【パセリ、セージ、ローズマリーにタイム】サイモン&ガーファンクルとハーブの意外な接点

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私の母がサイモン&ガーファンクルの大ファンだった関係上、小さいころからよく曲を聞いていました。

その中でも、スカボロー・フェア(Scarborough Fair)という曲が好きで、当時はメロディーが気に入っていて何回も聞いていたのですが、その曲の中に、パセリ、セージ、ローズマリーにタイム(Parsley, sage, rosemary and thyme)という一節があるという情報を入手し、早速聞いてみました。

確かにしつこい程(と言っちゃ失礼ですが)、何度も何度も出てきます。。

でも、この歌詞だけをみるとなぜ、「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム」なの?と思います。

そこで、ネット上の情報を色々と見てみると、当時はベトナム戦争の反対運動(1960年代から70年代)の真っ只中という時代背景があり、どうやら「反戦」のための曲だったようです。(なぜ反戦なのかは、一旦話を脇に置きます。)

スカボロー・フェア(Scarborough Fair)の歌詞自体はイギリス民謡そのものであり、そのスカボロー・フェア(Scarborough Fair)は妖精の騎士(Elfin knight)が原型と言われているようです。

妖精の騎士(Elfin knight)自体は「謎かけ歌」で、そこから変形し、スカボロー・フェア(Scarborough Fair)になったということだと思うのですが、ここで、スカボローフェアの歌詞の一部を文字で見てみたいと思います。

Tell her to make me a cambric shirt,
Parsley, sage, rosemary, and thyme;
Without no seams nor needlework,
Then she’ll be a true love of mine.
私のために、亜麻布のシャツを作っておくれと
(パセリ、セージ、ローズマリーとタイム)
縫い目もなく、針も使わず
それができれば、彼女は私の真実の恋人になる

Have her wash it in yonder dry well,
Parsley, sage, rosemary and thyme;
Where water ne’er sprung nor drop of rain fell,
Then she’ll be a true love of mine.
それを、向こうの乾いた井戸で洗っておくれと
(パセリ、セージ、ローズマリーにタイム)
水が湧き出ることも、雨の雫がふりこむこともない井戸で
それができれば、彼女は私の真実の恋人になる

Tell her to find me an acre of land,
Parsley, sage, rosemary, and thyme;
Between the salt water and the sea strand,
Then she’ll be a true love of mine.
私のために、1エーカーの土地を探しておくれと
(パセリ、セージ、ローズマリーとタイム)
塩水(波打ち際)と海岸(砂浜)の、その間に、
それができれば、私達はまた愛し合える

謎かけ歌が原型になっているので、確かに無理難題を突き付けている感があります。

ここで改めて、なぜ「パセリ、セージ、ローズマリーとタイム」(Parsley, sage, rosemary, and thyme)なのか?に戻ります。

隠された意味が幾つか存在するようなのですが、一説としては、魔よけのようです。

妖精の騎士(Elfin knight)の内容自体は、魔界の妖精と人間のやり取りとされ、魔界の妖精が、旅人に無理難題(実現不可能な伝言)を問いかけ、もし、旅人が、まともに返答したなら、魔界にさらっていくというものらしいです。

その企みを見抜いた旅人は、「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」 と、魔よけ効果のあるハーブの名を唱えて、うまく逃げたということです。

ここでなんとなく見えてみました。。この4つのハーブに込められた意味が反戦への想いと繋がるのでは?と。

反戦の部分については、さまざまなネット情報を観ましたが、かなりマニアックすぎて理解しにくいものが多かったのですが、2011年1月に更新されている「ヒデヤン」さんの「スカボロフェアに隠された本当の意味」という日記がすごく腑に落ちましたので引用させて頂きます。

【引用元:スカボロフェアに隠された本当の意味

この曲はサイモン&ガーンファンクルが歌って世界のメジャー曲にしましたが、元々はイギリスの伝統的なバラッドです。

歌の舞台は中世期末まで遡り、その頃のヨークシャー地方の北海沿岸の行楽地スカボロウは商人達の重要な公益場所でもありました。

毎年8月15日から45日間の長期間の市が始まると、その期間中には英国全土のみならず、大陸からも多くの人々が集まったと言われています。

多くの人々が一所に限定的に集まると、そこには色々なことが起こりました。男女の仲にも様々なドラマが生まれたでしょう。

しかし、その時代は英仏間の百年戦争、その後の内戦のバラ戦争がありました。そうです、百数十年もの長期間戦争に明け暮れていた時代でもありました。

ウィキペディアによると、この曲は失恋の歌とされていますが、そうだとするとわざわざ振られた相手に「宜しく伝えてくれ」とは言わないでしょう。市の期間に折角契りを交わした恋人と嫌々別れなければならない理由が発生したと考える方が自然です。

