農家の高齢化と共に、「耕作放棄地」の問題がクローズアップされ、それを如何にして解消していくかという取り組みに関しての情報を目にする機会が増えてきました。
※「耕作放棄地とは」「その何が問題なのか」については、以下のページに纏まっていますのでご参照ください。
この耕作放棄地の問題をハーブを切り口に解消していこうとしている人・団体を過去にいくつか紹介してきました。
【過去の参考記事①:山梨県市川三郷町発祥の”桑(マルベリー)の最良品種”「一瀬桑」で、過疎集落の再生を目指す韓国人青年の物語】(2019年2月6日)
【過去の参考記事②:千葉県鴨川市の山間で無農薬・無化学肥料でハーブやエディブルフラワーを栽培する【苗目】について】(2019年7月7日)
【過去の参考記事③:「幻の日本薄荷(はっか)」を復活させ、宿場町として栄えた街に新たな観光資源を提供する岡山県の「矢掛ハッカ普及会」。北海道のハッカのルーツは岡山県にある?】(2019年9月30日)
人体への有用な成分が豊富で、パワフルに働きかけるハーブは、一般に普及している野菜よりも単位面積から収穫できる価格的な価値が確実に高いので、土地の有効活用だけではなく、新たな雇用を生み出すことも可能になっていくのではないかと思います。
あと、何よりも、日本国内におけるハーブ生産量が増えていくにつれて、日本における健康寿命が延びていくという仮説を密かに持っているので、今後10年~20年の中で、耕作放棄地がハーブ栽培農地として再生され、実際にハーブ栽培面積が増えてきたときに、「日本人の平均健康寿命が高まってきている」というデータが仮に出てきた時、それにハーブが関連しているのか?という部分に多大に興味を持っています。
ちょうど昨日も、福井県で耕作放棄地を活用し、漢方薬の原料で、乾燥させた実が頭痛や冷え性に効くとされる「ゴシュユ」の大規模栽培に乗り出しているというニュースが入ってきましたのでご紹介します。
「高浜を薬草の聖地に」耕作放棄地で大規模栽培 漢方薬原料、製薬会社から依頼も 福井
高浜町が、町内に点在する耕作放棄地を活用し、漢方薬の原料で、乾燥させた実が頭痛や冷え性に効くとされる「ゴシュユ」(ミカン科)の大規模栽培に乗り出している。ゴシュユの産地は国内唯一といい、関係者は「放棄地の増加に歯止めをかけるとともに、町を薬草の聖地にしたい」と奮闘している。
町内にはもともと、「若狭富士」の呼び名でも知られる青葉山(693メートル)に300種類以上の薬用植物が自生。その麓には、半世紀前に土地の所有者が植えた約350本のゴシュユの木が、約千平方メートルにわたり群生している。
町と地元農家は平成25年、山の環境保全を目的に「青葉山麓研究所」を設立。自生する薬草を生かそうと27年、ハトムギなど数種類の試験栽培に着手し、17年には高齢化や後継者不足のため増える一方の町内の耕作放棄地に、群生地から持ってきたゴシュユの苗を植え始めた。
しかし、水田だった放棄地は当初、水はけが悪く、苗は定着しなかった。研究所の鋸谷茂所長(66)らが、水はけを良くするため土地に土を盛ったり、畝を作ったりした結果、今年は順調に育ち、栽培面積は計約7千平方メートルにまで広がった。来年には新たに1万7千平方メートルに植える予定。3年ほどすれば収穫できる見通しだ。
東京生薬協会によると、毎年40トン弱のゴシュユを中国から輸入しているが、中国国内での需要や人件費の高まりを受け、価格が上がっているという。
こうした中、町には国産化を望む大手製薬会社から「生産を拡大してほしい」との依頼も舞い込むようになり、「需要をまかなえるほど栽培して、町の主要産業にしたい」と鋸谷さん。栽培面積を増やすため、耕作放棄地を提供してくれる地主の掘り起こしに奔走している。
※THE SANKEI NEWSの2019年12月13日の記事(https://www.sankei.com/smp/region/news/191213/rgn1912130002-s1.html)より抜粋
生薬としてのゴシュユ(呉茱萸)については、以下のページに簡潔に纏まっています。
今回この記事に触れたことで、耕作地を活用したハーブ栽培による地域活性化の動きは来年以降さらに加速していくということを強く実感しました。
来年一年もこの動きは注視していきたいと思います。