イギリスの「グレート・ガーデン・エスケープ(Great Garden Escape)」という日帰りツアーが魅力的

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日本において、「イングリッシュ・ガーデン」というのは一つのブランドになっており、日本の中でも英国風の雰囲気漂うガーデンがガーデナーによってデザインされています。

過去にイギリスのラベンダー園と、王立植物園の情報を取り上げたことがあるのですが、読み返してみると本当に魅力的で今すぐ行きたくなってしまいます。

【過去記事:ロンドンへ行ったら『王立植物園』(キュー・ガーデン&ウェイクハースト)へ行ってみたいです。】(2019年9月7日)

【過去記事:イギリスのメイフィールド・ラベンダー・ファーム(Mayfield Lavender Farm)について】(2018年8月1日)

今日は、植物好き、美食好きにはたまらないイギリスの「グレート・ガーデン・エスケープ(Great Garden Escape)」という日帰りツアーの体験レポの記事を取り上げたいと思います。

ロンドンからファーストクラスで2時間 日帰りでサマセットのガーデンを楽しむ

パディントン駅発、贅沢な日帰り旅行へ

 英国南西部のサマセットで、約320ヘクタールもの広大な土地を持つザ・ニュート・イン・サマセット。

 歴史あるエステート(荘園)をリノベーションした、美しいガーデンと豊かな森、宿泊施設にレストランやスパ、ミュージアムまで備えた複合施設であり、また野菜や果樹の栽培や酪農や養蜂などを行う農場でもあります。

ニュートの広大な敷地。のんびり散策をするには最適なロケーションです。©The Newt in Somerset

 このザ・ニュートが、9月末までの毎週末に展開しているロンドンからの日帰り豪華ツアーが「グレート・ガーデン・エスケープ」です。ガーデンツアーやウッドランドウォーク、エキシビションの見学、自家製サイダーの試飲など、ザ・ニュートの魅力がぎゅっと詰まった、この贅沢な日帰り旅行を体験してきました。

 集合場所は、パディントン駅のファーストクラスラウンジ。この日アテンドしてくれるホストに迎えられて、1日がスタートします。ファーストクラスに案内され、この日の朝にザ・ニュートのシェフが用意した朝食をいただきます。

パディントン駅のファーストクラスラウンジで、スタッフが暖かくお出迎えしてくれます。

ファーストクラスに乗り込んで、いざ出発です。

当日の朝、ザ・ニュートで用意されたサクサクのクロワッサンや、グラノーラ、ヨーグルトなどを往路の車内でいただきます。

 11時頃にザ・ニュートに到着。ウェルカムドリンクの後はさっそくガーデンツアーが始まります。エステートで実際にガーデニングを担当しているエキスパートによる解説を聞きながら、さらにガーデンを取り囲む自然がいっぱいの森へと歩みを進めます。

しい円形のウォールドガーデン「パラボラ」は、230年の歴史があるそう。ここには地元の267種460本のリンゴの木が植えられています。

珍しい白と黒の牛のような模様のアヒル。大きな卵を産むのだそうです。

ニュート(イモリ)が生息している池がたくさんあります。睡蓮もきれいです。

 やがて視界に飛び込んできたのが、森のなかにそびえる高さ12メートル超の歩道橋。「ヴァイパー」(マムシの意)という名が表すとおり、くねくねと曲がりながら、体験型ミュージアム「ストーリー・オブ・ガーデニング」へといざないます。

「ストーリー・オブ・ガーデニング」へと続く歩道橋。名前の通り、くねくねとヘビのようにカーブしています。©The Newt in Somerset

曲がりくねった歩道橋を渡って、ミュージアムへと向かいます。

 ここでは、音声ガイドに沿って、世界のガーデンをデジタル体験。日本や中国の庭園もあり、畳の部屋を通り抜けます。入り口で靴を脱ぐように指示された理由はここにあったようです。ミュージアムの一番奥には、バーチャルリアリティによるガーデン見学もあり、時間がいくらあっても足りないくらいの充実ぶりです。

「庭」と書かれた日本のコーナーのなかは、畳敷き。

古今東西、過去から現在までの農機具がずらりと展示されています。

敷地内で育てた野菜で作るランチとリンゴ酒のセラー見学

 ガーデンカフェでのランチは、もちろん敷地内で収穫された野菜がたっぷり。新鮮な素材を生かした、カラフルな料理が楽しめます。

ヘリテージトマトとオレガノのサラダ。

ラムのグリル、ガーデンハーブドレッシング。

ヘッドシェフのベン・チャンプキンさん自ら、野菜の収穫をして回っています。

 食後には、敷地内にあるサイダー(リンゴ酒)のセラー見学と試飲が待っています。

 サマセットは、英国内でも屈指のサイダー生産地。古くから農業に勤しむ人々が、大きなグラスで楽しむのがこの土地のサイダーのあり方ですが、そこに待ったをかけようとしているのがザ・ニュートのサイダー作りです。

