先月、Stay Homeでありながらも、南仏・プロヴァンス地方のラベンダー蒸留のライブ映像を見れたことに感動し、そのことを記事として取り上げました。
【先月の記事:南仏・プロヴァンス地方のラベンダー蒸留映像をライブで見れる時代の到来】(2020年7月18日)
この映像を見て、フランスのハーブ巡りを早くしたいという想いが一段と強くなったわけですが、それと同時に、フランスのこと(特に、歴史・食文化)を事前に深く学んでおきたいという欲もグッと高まりました。
今日は、そのフランスの郷土料理の世界に関する記事を取り上げたいのですが、地方別の郷土料理の特色の説明が丁寧にされており、且つ、各地方に対応したフランス郷土料理が食べられる東京都内のレストラン情報も載っているため、永久保存版だと思ったのでご紹介します。
【フランス郷土料理の世界】豪華なコースだけじゃない、今こそフランス郷土料理に注目だ!
日本料理に地域性があるように、フランス料理にも“各地域の気候や地形、生産物を生かした料理”というものがある。いわゆるフランスの郷土料理だ。南はプロヴァンス、北はブルターニュ、東はシャンパーニュ、西はバスクなどが有名だが、本稿ではフランスの地方料理に焦点を当てて、アルザス・ロレーヌ、シャンパーニュ、ノルマンディー、ランドック、ブルゴーニュなど各地方のフランス郷土料理の特徴を解説する
Summary1.【フランス郷土料理】豪華なコースだけじゃない! 今こそフレンチの“郷土料理”に注目
2.フランス料理のルーツはローカルな郷土料理にあった!? フランス各地のフランス郷土料理を総ざらい
3.フランスの田舎料理や郷土料理が食べられる、東京の「フレンチ・ビストロ」8選をご紹介
知ってますか? フランス郷土料理の世界
フランス料理と言えば、優雅な皿に美しく盛り付けられたハレの日の料理というイメージがあるかもしれない。けれども、本場フランスには、その土地の文化や風土に根付き、素朴だけれど暮らしの中で長く愛されてきた郷土料理が数多くある。本特集では、そんな土壌と歴史が育んできたフランス各地方の郷土料理をクローズアップし、フランス田舎料理の文化に触れてみたい。
目次
■フランス料理にとって大切な「テロワール」という概念とは?
■フランス各地の食文化とは?「地方別の食文化と主な料理」を解説
1.アルザス・ロレーヌ地方
2.シャンパーニュ地方
3.プロヴァンス地方
4.バスク地方
5.ランドック地方
6.ノルマンディー地方
7.ブルゴーニュ地方
8.ブルターニュ地方
■フランス郷土料理を堪能できる、東京の「フレンチ・ビストロ」8店を紹介フランス料理にとって大切な郷土の味。それが「テロワール」という概念
フランス料理――。その言葉をイメージするなら、豪華食材に何皿も出てくるコース、繊細できらびやかなデザート…多くの方がそう思うことだろう。
けれども、実はフランス人が料理に対して大事にしているものは「テロワール」という概念。適切な日本語訳はなかなか見つからないが、しいて言うなら、“それぞれの地域の気候や地形、生産物を生かした味”といったところであろうか。
フランスの国土は日本の約1.5倍。本土は地中海から北海、大西洋にまで広がり、また気候は大陸性・海洋性・地中海性と分かれ、その地域ごとに土壌や環境は異なり、それにより生産物や調理法も地域に応じてそれぞれ違った顔を見せる。
本特集では、そんなフランスの郷土料理や田舎料理の奥深い世界を覗いてみたい。
フランス田舎料理の世界【地方別の主な特徴と料理】
フランスの地域圏は大きく12(※特別地方公共・海外地域圏は除く)に分かれ、南はプロヴァンス、北はブルターニュ、東はシャンパーニュ、西はバスクなどが有名である。
ここでは、代表的な8つの地方を取り上げて、それぞれの具体的な文化の特徴や代表的な料理を紹介しよう。
1.アルザス・ロレーヌ地方
【特徴】
アルザス・ロレーヌ地方はフランスの東に位置し、アルザス地方は隣接するドイツの食文化と山側の気候を受けている。また立地が山側のため、塩蔵(えんぞう)した肉やジビエ、ソーセージやベーコン、ハムといった加工肉、川魚、チーズを使った料理が多い。
