ロシア人の視点で書かれたハーブの記事は新鮮でした、というお話

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10月中盤に突入し、外気温も一段と冷え込んできて、少しずつ冬の足跡が聞こえてくるような季節になりました。

ちょうど2、3日前から私の住んでいる神奈川県も雨がずっと降っていて、冷え込みも一層強く感じます。天気予報によるとこの先一週間ほど、雨か曇りですね。衆議院選挙まで1週間ですが、選挙の前ってなぜか天気が安定しない気がしますが気のせいでしょうか。。

冷え込みが徐々に強くなってきているなか、「Russia Beyond(ロシア ビヨンド)」というメディアの中で「体を温めるハーブ茶の野草5種」という記事を”アレクサンドラ・クラフチェンコ”という方が投稿しているのを見ました。

※この「Russia Beyond」は、ロシアの事を”文化・ロシア料理・歴史・科学技術・ビジネス・教育・ライフ・旅行”のカテゴリーで世界に発信しているメディアのようです。

この記事は、ロシア人がハーブとどのように付き合ってきたかが書かれてあり、私にとっては新鮮な内容でした。「体を温めるハーブ茶の野草5種」というキーワードが今の季節に適していることもあり、ここで紹介されている5種のハーブについて紹介します。

予め書いておきますが、身体を温めるハーブが紹介されていることではなく、ハーブティー自体が身体を温める前提で書かれている記事でした。

よくよくタイトルを見ると”体を温めるハーブ茶の”なので、間違ったタイトルではなかったです。ただ、ロシア人の視点でハーブのことが書かれているので、情報として面白い内容です。

ヤナギラン(Chamerion angustifolium)

 昔の人が何の病気にかかっても飲んでいたほど、体に良い成分がたくさん含まれている。もちろん、体の調子が良い時だって、普通に飲んでいた。ヤナギラン茶は、解熱効果と強力なエネルギー効果を有し、癌の発症のリスクを減らし、デトックスし、頭痛を和らげるということが、今日、科学的に証明されている。

20世紀初め、ロシアは世界各地にヤナギランを輸出し、好評を博していた。19世紀後半、当時の有名なチベット医学および薬草医学の医師ピョートル・バドマエフは、ヤナギランを中心とした薬草のみを用いた治療を行う診療所を開設した。皇帝アレクサンドル3世、クロンシュタットのイオアン長司祭、外国の富豪などが、受診のためにここを訪れていた。バドマエフ医師は、異なる病気の予防策としてヤナギランを飲み、109歳まで生きた。20世紀初めにはレニングラード(現サンクトペテルブルク)郊外のコポリエ村にヤナギラン研究センターが開設され、赤軍用にヤナギランが生産されていた。独ソ戦でレニングラードに接近したナチスドイツは、センターを破壊した。一説によれば、ヒトラーがソ連軍の強さの秘訣をヤナギランだと考えていたため。

今日、包装されたヤナギランを一般の食料品店で購入できる。ロシアでどんな土産を買っていいかわからないという人には、良い選択肢になる。

どんな風に飲めばいいのだろうか。紅茶と同じように、ティーポットに入れて熱湯を注ぎ、10~15分置く。好みでミントやレモンの葉を加えても良い。ティーポットに入っている同じヤナギランに、5回熱湯を注ぐことができるのが特徴。体に良い成分は失われず、また浸水状態で3日ほど保存可能。
※Russian Beyondより、一部抜粋

面白い情報です。戦時中にドイツ軍が、ヤナギラン研究センターを意図的に破壊するとは、、ヤナギランの効能は強そうです。

以下は、ヤナギランの日本における群生地です。

田中澄江が『花の百名山』の著書で霧ヶ峰を代表する花の一つ、「新・花の百名山」で蓼科山を代表する花の一つとして紹介した。尾瀬沼の畔の大江湿原の北川にあるこんもりとした丘が『ヤナギランの丘』と呼ばれている。群馬県片品村の武尊牧場の群生地では、夏期に「ヤナギランまつり」が開催されている。野沢温泉スキー場の標高1,450 mの上ノ平高原では、夏期に30,000株のヤナギランの花が咲き「ヤナギランガーデン」と呼ばれている。
※Wikipediaより

オトギリソウ(Hypericum)

 オトギリソウは、黄色い花をつける植物。中世ロシアでは、畑で作業をした後の疲労回復に、広く使われていた。腎臓や胃腸系の疾患、血管攣縮、風邪などに効くとされ、飲まれていた。コサックは、ケガ、掻き傷を治すのに使っていた。ロシア語の名称は「ズヴェロボイ」で、「傷を治す」を意味する「ジェッラ・バイ」という言葉からきている。

オトギリソウについての最初の記述は17世紀のもの。ロマノフ朝の最初のツァーリ、ミハイル・ロマノフの命令で、シベリアから宮廷へと搬入された。そして、医師の処方箋にオトギリソウが記されることが増えた。とはいえ、体に良いということは、17世紀よりはるか前から民衆の間で知られていたようだ。

オトギリソウは毒草でもあるため、これだけを茶にすることはなく、薬草医学の専門家によれば、オトギリソウ小さじ1杯と、蜂蜜、ミント、菩提樹の花、乾燥オランダイチゴを一緒に淹れると良いという。
※Russian Beyondより、一部抜粋

セントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)のことを”ヒペリカム(Hypericum)”という言い方をするひともいますので、上記はセントジョンズワートを指していると思います。

JAMHA(日本メディカルハーブ協会)のハーバルセラピスト養成講座では、セントジョンズワード(うつの症状を抑えるハーブ)を扱いますが、セントジョンズワート(学名:Hypericum perforatum)の和名は、セイヨウオトギリソウです。

