漢方のことを勉強したことがある人にとっては、「ハトムギがイボに効く」という情報をどこかで聞いたことがあるのではないかと思います。
私が初めてその情報に触れたのは、2018年に富山県にある和漢薬問屋「池田屋安兵衛商店」に並んでいた生薬の説明書きを見たときです。
【過去記事:富山の和漢薬問屋『池田屋安兵衛商店』訪問レポート【売られていたハーブ編】】(2018年11月28日)
私自身はイボで困っていないので、ヨクイニン(ハトムギ)を集中的に摂取したことがないのですが、漠然と「ハトムギはイボにいいんだな」という認識はこれまで持ってきました。
今日は、和漢美容家が、「ハトムギがイボに効くって本当なのか?」に対するコメントをしている記事を見つけたので取り上げたいと思います。
ハトムギ茶がイボに効くって本当?和漢美容家に真相を直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「ハトムギ」の機能について和漢美容家の余慶尚美さんに質問。巷で耳にする「ハトムギがイボに効く」というのは本当? さっそく余慶さんに真相を直撃してみました。
ハトムギ茶がイボに効くって本当?
ある日突然できるイボ。とくに首回りや腕にぷちっとできるのはとても気になりますよね。そして、最近耳にすることの多い“ハトムギがイボに効く”という話、あれは本当なのでしょうか? 漢方のスペシャリストである和漢美容家の余慶尚美さんに聞いてみました。 果たして余慶さんのお答えは……?
A:ウソです!
「ハトムギがイボに効くというのはウソ、といえます。なぜかというと、イボに効果があるのは、多くの方がイメージしているハトムギではなく、ハトムギの内側にある“ヨクイニン”という生薬だからです」(余慶尚美さん・以下「」内同)
そもそもハトムギとは?
「ハトムギは東南アジア原産のイネ科の植物です。みなさんが混同されるのがヨクイニンと同じものなのか? という点でしょう。ハトムギは外側から、殻→薄皮→渋皮→子実となっており、渋皮を取り除いたものが漢方でいう生薬“ヨクイニン”。つまり、ヨクイニンは生薬名でハトムギは植物名。
確かに、原料の植物としては同じものです。でも、みなさんがハトムギと聞いてイメージするものは、スーパーで手に入るような殻がついているものですよね。脱穀前のハトムギは煎ってハトムギ茶として飲用されたりします。ただ、ハトムギ茶を飲んだからといってイボに直接的に効くわけではありません」
Point
ハトムギ茶を飲んだからといってイボに直接的に効くわけではない。
「イボは感染症で、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の病気です。このウイルスに対する免疫力を高めると古くから経験的に知られている生薬がヨクイニンで、場合によっては保険適応で処方されることもあります。ハトムギ茶にはこのヨクイニンが多量に含まれているので、ある程度の効果は期待されるかもしれませんが、“イボに効く”と言い切るには無理があります」
ハトムギがイボに効くと言われる理由は?
「前述したようにウイルスに対する免疫力を高めるということもありますが、イボにはいくつか種類があり、肌代謝が滞り、うまくターンオーバーができずに古い角質が肌表面に残っている状態の場合もあります。肌は日々新しい細胞が生まれ、古い角質を押し出します。正常な肌は約28日で生まれ変わるといわれ、この新陳代謝をターンオーバーと呼びます。
ターンオーバーが低下すると、古い角質を押し出すことができずイボなど肌荒れの原因になってしまいます。ヨクイニンは体の内側から肌に働きかけ、水分代謝を促進し、余分な老廃物の排出をスムーズにするなど肌のターンオーバーを正常に整えるはたらきがあります。そして、ターンオーバーを正常化し、からだの中から肌をなめらかに整えることでイボなども解消されるというわけです」
国際薬膳師・国際薬膳調理師/漢方養生指導士。、ヘアケアリスト(毛髪診断士)としても活躍。広告代理店、外資系企業にて勤務当時に自身が重い体調不調に悩んだことから、ココロとカラダの両面をケアする「巡り」に着目。「美巡(びじゅん)」をテーマに、メディア出演や講演セミナー、執筆など、数多くの美容や健康に関わる製品サービスの企画監修、ヘアケア製品のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動している。近著に「髪トレ」(主婦の友社)がある。
文/野邑みえ(all the way)
※美的.comの2021年2月24日の記事(https://www.biteki.com/life-style/wellness/759350)より抜粋
”ハトムギとヨクイニンの関係性”を正しく認識ができ、非常に参考になりました。
個人的に、ハトムギの別名がヨクイニンという捉え方をしてしまっていたので、今のうちに誤認を訂正できて良かったです。