ロレーヌ地方は「キッシュ・ロレーヌ」という有名な料理の名が示す通り、パイ風料理のキッシュが有名で、他にハチミツやミルキーな味わいのマンステールチーズなども特産品としている。
▲シュークルート
【代表的な料理】
シュークルート(塩漬け肉や魚、ソーセージと発酵キャベツの煮込み)、フォアグラのパテ、ハムなどのシャルキュトリー、マトロート(川魚の赤ワイン煮)、パン・デビス(スパイスを効かせた焼き菓子)、キッシュ・ロレーヌ(生クリームと卵をベースにしたアパレイユをパイ生地に注いでオーブンで焼いたもの)、タルトフランベ(小麦粉を練ったピザ状の薄い生地にチーズやベーコンなどを散らして焼き上げたもの)など
2.シャンパーニュ地方
【特徴】
パリの東側に位置するシャンパーニュ地方は大きく3つに区切られ、中央部は小麦や大麦などの栽培を中心に、東部は牧畜、西部はブドウの栽培が主に行われている。またワイン生産地としてはフランスの中で最も北にあり、地名と同じ名を持つスパークリングワイン「シャンパン(シャンパーニュ)」が有名。多用される食材は、牧畜が盛んな地域らしく鶏肉や豚肉、また海に面していないためセーヌ川、エーヌ川でとれる、サーモンやウナギといった川魚が中心。郷土料理は煮込み料理やシンプルにグリルしたものなど、素朴なものが多い。
▲シャンパーニュ(シャンパン)各種
【代表的な料理】
マトロート(川魚を赤ワインで煮たもの)、ジビエ料理、シャウルス(チーズ)、シャンパーニュ風ポテ(塩漬け豚やソーセージ、野菜の煮込み)、ガトー・モレ(クグロフ型で焼いたブリオッシュ)、パン・デビス(スパイス風味の焼き菓子)など
3.プロヴァンス地方
【特徴】
フランスの南東部に位置するプロヴァンス地方は、地中海やイタリアの国境に面しており、トマトやオリーブオイル、オリーブを多く用いる他、ハーブを多用した料理が多い。地中海に面したマルセイユなど漁師町では素材なブイヤベースが有名。イワシやウニ、タコなどの魚介類、ラム肉、ブドウや桃といった果物など多種多様な特産品もある。また、プロヴァンス産のワインは大部分がロゼで、基本的に辛口のものが多い。フレッシュ感のある果実味が特徴的で、すいすいと飲みやすい味わいのものが造られている。
▲仔羊とフォアグラのパイ包み焼き
【代表的な料理】
アイオリソース(ニンニクのきいたマヨネーズソース)、肉のパイ包み焼き、ニース風サラダ、ラタトゥイユ(野菜をトマトと煮込んだ田舎風惣菜)、エスカベッシュ(マリネした魚を揚げたり茹でたりしたもの)、タプナード(オリーブのペースト)、フーガス(円形で平べったいクラシカルなパン)など
4.バスク地方
【特徴】
フランスとスペインの両国にまたがる位置にあるバスク地方は、スペインの食文化の影響も強く、フランス本流とは少し違った個性が特徴といえる。昔から畜産業が活発だったことから肉料理が多く、現在もサラミや生ハム、ソーセージといった豚肉加工品を使った料理もよく食べられる。あまり知られていないが、実はマカロンの発祥の地であるが、現地のマカロンは素朴でごつごつした見た目で、パリスタイルの色とりどりのものとは異なる。
▲ガルビュール
【代表的な料理】
マルミタコ(カツオやマグロなどの魚類とジャガイモの煮込み)、イカの墨煮、ピペラード(トマト、ピーマン、タマネギなどをオリーブ油で炒めてエスプレットを加えて煮たもの)、ガルビュール(生ハムと野菜のシンプルなスープ)、シードル(リンゴ酒)、ガトーバスク(タルトのような焼き菓子)、バスクチーズケーキ(焦げ目が特徴的な素朴なチーズケーキ)など
5.ラングドック地方
【特徴】
南フランスの地中海沿岸地域に広がるラングドック地方はワインとフォアグラが有名で、そのためガチョウを使った料理も多い。内陸部では肉や野菜をふんだんに使ったボリュームのある料理が主流で、中でもメジャーなものは煮込み料理の「カスレ」だ。また、料理名に“ラングドック風”とつくものはトマトやナス、セップ茸を使うレシピが多い。特産品はオリーブの実やアーモンドやブドウ、アスパラガスなど
▲フランス産鴨のもも肉コンフィをのせたカスレ
【代表的な料理】
