日々、世界各地のハーブ・スパイスに関する情報に触れていく中で、当然の流れと言っていいと思うのですが、世界各地の様々な料理についての情報についても入手できる機会が増えてきました。
その中で感じたことは、日本よりもずっとハーブが食文化に溶け込んでいる国がとても多いということです。
過去に取り上げた国・エリア別の食文化について取り上げた記事を、(すべてではないですが)以下に列挙します。
【過去の参考記事:「東京スパイスハウス」のデュカ(dukkah:中東のスパイスミックス)は格別でした。】
【過去の参考記事:タイムと胡麻をベースとした中東発祥のスパイスミックス「ザター(ザタール)」を初めて試食してみました。】
【過去の参考記事:ハーブたっぷりの「イランの朝食」をはじめて食べてきました。】
【過去の参考記事:”松ぼっくり”を使ったレシピ(ジャム・シロップ・茶・酒)が存在することに衝撃を受けました。】
【過去の参考記事:「朝ご飯を通じて世界を知る」”ワールド・ブレックファスト・オールデイ(World Breakfast All Day)”というレストランが気になります。】
【過去の参考記事:N.HARVEST(エヌハーベスト)のスパイス講座レポート】
【過去の参考記事:バジルを使って簡単に作れる”シチリア島発祥のデザート”『グラニータ』はこれからの季節にぴったりです。】
【過去の参考記事:紅茶の日にカルディへ行き、東京渋谷に新規オープンした地中海料理店「LAND Seafood」へハシゴしてきました】
【過去の参考記事:南フランス・プロヴァンス地方の郷土料理を味わえる老舗フレンチ料理店『ラブレー』(東京・代官山)】
【過去の参考記事:南イタリアの家庭の味「リモンチェッロ」を初めて飲んでみました】
【過去の参考記事:ブルガリアの「シャレナソル(sharena sol)」という国民的万能調味料について】
【過去の参考記事:ハーブ大国ブルガリアの”料理をしないで料理を楽しむ日常の知恵”。ハニーガーリックと呼ばれるハーブ「サマルダラ」の味が気になります。】
【過去の参考記事:パプリカを焼いて作るブルガリアの保存食『リュテニツァ』が、とても美味しそうです。】
【過去の参考記事:”Oil&Vinegar”にて、ギリシャ料理には欠かせないという「ザジキソース」をはじめて知り、買ってみました。】
【過去の参考記事:中国少数民族のマニアックな中華料理を堪能できる『茶馬燕』@神奈川・藤沢】
【過去の参考記事:カリブ海の小アンティル諸島南部にある島国「グレナダ」にあるナツメグ料理専門店について。「グレナダ」はスパイスアイランドとも呼ばれているらしいです。】
【過去の参考記事:「バクテーの素」を使って、マレーシアの薬膳料理『肉骨茶(バクテー)』を作ってみてわかったこと。】
上記のように、ハーブ・スパイスを切り口にして、目から鱗が落ちるような各国の食文化に触れていく中で気づいたことは、「ハーブと触れ合うことは、好奇心が無限大に広がるきっかけとなり、人生が何倍にも楽しくなっていく」ということです。
今日は、トルコに隣接するジョージア(旧グルジア)の食文化に関する記事を取り上げたいと思います。
その前に、ジョージアの場所は以下になります。
松屋「シュクメルリ」で話題のジョージア料理。日本人好みの味なワケは…
チーズティーやバスクチーズケーキ、チーズタッカルビなど、チーズを使った食べ物にはファンが多く、人気になりやすいですよね。ここ最近では、松屋がチーズとにんにくを使った「シュクメルリ」というジョージア風ホワイトシチューを期間限定でメニューに採り入れて、話題になりました。
この「ジョージア風」というのは、数年前までグルジアと呼ばれており、現在はジョージアと呼び方を変えた国のこと。最近この国の料理がジワジワと人気を呼んでいます。そこで、フードアナリストとして世界の料理を研究する筆者が、ジョージア国の料理を紹介します。
ジョージア料理の特徴は?
