逍遙散,当帰建中湯,当帰芍薬散,薏苡仁湯 等

日本漢方生薬製剤協会のホームページより一部抜粋

※全文は以下からご確認ください。

以上の説明を見る限り、芍薬は自律神経に働きかけるのが特徴的なのが伝わってくるので、冒頭の記事の中での「末梢神経障害」に適用するのは合理的な感じがします。

この開発がうまく行った場合でも、市場に出回ってくるのは2026年以降ということだとおもいますので、まだ先の話になりますが、開発の経過についてはアンテナを張っていきたいと思います。

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