カスレ(肉類やソーセージと野菜、豆類を煮込んだもの)、鱈のブランダード(牛乳で茹でた鱈とジャガイモをペースト状にしたもの)、パテ(肉のさまざまな部位をラード入りの生地で包んで焼いたもの)、ブラ・ド・ジタン(クリームを詰めたロールケーキ)など
6.ノルマンディー地方
【特徴】
ノルマンディー地方はフランス西海岸部に位置し、湾上に浮かぶ世界遺産「モン・サン=ミッシェル」を含むエリアを差す。暖かく穏やかな気候で、果物の栽培や酪農も盛ん。また、湾岸部では魚介類などを多用した料理、内陸部では乳製品と肉類を多用した料理が中心だ。味付けはどちらも乳製品を使ったクリーム仕立てのものが多く、またブドウが育ちにくい土壌のため、リンゴの果汁を発酵させたシードルやシードル酒を蒸留させたカルヴァドスが作られている。
▲スフレオムレツ
【代表的な料理】
スフレオムレツ、鶏肉のカルヴァドス煮込み、羊(プレ・サレ)料理、舌平目のノルマンディー風、カマンベール・チーズ、リンゴのブルドロ(パイ生地で包んだ焼き菓子)、ガレットなど
7.ブルゴーニュ地方
【特徴】
ブルゴーニュ地方はフランスの東部にあり、中心都市はその名を冠したディジョンマスタード(外皮を取り除いて作るマスタード)で有名なディジョン。天候は日当たりがよく日照時間も長い。また丘陵地帯で水はけもよいため、ワインの材料であるブドウの栽培に適している。こうした環境のよさから、フランスでも有数のワイン産地となり、「ブルゴーニュといえばワイン」というほどに。品質は世界的に見てもとても高く、飲料としてはもちろん、フランス料理においても重要な役割を果たしている。
▲エスカルゴのブルゴーニュ風
【代表的な料理】
エスカルゴのブルゴーニュ風(ニンニクや香草などを効かせたバターとエスカルゴを焼き上げたもの)、グジェール(小型のチーズ風味のシュー生地)、鶏肉や牛肉の赤ワイン煮込み、ブルゴーニュ風ポテ(塩漬けの豚肉と野菜を水から煮込んだもの)、ディジョンマスタード、マコネ(山羊乳のチーズ)など
8.ブルターニュ地方
【特徴】
ブルターニュ地方はフランス北西部にあり、三方を海に囲まれ、沿岸部は海産物が豊富に獲れる。オマール海老や牡蠣、ムール貝といったフランス料理でよく使われる食材から、サバやイワシなど日本人にも馴染みのある魚を使った料理も。また世界的に有名な「ゲランドの塩」の産地でもある。一方、内陸は酪農が盛んで、中でも有名なのがバター。特産である塩を入れた有塩バターが一般的で、このバターを使った焼き菓子もよく知られている。
▲りんごのガレットタタン
【代表的な料理】
そば粉のガレット、ムール貝の白ワイン蒸し、オイルサーディン、コトリアード(ブルターニュ風魚介の鍋)、塩バターキャラメル、小麦粉のクレープ(甘いデザート用)、クイニーアマン(ブルターニュ地方の名物パン)など
フランス田舎料理が食べられる、東京のフレンチ・ビストロ
さて、フランスの各地方の文化や料理に触れて、フランス料理の世界にますます興味を持っていただけたのでは? もちろん東京にも本場のフランス郷土料理を楽しめるフレンチやビストロがあるので、ぜひ訪れてみてほしい。
フランスの郷土文化やフランス現地の本格的な郷土料理を学んだシェフが営む「フレンチ・ビストロ」はどの店も大人気! それぞれ個性のあるフランス郷土料理を味わってみてはいかがだろうか?
フランスの田舎料理や郷土料理が食べられる、東京の「フレンチ・ビストロ」8選
※dressingの2020年8月13日の記事(https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/22761/)より抜粋
これらの多種多様な食に関する情報に触れることで、フランスという国が持つ魅力が自分の中でさらに広がりました。
ハーブが好きな人にとって、フランスと言えば「プロヴァンス!」となってしまうことが多いですが、それぞれの地方が持つ顔を把握し、フランス全体の多様性を深く認識した上でプロヴァンス地方へ訪問すると、入ってくる情報の厚みが増すと思います。
それぞれの郷土料理が食べられる東京都内のレストランも一つずつ確認していきたいと思います。