明日から我が家の子供たちは一斉に夏休みに突入するのですが、そのタイミングに合わせ、家族での北海道旅行がスタートします。
ハーブスポット巡りについては、以下の3か所(ハーバルランチ・北海道大学植物園・幌見峠)を軸にすることを決めており、その他のスポットもめぐることができればと思っています。
【過去の参考記事①:北海道•洞爺湖を一望できる丘にあるハーブ体験満載の癒しスポット:ハーバルランチ】
【過去の参考記事②:東アジアの北方民族(アイヌ、ニブフ、ウィルタ)が生活に利用した約200種の植物を植栽展示している『北海道大学植物園』】
【過去の参考記事③:北海道札幌市の「幌見峠」のラベンダー畑が見頃というニュースをみて、思いがけなく今まで知らなかった北海道のラベンダー畑情報を入手しました。】
高校生まで北海道に住んでいた私にとっては、アラフォーになって初めて、「北海道って、ハーブとの関わりが深い土地だったんだ」という事に気付き、今は、アイヌ民族とハーブとの関わりという部分は、自分の中での大きなテーマとなっています。
長野県・茅野市にある「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」も、土地柄は”夏は涼しく、冬の寒さは厳しい”北海道との共通点があるのですが、ハーブの生育という観点において、気候的な涼しさ・寒さというのはとても大事な要素なのではないかと考えています。
【過去の関連記事:長野県茅野市の「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」へやっと訪れることができ、萩尾エリ子さんにも会えました】
蓼科ハーバルノート・シンプルズの周辺のハーブは非常に力強いという印象が残っていますし、Instagramで繫がっている北海道在住のハーバリスト達がアップするハーブの写真も非常に生き生きとしているように感じるのです。
ちょうど昨日ですが、北海道よりもさらに寒さが厳しい土地の「フィンランド」における人々とハーブの関わりについて触れた記事があったのですが、非常に興味深い内容だったのでご紹介したいと思います。
ハーブを摘み、生きる喜びと働き方を考えた|フィンランド幸せ哲学 vol.1
督 あかり , FORBES JAPAN フォーブスジャパン編集部
フィンランドと日本の外交関係樹立100周年を迎えた2019年。初夏に首都ヘルシンキを旅する機会を得た。フィンランドは、国連が発表する世界幸福度ランキングで、2年連続で1位を誇る。働きやすく豊かな国というイメージだ。
またフィンランドと言えば、ムーミン。日本でも愛され、ジブリ映画とも通ずる自然への畏敬の念、精神性があるように感じる。この旅を通じて、私たちがこの国から学べる幸せのヒントを探った。5回に分けて紹介したい。
初回は、自然豊かな森でハーブを摘みながら、自然を尊重するフィンランドの人たちの姿に触れ、働き方や豊かさについて考えた。
自由に摘む「権利」がある
ヘルシンキの市街地からバスで西へ30分ほど。現地在住の日本人ガイドの方に連れられて、セウラサーリ島へ向かう。最近、秋篠宮ご夫妻がフィンランドを公式訪問された際に、視察に訪れたことが報じられた島だ。
この島は、全体が国立公園となっていて「オープンエアー・ミュージアム(野外博物館)」として伝統的な建物87棟が点在し、110年の歴史を持つ。家族向けのイベントやガイドツアーなども開かれる。リラックスのために訪れる現地の人も多い。
私たちを迎えてくれたのは、ヘルシンキ・ワイルドフーズ社の共同創立者アンニカ・ハンヌスさん。森の妖精のような、と言ったら失礼だろうか、そんな佇まいが印象的な女性だ。
ヘルシンキ・ワイルドフーズは、フィンランドの野生の食材の販売や、自然にまつわるホビーやツーリズムを提唱している。新しく「METTÄ(メッタ)」という野草・ハーブのブランドを立ち上げ、実は日本にも進出している。メッタは、フィンランド西部の方言で森を意味するという。