ヒペリカムというのは属名で、アメリカ等ではヒペリカム属全体をセントジョーンズワートと呼ぶようで、一番ハーブとしてポピュラーなヒペリカムは、Hypericum perforatum みたいです。

ややこしいですが、”ハーブとして”ヒペリカムが紹介されている場合は「セントジョンズワート=ヒペリカム=オトギリソウ」と捉えて問題ないと思います。

シモツケソウ(Filipendula)

 シモツケソウの茂みはとても美しく、良い香りがするため、素通りする薬草医学の専門家はいないだろう。甘すぎるほどの甘みのあるシモツケソウ茶は、強い痛み、胃潰瘍、下痢、吐き気、リウマチ、痛風、発熱を緩和する。現代医学では、脳卒中後の状態で血栓の形成を防ぐために使用されている。

当初、スキタイ人とケルト人の儀式の植物として知られていた。スカンジナビア諸国では大昔、どこにでも生育するシモツケソウをアルコールの芳香化に使っていた。ルーシでは、鎮痛剤や薬として使うようになった。

 19世紀、ドイツの医師は、シモツケソウの葉から鎮痛成分のアセチルサリチル酸を合成することに成功した。これがアスピリンの発明であり、名前はシモツケを意味するSpiraeaからきている。

シモツケソウ茶は香りが強く、とても甘いため、甘党でなければ飲むことはできない。ミント、スグリの葉、またはラズベリーとよく合う。
※Russian Beyondより抜粋

あれれ? ここに出てくるアスピリンの発明の部分ですが、JAMHAのハーバルセラピスト養成講座の中では、セイヨウシロヤナギやメドースイート(セイヨウナツユキソウ)から取り出した成分が元になっていることを学びました。

ちょっと調べてみると、メドースイート(セイヨウナツユキソウ)の学名は、Filipendula ulmariaで、バラ科シモツケソウ属でした。単にシモツケソウと言う場合、広い品種を指すようですね。

ここまでで、3/5ですが、取扱いには注意が必要なハーブが多いですね。。

のこり2つにいってみたいと思います。

スグリの葉

 スグリはロシア語でスモロジナ。強い香りを放つという意味のスラヴ語の動詞「スモロジチ」からきている。スグリの葉は、その名の通り、濃厚な良い香りがする。暑い日、スグリのある庭園は、その香りでいっぱいになる。

薬効は11世紀にはすでに知られていた。キエフとノヴゴロドの修道院の記録から、ひんぱんに出かけることのできなかった修道士が、森からスグリを持ってきて、修道院の敷地内に移植していたことがわかっている。ロシアではまだまだ人気がとても高い。果実はヴァレニエ(果実煮)にしたり、砂糖と一緒につぶしたりし、葉は軟膏、浸酒、煎じ薬、茶に使う。

ビタミンCを豊富に含むスグリの葉の茶は咳止めに効くというのが、民衆の常識であった。また、昔から、視力や記憶力にも良い影響を与えると考えられ、特に高齢者に推奨されている。
※Russian Beyondより抜粋

このスグリというのは、「グーズベリー」のことですね。このグーズベリー(スグリ)の実は、北海道の実家にたくさん植えられていましたので、よく食べていました。このグーズベリーは、日本全国で一般に栽培されていると思っていたのですが、18歳に上京してからはほとんど出逢ったことがないですね。

スグリの実と葉については、以下のサイトに写真があります。

コケモモの葉

コケモモはロシアの森の女王と考えられ、薬草医学の専門家は健康漿果と呼んでいる。

コケモモとその効用について、美しいスラヴの伝説がある。一羽の優しいツバメが人々に同情していた。ツバメは不老不死の水の湧き出る泉を見つけ、人々を病気から解放して不死を贈ろうと考え、水をくちばしですくい、運び始めた。だがツバメは邪悪なスズメバチに刺されてしまい、痛みのあまり、くちばしを開けてしまった。不老不死の水は森に飛び散り、コケモモ、マツ、スギにかかった。そしてこれらの木々は常緑になったという。

コケモモは、実際に常緑の低木で、その葉には果実と同じぐらい良い成分が含まれている。鉄、リン、カルシウム、またビタミンC、ビタミンBが豊富である。また、抗ウイルス作用があり、免疫力が高まる。今日、どの薬局でもコケモモを買うことができる。
※Russian Beyondより抜粋

コケモモと聞くと、オオミノツルコケモモの和名で知られるクランベリーを思い浮かべるのですが、「コケモモ」と「ツルコケモモ」は少し異なるようです。

コケモモとクランベリー(ツルコケモモ)はよく混同されるが、花が白く、花冠が部分的におしべと柱頭を囲っている点で異なる(クランベリーの花はピンク色で、花冠が後ろに反り返っている)。また、果実も球状で、クランベリーほど洋ナシ型にはならない。コケモモと同じように果樹として利用されるスノキ属の植物としては、ブルーベリー、ビルベリー、ハックルベリーなどがある。
※Wikipediaより抜粋

以上です。

今回、この記事に触れてみて、同じ一つのハーブでも、国の地理・歴史・文化背景によって、活用のされ方が様々であることがよくわかりました。

「西洋ハーブ」というと、我々日本人からすると、「フランスではこのように活用されている」「スペインではこのように活用されている」というように、注目する国に偏りがあるように感じます。

この偏りを取り払い、もっと広く視点を持つことで、ハーブに対する本質的な見方を養えるとおもいました。

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