時代背景が生んだ切ない悲恋の曲として涙を誘い人々の心の中に生き続け、数百年を経て伝わってきた曲と考えた方が辻褄が合います。

これらの戦時中、何回も選抜隊が前戦に派遣されたのでしょう。突然来た召集令状、国王の命令は絶対でした。

そのためやむなく多くの男女の仲も引き裂かれたのです。

男達の本音はやはり戦場には行きたくはないが、祖国を守る大儀にはかなわなかった。そう思うと、この歌詞に隠された当時の若い男女の切なさが感じられます。

騎士の誉れは、最愛の女性を諦めることで、男子としての意地を通したのです。

「パセリ、セイジ、ローズマリー、タイムはいらんかー」の紅茶の売り声と訳の分からない男女の問答が繰り返されます。

これらには花言葉があります。その花言葉に秘められた想いを想像してみましょう。

パセリは消化の助けになり、苦味を消すと言われており、中世の医者はこれを霊的な意味としても捉えています。

セイジは何千年もの耐久力の象徴。

ローズマリーは貞節、愛、想い出を表し、現在でも英国や欧州の国々では花嫁の髪に小枝を挿す風習があります。

タイムは度胸、覚悟の象徴で、騎士達は戦いに赴く際に盾にタイムの像を付けました。  

私が思うに、この繰り返し句は、これから出征していく男達の想い、彼らを見送る女達の祈りそのものだったと考えます。

すると、

パセリは突然来た召集令状が契りを交わした男女間の重苦しさを和らげて欲しい、これは悪夢であって欲しいと願い、

セイジはこれからの苦しい期間をお互いに耐えようと誓い、

ローズマリーは離ればなれの期間のお互いの貞節、不滅の愛を誓い、わずかな愛し合った想い出を忘れないよう約束し、

タイムは出征の覚悟、黙って見送る覚悟を表している

と。

この句を何回も繰り返して少しずつ心にチャージして行かなければ、二度とこの世では会えないかもしれないという覚悟は出来なかったのでしょう。

想いを直接表現できない彼らは、花言葉に心情を塗り込めたのです。

永遠に変わらない愛であれば、無理難題をものともしないはず、との想いが歌詞に表現されていると考えれば、辻褄が合います。

従ってこの曲は失恋の曲ではなく悲恋の詩です。故にこの売り声に隠された意味こそ一番伝えたかったのではないでしょうか。

この詩は永遠の愛の誓いであると同時に平和への祈りです。

そして今では、この数百年間に様々な場所で起こった戦争によって引き裂かれた男女に対するレクイエムです。

「スカボロフェア」は世界遺産級の詩、永遠に語り継ぐに最もふさわしい中の一曲かもしれません。この曲を世界的にしたサイモン&ガーンファンクルに感謝します。

 

サイモン&ガーファンクルはイギリス出身かと思っていたので、イギリス人にはハーブが生活に馴染んでいるんですね的な結び方にしたかったのですが、ウィキペディアによると二人はアメリカ出身のユダヤ系アメリカ人でした。。

でもハーブから時代背景が見えてくるというのはとても面白い話だと思いますし、だからこそハーブを語るときに歴史はいつもセットで出てくるのだと思います。

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3件のコメントがあります

  1. アバター画像

    スカボローフェアのハーブ
    とても懐かしく読ませて頂きました。
    ハーブを習う方なら登竜門として出てくるのが、ガーファンクルのこの唄です。
    自分も昔、講座で習った際の歌詞カードを本の栞として挟んでいたので、また見直してみました。
    だいたいの意味合いは同じでしたが、訳す方の表現にもよるのでしょう。
    若干の違いもあったので、よろしければ以下に。
    一部分省略…2番の歌詞より
    丘の斜面に木の葉が散って 銀色に輝く涙が墓を洗う
    兵士が銃をきれいに磨いている
    彼女に伝えてくれ
    革の鎌で刈り取るようにと
    パセリ、セージ、ローズマリー、そしてタイム
    そうして全てをヒースの束にまとめたら
    そうすれば彼女は僕の本当の恋人になるだろう
    戦いの大砲が鳴り響き 緋色の服をまとった大群は炎に包まれる
    将軍は兵士達に殺せと命令する
    とっくに忘れてしまった戦う理由
    それでも戦えと命ずる

    スカボローフェアに行くのかい
    パセリ、セージ、ローズマリー、そしてタイム
    そこに住んでいる人によろしく伝えてくれ 彼女はかつて僕の恋人だった

    以下は私見です。
    私が気になった箇所ですが、
    And gather it all in a bunch of heather というくだり。
    そうして全てをヒースの束にまとめたら
    という箇所です。
    パセリ、セージ、ローズマリー、タイム以外にもヘザー(ヒース)というハーブが登場しています!
    ご存知の通り、ヒースはメディカル的には、尿路感染症など、泌尿器トラブルに使われるハーブです。又、美肌成分のアルブチンを含むので、ティーやコスメに利用することも。
    それはさておき、この歌詞での、4つのハーブをさらに、ヒースの束にまとめる意味合いとは何かな?と、個人的に気になりました。
    ヒースの名の由来は、有名な文学作品「嵐が丘」の登場人物 ヒースクリフからきていると知っています。
    この物語は、たしかヒースクリフが、戦争から帰って、かつての恋人に再会しようとしたら、既に他の男性と結婚していた悲劇や葛藤を描いていたかと。
    以下は更に独自の考察です。
    嵐が丘のような、戦争により引き裂かれた男女の悲劇を繰り返さない為に? 戒めの意味を込めて?
    ヒースの束にまとめたのかと。

    4つのハーブの意味合いは、授業でも学んだのですが、ヒースの事は全く触れておらず、自分も改めて今、歌詞を見てヒースを見つけて! 気になったので、ちょっと考えてみた次第です。
    そして、やはり平和を願うスピリットで作られた唄ですね。
    文章力が無いので、説得性に欠ける考察になりました。
    ご笑覧下されば幸いです。

    また他の記事も読ませて下さい。

    1. アバター画像

      非常に参考になる考察についてコメント頂き、ありがとうございます。2番に、ヒースの束にまとめるという歌詞があったのですね。全く知りませんでした。

      こうやって眺めてみるとスカボローフェアの歌詞の一語一語に深い意味が隠されていることがわかり、改めて凄い唄だと感じました。

      ハーブと人々の意識の間に、その時の時代背景が隠されているということを知っていくと、個々のハーブに対する学びをもっともっと深めていきたいと感じます。

      素晴らしいコメントを頂き、改めてお礼申し上げます。

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