まず、アンニカは「私たちには、森に行ってベリーやハーブを自由に摘んでも良い『権利』があるんです」と教えてくれた。国立公園や私有地などで「希少種はNG」「枝を折るのはダメで、木からも採らない」というルールを守れば、一般的に地面に生えたものを摘んだり、落ちた木の実を拾ったりするのは「大歓迎」だという。
これは、「自然享受権」というフィンランドの特別な権利。国土75%以上を占める広大な森をはじめ、多くの島や湖などに適用される。「次の世代にも楽しんでもらえるように自然を残す」という考えが、フィンランド人にとって共通規範のようだ。
「最近、フィンランドではローカルフードに関心のある人がすごく多いですよ。街から島や山に行って、エクササイズしながら植物に触れる人もたくさんいます」(アンニカ)
とはいえ、日本の山菜採りと同様、毒を含む植物もあるため専門的な知識は必要。私たちもアンニカに教えてもらいながら、ハーブを摘む体験をすることになった。
野生のハーブを摘んで…
最初に摘んだのは、イラクサ(下の写真を参照)。フィンランドでは「NOKKONEN(ノッコネン)」と呼ばれ、100年前から知られる代表的なハーブだ。葉っぱがトゲトゲで特徴的。ほうれん草より鉄分が多く、カルシウムやマグネシウムも含まれ、デトックス効果もあるという。
煮て乾燥させて、ペストソースのように食べるのが一般的だが、ティーにするのも良いそうだ。葉や茎などすべての部分が使え、種も乾燥して食べることができる。
アンニカは、山肌に生えたイラクサを摘み、葉っぱを私たちに差し出す。長さ5〜6㎝の少し大きめな葉っぱで、一瞬ためらったが、彼女に言われた通りそのまま食べてみると、苦味もなく、ふわっと葉の香りが口のなかに広がった。
こうして、いくつか摘んだばかりのハーブを食べることになった。
写真は私が食べたハーブだが、右下はハゴロモグサ。ティーハーブや、ジンジャークッキーに入れたりするそうだ。葉を潰して絞った液体をスキンケアに使ったり、葉は乾燥させてマッサージに使ったりする。いわば、フィンランドの女性たちの美の秘密だと、アンニカは教えてくれた。
左下がイワミツバ。葉が小さいほうがおいしいということだったが、葉をかじるとセロリのようで、少し清涼感のある味だった。
日本でも馴染みのある「ハーブ」もあった。ダンデライオン、タンポポだ。まだ若い葉を食べるそうで、500種類もあり、それぞれ味も違うということに驚いた。デトックス効果が強く、食べ過ぎるとトイレに駆け込むことになるので要注意。
「尖ったものはきつい味。丸みがあるものはサラダによく使われる」というアンニカの説明に、妙に納得してしまった。
いろいろな野生のハーブを食べるのにも慣れて、終盤にもっとも恐る恐る口にしたのはモミの木だ。アンニカが事前に摘み、洗った新鮮な葉を渡してくれた。
トゲトゲしていて、口の中が痛くないかと思ったけれど、若い葉は柔らかくレモンのような味だった。サラダにそのまま使ったり、液体をシロップに入れたりして、喉にも良いそう。
「仕事終わりの一杯」が健康的
フィンランドの国の木である白樺は、幹にキシリトールを含んでおり、歯に良いらしい。しかし、採取するには許可が必要だそうだ。「仕事終わりの一杯」として、白樺のシロップを飲むこともあるらしい。日本の「とりあえず生(ビール)」とは違い、とても健康的だ。
小1時間、私たちは森の中を散策しながらハーブを摘んだ後、アンニカは「ハーブパーティー」のようなピクニックを用意してくれていた。
野草のサラダに、モミの木の葉が載せられたマッシュルームパイ。ベリーのグラノーラや黄色いシーベリーに、野菜のディップ。リンゴベリーのパウダーはキシリトール入りで、ヨーグルトにかけても良いが、そのまま食べても美味しい。
ヘルシンキ・ワイルドフーズは、街中に住んでいた研究者やジャーナリストなど6人の女性たちが立ち上げた。ハーブ摘みを案内してくれたアンニカは、フードサイエンティストだという。
会社になって4年。新しく立ち上げたフードブランド「METTÄ」は、北欧の「森の恵」を届けようと、ピクニックでも使われたリンゴベリーや、ラップランドのポルチーニ茸ミックスなどの商品が、洒落たパッケージに入っている。
