機能性食品の植物をまるごと蒸留して、すべての栄養素を活かす「キッチン蒸留手法」ついて

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日々、インスタグラムの様々な投稿を見ている中で、2年前くらいから「キッチン蒸留」というワードをちょくちょく目にするようになっていました。

その名のごとく、キッチンで野菜やフルーツを蒸留して、その芳香蒸留水を様々な用途で活用する手法のことなのですが、その本質的な理解についてはできてない状態が続いていました。

しかしながら、日本アロマ蒸留協会 代表理事の河内 あつ子さんが、「なぜ今、キッチン蒸留なのか?」を説明された記事(1年半前の記事でちょっと古いのですが。。)に出会い、理解を深めることができましたのでご紹介したいと思います。

機能性食品を効率よく摂取/「キッチン蒸留手法」で美しく強いカラダをつくる

2015年4月にトクホと栄養機能食品に続き、「機能性表示食品」制度がスタートしました。病気を予防するヘルスケアが上昇傾向にあるわが国において、食品の安全性や機能性について一定の条件を満たしていると消費者庁に届け出ていれば、カラダのどこによく、どのように機能するのかを企業の責任において表示することができるようになっています。

医療の分野でも機能性食品による、よりパーフェクトな栄養素を経口摂取することが着目されています。食品の機能性を普段の食生活から体内に取り入れることができれば、毎日栄養満点生活を送ることができ、病気の予防を目指すことができると思います。

今回は機能性食品の植物をまるごと蒸留して、すべての栄養素をいただきカラダに活かす方法をお伝えします。家庭のキッチンで実現可能にするアロマ式の蒸留方法「キッチン蒸留手法」について、日本アロマ蒸留協会代表の河内あつ子先生にお話を伺いました。

「キッチン蒸留」は、植物のもつすべての栄養素が抽出できる

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植物は自らが生きるために香気成分や・栄養素・機能性成分などさまざまなフィトケミカル成分をつくり出しています。それらの植物がもつフィトケミカル成分を丸ごとすべて使っていくことで、植物が放つ香りもより私たちのカラダに効果的に生きるものではないかと思います。

植物のすべての栄養素などを、体内に効率よく取り入れる方法としての新しいアロマ蒸留手法が、「キッチン蒸留」です(精油の抽出ではありません)。

実際にアロマセラピーを勉強されている方は、精油の薬理成分に惹かれて、マニアックに勉強されている方も多いと思います。ですが、決して難しいものではなく、キッチン蒸留はご家庭で気軽にできるものなのです。

植物の蒸留水は、一般にはほとんどまだ知られていないようです。予防医学的に活用するもののひとつとして、美容と健康志向の高い方でしたら、普段から取り入れやすいのではないでしょうか。

 

世界的な視点で、日常的に香りが根付いている、生活に密着している国というと、例えばパリ、テヘランなどは芳香蒸留水が市場に売られています。実際にアロマやハーブを学んでいない人でも日常的に香り(芳香蒸留水)を水の代わりに飲む習慣があるのですね。体調不良を回復するために飲んでいることも現地へ訪れた際の取材でわかりました。

とくにイランでは芳香蒸留水が盛ん。例えばローズウォーターは胃腸の調子がよくない時に飲みましょうとか、喉が痛いときにはタイムのウォーターを飲みましょうとか、母乳を出したいお母さまはフェンネルウォーターを飲みましょうとか、日常生活のなかで普通に取り入れられているのです。

イランのアッターリというハーブ薬局では、72種類もの芳香蒸留水が販売されています(下写真)。

イランでは芳香蒸留水を料理にも使う

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またイランでは、芳香蒸留水を料理にも使用しています。肉の臭みを消したり、消化をアップするなどの食べやすさや健康を考え、食材と一緒に煮込みます。日本と同じようにスキンケアにも活用されています。

伝統医学的に芳香蒸留水は、植物のエネルギーがあると考えられています。イランではお子さんの発熱の際に飲ませたり、頭の上に噴霧したり。また、お墓参りにローズウォーターを墓石にかけるといった習慣もあるのです。世界的に芳香蒸留水は、精油が使われている歴史よりもかなり長い間一般家庭になじみがあり、飲用、スキンケア、どちらにも用いられてきました。

イランでは、実際にお家で蒸留している方もいらっしゃいます。芳香蒸留水はほとんど水なので、腎臓・肝臓にも負担なく代謝ができるという生態リスクが圧倒的に少ない。美容・健康飲料という認識でイランは世界でも第2のアロマセラピー大国として需要は高まり続け、カーシャーンという都市では、芳香蒸留水の生産量も増えています。

 