 サイダーをワインと同じように、従来の方法よりもていねいに、厳選された素材を使って繊細に製造し、ワイングラスで少量ずつ楽しむのが、ザ・ニュートが提唱しようとしている流儀なのだそう。

サイダーの原料となるリンゴジュースを絞る工程。絞りかすは腐葉土にしたり、豚の餌にしたりと、再利用されます。

3〜4種類のサイダーを試飲。色も香りも味も様々なのが興味深いです。試飲したサイダーは、ショップで購入も可能です。

 あっという間にザ・ニュートでの一日が終わり、後ろ髪を引かれながら帰路へ。帰りももちろんファーストクラスで、車中ではアフタヌーンティーと、ザ・ニュート特製の繊細なサイダーが楽しめます。

帰りの車中では、アフタヌーンティーを楽しめます。

 この「グレート・ガーデン・エスケープ」ツアーには、なんと1年間何回でも無料でガーデン見学ができる、メンバーシップが含まれています。

 広大な敷地を思いっきり楽しむには、再訪が必須。また日を改めて、ゆっくりと自分のペースで見学できるのが嬉しいところです。

鳥の巣のようなバスケット形の隠れ家で一休み。

進化し続けるザ・ニュート、新たな日本式庭園も進行中

メインハウスのハドスペンハウス。©The Newt in Somerset

 ザ・ニュートが23室のホテルとスパをオープンしたのは、2019年夏のこと。ホテルといっても、かつてエステートとして機能していた時の馬小屋や穀物小屋など、いくつもの建物を生かしたユニークなつくりの宿泊施設です。

 新オーナーのカレン・ルーズさんは、南アフリカ版「エル・デコ」の元編集長というインテリア通。そんな彼女が全室のインテリアを担当しています。

宿泊施設のメインハウスのパブリックスペース。

馬小屋を改造した客室「ステイブルロフト」。ナチュラルな色調も居心地がいい。

 その後コロナ禍の影響を受けてクローズを強いられた時期もありましたが、その間もザ・ニュートの進化はとまることはありませんでした。

 2021年の6月1日(火)には新たに17室を携えた別エリアのファームヤードをオープンし、現在は数カ月先まで予約で満室状態なのだそう。

屋内プールと屋外プールがつながった二重構造。水の温度は高めで、まるで温泉のよう。

今年6月にオープンしたファームヤード側のスパのプール。宿泊者専用の施設です。

 敷地内のリニューアルは現在も進行中で、新たな果樹園には3年後を見据えて3,000本ものサイダー用のリンゴの木が植樹されています。

 さらに、「日本式庭園の造園も進行中なんですよ」と話すのが、ヘリテージ・マネージャーの石田麻衣子さんです。石田さんは、英国で歴史的な庭園の保全について学んだ園芸の専門家。今回の日本式庭園のプランニングの責任者です。

ヘリテージマネージャーの石田麻衣子さん。©The Newt in Somerset

 京都は智積院の枯山水の日本庭園をモデルに、しかしサマセットの地元の素材を使って造園しようとしているのだとか。

「石も地元のものを使う予定です。だから日本庭園ではなく、『日本式庭園』なんです。でも、もともとは日本でも地元で調達できる材料をつかって造園していたはずなんです。なので、日本庭園の哲学とスタイルを踏襲しつつ、新しいものをつくっていくという感じになるでしょうか」と石田さん。

 今回のプロジェクトを進めるにあたり、この哲学をほかのガーデナーたちと共有することが大いなるチャレンジのようです。

ウッドウォークの途中で木々の間から見える美しい風景が、石田さんのお気に入りだそうです。

 日本式庭園も年内にはオープン予定とのことなので、次回の英国旅行の際には、ロンドンから足をのばして日帰り旅行もよし、宿泊してのんびり過ごすもよし、のデスティネーションとなりそうです。

ウッドランドのなかにある人工池の中央には、伝統的な養蜂で使われていた蜂の巣が残っています。

The Newt in Somerset

料金 1泊1室 375ポンド~
(朝食、サイダー&アップルジュース、スパ使用料、ガーデン入場料込み)
https://thenewtinsomerset.com/

Great Garden Escape

~9月26日 毎週土・日曜催行 1人295ポンド

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
●毎週更新しているポッドキャスト https://www.podpage.com/shiuntenk/
●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/

文・撮影=安田和代(KRess Europe)

※CREA Travellerの2021年9月10日の記事(https://crea.bunshun.jp/articles/-/32644)より抜粋

至れり尽くせりの素晴らしいツアーで、ロンドンへ行ったら必ず体験したいです。

写真から伝わる雰囲気は、やはり多くの植物好きを惹きつけると思います。

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