ヘルシンキのほか、日本では「ムーミンバレーパーク」に隣接する北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」(埼玉県飯能市)内のショップで販売しているそうだ。
この旅をする前に、北欧で活躍する日本人起業家から聞いた「起業家も、週末はハーブを摘みに行くんです。イメージとは違いますよね」という言葉が印象に残っていた。日本ではなかなか耳にすることのない週末の過ごし方だ。
今回、まさにそのハーブ摘みを体験して、私たちはそんな心に余裕のある暮らしがどれほどできているだろうかと思った。
働き方改革で労働の効率化が求められ、働きながら子育てをする女性の話を聞くと、仕事と子育ては両立できるのだろうかと正直、怖気ついてしまう自分もいる。
かつて新聞記者だった私は、いつまで仕事をしても平気なタイプだった。翌日の朝刊に載る原稿がデスクの目を通ってひと段落した後、午後9時からが勝負だと思って仕事を続け、一杯飲んでから深夜に記事を書くこともあった。もちろん翌日、書き直すことになるのだが、恥ずかしながら一気に筆を進めるにはいい手だった。
入社6年目に身体が悲鳴をあげた
だが、30歳を前にして、「月3回の宿直勤務の翌日がキツイな」と感じ始めたところ、突然身体が悲鳴をあげた。ウイルス性の急性肝障害になったのだ。入社6年目を迎える春だった。
39℃以上の熱が出て、キュッと胸が締め付けられるように苦しい。頭が割れそうなほどの頭痛と高熱が続き、病院にも行けず、もうダメかもしれないと思った。数日後に熱は収まったものの、胸は苦しく、少し歩いただけで息が上がった。県立病院の医師には「1カ月の安静が必要」と診断され、休むことに。それで「ちょっと仕事が休める」と、内心ホッとしていたのも事実だ。誰かにストップをかけてほしかったのかもしれない。
横になる体勢がいちばん楽で、2週間ほど自宅で寝込んだ。そのあと、両親が車で迎えに来て、1週間は地元へ帰った。症状は快方に向かったある日、まだ自力で歩くと息が上がったので、「桜が見たい」と両親に頼み、助手席に乗せてもらった。車窓から桜を見たときは、どれほど心躍ったか。数週間ぶりに自然に触れ、ただ生きていることに喜びを感じた。
あの時から、私は休日にはしっかり休むようにしている。自分ごととして、働き方について考えるきっかけとなった出来事でもあった。思えば父親も設計関係の仕事をしていて、土日は食卓のテーブルに大きな図面を広げ、黙々と仕事をしていた。子供ながらその姿を見てきて、影響を受けていたのかもしれない。
だけど、今の私はスケジュール的に切迫していても、土日はほとんど仕事をしない。それでも心のどこかに、ほんのり罪悪感はある。「休みに仕事を進めたら、もっと捗るのに」と。
なぜフィンランドでは、働きやすく、豊かな暮らしが実現できているのだろうか。この旅で、私はフィンランドの人たちの生き方のポリシーとも感じられる価値観に触れ、自らの考えを新たにすることになる。旅は次回へと続く。
※Forbes Japanの2019年7月18日の記事(https://forbesjapan.com/articles/detail/28517/3/1/1)より抜粋
個人的には、モミの木を食べるくだりは非常に驚きました。
針葉樹の葉を食べるというのは、フィンランドらしい文化とも言えると思いましたし、味も確認してみたいと思いました。
そう言えば、以前、同じ極寒地であるロシア関連の情報を取り上げたことがありました。(以下)
【過去の関連情報:”松ぼっくり”を使ったレシピ(ジャム・シロップ・茶・酒)が存在することに衝撃を受けました。】
針葉樹である松に成る「松ぼっくり」を使ったレシピに出会った時の衝撃はかなりのものがありました。
今年の秋に試してみたいと思っているレシピの一つです。
今回のフィンランドの記事を見ると、北欧のハーブ文化について、今まで全く知らなかったことに気づかされましたし、
今後、自分自身の一つのテーマとして、見聞を深めていきたいと思えました。