私自身、ハーブと本格的に関わりを持ち始めたのは、39歳なのですが、30代中盤~後半は心身が不安定になる頻度が多かったです。
不安定さの原因を自分自身で把握できればいいのですが、”不安定さの中にいる=軸がぶれている”ということなので、根本の原因を自分で探り当てるというのはなかなか困難でした。
でも、ハーブティーを毎日飲む日々を5年近く継続していると、心身が不安定になるということがほぼ無くなりました。
「じゃ、今日もハーブティーで自分の気づいていない部分も含めて整えよう」という意識が完全に根付いており、ルーティーンになってしまっているため、ハーブの効能だけではなく、”意識・行動の継続”がいい影響を与えているんだろうなと最近思います。
今日は、京都にある「maka」というお店を紹介します。店主が、植物の香りに助けられた経験から、だれかの力になれたらと、オープンした素敵な場所です。
ハーブティーを心と身体のお守りに「maka」|京都、根っこのある暮らし方
京都・北山「花辺」西棟にある、「maka」。店主・かしだゆきえさんは、ハーブティーと調香を中心に活動しています。植物の香りに助けられた経験から、だれかの力になれたらと、小さなお店を開きました。自分の軸がぶれたとき、駆け込みたい、お守りのような場所です。
まわりに振り回されないで、まず“自分を知る”ことから
「みんなに同じように効くものはないんです」
雑誌の取材で、そう言われて、ハッとしました。
「不眠にはラベンダー?」「ダイエットにいいのは?」「むくみに効くのはどれ?」……。
私たちはついそんなふうに「答え」を求めるけれど。
「“こういう時にはこれ”って、みんな答えを欲しがりますが。一人一人、好きな香りも、症状も違うから、効果があるものも一人一人違う。誰にでも当てはまるとは限らないから、まず、“自分を知ること”から始めてもらえたら」と、「maka」かしだゆきえさん。
何でもすぐ検索できて、情報はどんどん入ってくる、とても便利な世の中だけど。
果たして、自分はどんな香りが好きか。どんなとき心地いいか。
自分のことって、意外とわかっていないかもしれません。
京都・北山にて「maka」を主宰する、かしださんは、ハーブティーと調香を軸に活動しています。
壁にぶち当たって大変だった30代、心と身体の支えになってくれたのが、植物の香りでした。だれかの助けになれたら、そんな思いで、この道へ。自分で試してみて、いいと感じたものだけ扱います。
「植物と人はお互いになくてはならない、共鳴し合う関係。見て感じたり、香ったり、食べたり……、植物の力で、悩んでいること、滞っているものが流れていきます。入り口は、SNSでも雑誌でも何でもいいと思うんです。ハーブティー、トリートメント、足浴とか、いろんな手段があるので、自分に当てはまるものは何か、やってみることが始まり。私は、その橋渡しができたらいいなと思っています」
お茶する感覚で、立ち寄れる場所
ブレンドするハーブティーは量り売りで。テーマをつくってブレンドしていますが、体調や好きな香りを確かめながら、おすすめしてくれます。
リーフはなるべくそのままの形で。本来の形を知ってほしいし、自然な美味しさが引き出されると思うから。
「ハーブティーは香りが良くて、美しくて、美味しい。苦かったり、しんどかったりすると嫌になるけれど、心地いいから続けられる。毎日飲まなくてもいいんです。飲みたいと思う時が、その人にとって必要なタイミングです」
ハーブを育てながら、お店を営みたい。もともとマンションの一室にお店がありましたが、そんな思いが叶って、2020年、北山「花辺」に移りました。庭にはさまざまなハーブが育ち、オリジナルの足浴剤には、京都近郊のハーブを使っているそうです。
「足浴は、女性の身体におすすめです。入浴とはまた違う効果が得られるので、生理痛や冷えはもちろん、頭痛やむくみとか、どんなことでもちょっと違和感を感じたら、やってみてください。ドクダミやヨモギといった、身近にある野草やハーブを煮出して、足湯に使ってもいいと思います」
「花辺」西棟にある「maka」。庭でハーブを育てます 違和感に気づく、それこそが、自分を知ること。
「花辺喫茶部」の山根聡子さん、「sua」を営むセラピストの大谷百世さんと三人で、月に一度「からだの日」も開いています。
6年にわたって、コツコツと続けてきました。現在、会場は主に「花辺喫茶部」。足湯をしたり、カウンセリングを受けたり、お茶しながらそれぞれがゆっくりと過ごします。
なんとなくしんどいとき、駆け込める。静かに自分と向き合える。そんな場が、身近にあるって、とても心強い。気負わず、お茶する感覚で、さらっと立ち寄れるのがありがたい。
押し付けがましくなく、ただただ月に一度、ここでみんなをあたたかく迎える。とても尊いことに思えます。
ヨーロッパの小さな薬局のような店内 ゆるくつながって、思い合う。こういうところも、顔が見える小さな町、京都の良さ。
自分のためにハーブティーを選んで、帰りはいつも心が軽い。
家族や仕事を優先する毎日、自分のための時間を過ごすって、とても大事なこと。
お守りみたいな、こんな場所があれば安心です。
さて、今回、かしださんにお話をうかがいたいと伝えると、
「自分を深く知る、その最たるもの」として、まっさきにすすめてくれたのが「調香」。
ハーブティーとともに、「maka」の主軸となっています。いま、このとき、その人を表す香りをつくる、一対一でおこなう、調香セッション。
集中するため完全予約制で、「1日2組が限界なんです」と、かしださん。どうやってつくる、どんなものなのでしょう。次回、「調香」のお話しを!
maka
京都市左京区下鴨北茶ノ木町25-3 花辺内 西棟
TEL.075-204-5185
10:00〜16:00 水・土・日曜休
地下鉄松ヶ崎駅より徒歩10分
https://makaherb.tumblr.com/
https://www.instagram.com/makaherb/
宮下亜紀(みやした・あき)
京都に暮らす、編集者、ライター。出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。『はじめまして京都』(共著、PIE BOOKS)ほか、『本と体』(高山なおみ著)、『イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由』(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、『絵本といっしょにまっすぐまっすぐ』(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)など、京都暮らしから芽生えた書籍や雑誌を手がける。
https://www.instagram.com/miyanlife/
このような場所が、全国に広がっていくことで、社会の中に心の穏やかさが生まれていくと思います。
makaは”ひとに気付きを与える場所”という位置づけなので、makaへの訪問をきっかけに、自分にあったハーブ・香りを知り、且つ、どのような形で取り入れると心地いいのかを知ることによって、自分の軸を育てていくことができるはずです。
京都へ行った際は、必ず訪問したい場所です。