日本における芳香蒸留水の意識はどうでしょうか。日本では雑貨扱いで、あくまでも副産物、またはスキンケアに使うもの、飲用する芳香蒸留水はほとんど市場に見られませんね。あったとしても高価であったり、防腐剤が加えられていたり、お店によっては浮遊物が浮いていることも……。

日本では手に入りにくい芳香蒸留水。ということで、アロマセラピーで行う水蒸気蒸留法の仕組みで、あらゆる蒸留機を使って植物の蒸留抽出を試みました。

蒸留器を持っていなかったときは、鍋で(植物成分を)取ったのです。蒸留器の各メーカーは、飲用はしないでくださいといいます。あくまでも自己責任のうえでと。

そこで、植物の機能性成分の蒸留メカニズムについて研究しました。

芳香蒸留とは、植物に蒸気をあてて、精油と芳香蒸留水を取り出します。実際の生産物として精油、副産物として芳香蒸留水があるのです。ただ、ほかにも原料に熱をあて、これまでに活用されていない栄養素があるのではないかと気づきました。

普段の食生活で蒸気をあてているものとして、日本では蒸し器を使った蒸し料理がありますね。蒸気をあてて柔らかくなった栄養素を取っているというとわかりやすいと思います。

キッチンで調理をしているときに広がるシュウマイの香りだったり、野菜が蒸される香りで幸せになったり、おいしそうだなと感じたりしますね。それと同じような感覚の蒸留法なのです。

 

芳香蒸留水の3段階の植物栄養素

 

日本アロマ蒸留協会では、芳香蒸留水の研究により、下記3段階の植物栄養素の抽出素材を定義としました。

1)ATR(アートゥル)ウォーター:芳香蒸留水
2)アフターATR(アートゥル):蒸留後に残った素材
3)ATR(アートゥル)ストック:蒸留後に残った滞留水

ATR(アートゥル)は、ペルシャ語で「香り」という意味。香りは、ペルシャ古代文明が発祥といわれます。芳香蒸留水を飲んで活用することでもっと生活に密着し、予防に役立てていくことを考えています。

日本では精油は雑貨扱いのため飲用不可とされていますが、芳香蒸留水は、数千年という長い歴史の中で飲用されていること、また精油と違い、体内代謝の負担リスクが少ないため、飲用するすることが可能です。

しかし日本では飲料グレードの芳香蒸留水は少なく、雑貨扱いのものが多数をしめますので注意が必要です。

 

芳香蒸留水の1日の摂取量はどのくらい?

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通常アロマセラピーの水蒸気蒸留法では、精油抽出が目的のため大量の植物を必要とします。しかしキッチン蒸留は精油をとることが目的でないので、大量のものは必要なく「食」という概念で蒸留します。

アーユルヴェーダでは、手のひらいっぱいが1日の摂取量として必要な分量という概念(ワンアジャリ)があります。キッチン蒸留においても、その概念に準じて必要な素材は手のひらいっぱいという考えです。

※手のひらいっぱいの素材から、100mLから120mLのATRウォーターをとりだすことができます。こちらは希釈して飲用しますが、一日小さじ1から大さじ1で十分です。

 

ブルーベリーをキッチン蒸留すると、ブルーベリーの香りと(植物の)エネルギーを含んだ芳香蒸留水ATRウォーターができあがります。蒸されてやわらかくなったブルーベリーはアフターATRとよび、香りと栄養素が入っているものになります。

ATRストックは、香りと機能性成分が入っています。この3つのATR(アートゥル)を取っていくということになります。

これらを全部あわせてひとつの植物が生き生きとしているわけですから、その植物の恩恵を受けて、機能性成分・栄養素・エネルギー・香りのすべてをバランスよく摂取していくことがヒトのカラダの健康につながるという考えです。

河内 あつ子さん(カワチ アツコ)
一般社団法人 日本アロマ蒸留協会 代表理事
atrwater.jp

カラダクリアーの2018年12月7日の記事(https://www.esthetic.cc/column/08029/)より抜粋

バランスの取れた記事で分かりやすく、キッチン蒸留の理解がグッと進む内容だと思いました。

記事の中にでてくる、イランにおける芳香蒸留水の普及度合いの話ですが、以前、東京・青山でイランの朝食を食べに行った際、その片鱗を体感した経験があります。デザートのヨーグルトに、ローズウォーターとブラックカルダモンのパウダーがかかっていました。

【過去の参考記事:ハーブたっぷりの「イランの朝食」をはじめて食べてきました。

この河内 あつ子さんの説明のおかげで、キッチン蒸留の本質の理解が進み、且つ、イランにおける芳香蒸留水の市場状況等かなり大きく興味が広がりました。

今の時点でこの記事に出会えて本当に良かったと思いました。

一般社団法人 日本アロマ蒸留協会 

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