ジョージアがあるのは、古くからアジアとヨーロッパの貿易の交差点となったエリア。つまり多くの民族が行き交ってきたことから、多様な食文化の混合がなされています。地理的にトルコ料理やロシア料理、中央アジアや中東の料理にも似たものがあり、これらの地域と影響し合っている事が伺えます。
またジョージアには日本のように四季があるため、収穫される豊かな農作物に肉や魚、乳製品を組み合わせているのも特徴のひとつ。
そして「ワイン発祥の国」を謳っていることもあって、お酒も美味しく、それらに合うような濃いめの味付けが多いです。にんにくやチーズなどの乳製品、くるみ、果物などを用いて、しっかりした味わいに仕上がっています。
「シュクメルリ」以外で日本人がハマりそうなのは?
特に日本人の味覚に合うのは「サツィヴィ」や「ハチャプリ」、「カバビ」といったメニューだと思います。
「サツィヴィ」は蒸したチキンに、にんにくとすり潰したくるみソースで和えたもので、くるみの優しい甘みがありながらつまみにもなるという一品。季節によって、白っぽいソースの上に乗せられたザクロの実が彩りを添え、プチッとした食感でアクセントにもなっています。
鶏肉は他の肉に比べて宗教的なタブーも少ないこともあり、今後は日本だけでなく世界の国々にも、この料理は知られていくのではないでしょうか。
長寿の国なのは発酵食品のおかげ?
「ハチャプリ」は、しばしばジョージア料理の代表のように紹介されるパンで、必ずチーズが入っています。地域によってパンの形が異なり、落とし卵を乗せるものもあって、チーズがたっぷり乗ったピザやチーズパイに似たようなものもあります。
パン生地には、「マッツォーニ」というジョージアの発酵乳製品(ヨーグルトのようなもの)が練り込んでありますが、酸味が気になるほどではありません。
ジョージアは長寿の国としても知られますが、その理由のひとつが発酵食品であり、このマッツォーニをよく食べているからだという話も。ちなみに日本で知られるカスピ海ヨーグルトはこのマッツォーニが原型とされています。
「カバビ」は、つまりケバブ(肉)のこと。スパイスと一緒に成形し、串に通して焼き上げるこの料理は、とにかくビールと合うんです。
串から外してナイフとフォークで切ったそばから肉汁が溢れ出し、そのまま噛み締めてピリッとしたスパイスを感じた直後にビールで流し込む快感は癖になるはず。
そばに添えられた、アジーカという唐辛子を使ったソースにつけて食べると、まさにビールが止まらなくなります。
まだまだある「おすすめジョージア料理」
焼き茄子でくるみソースを包んだ「バドゥラジャーニ」も、パーティなどのフィンガーフードとして好まれるかもしれません。
あとは「ヒンカリ」と呼ばれる小籠包のような見た目の水餃子も日本人の口に合うと思われます。
また、「バストゥルマ」はお酒の良い友。スパイシーな薫製肉で、独特な味はしますが美味です。
「ゲブジャリア」はミントとカッテージチーズのスルグニチーズ(ジョージアのモッツァレラチーズ)包み。外側の小麦粉などのように見えるものがスルグニチーズ。割けるチーズのように手でちぎって食べられます。
ジョージア料理を総括すると…
ジョージア料理は、食材そのものの本来持っている味わいで食べさせるというより、コリアンダー(パクチー)などのハーブやにんにく、唐辛子などのスパイスなどをうまく使っている印象ですが、クセが強くなく食べやすいです。
濃厚な味わいの料理が多いため、お酒好きな人は特に気に入ると思います。チーズもよく使うため、チーズ好きな人もぜひ一度は試してみるべきです。
また料理ではありませんが、クルミをすり潰したソースや、「アジーカ」と呼ばれる唐辛子を使った調味料は親近感を感じながらも新しい美味しさがあり、これらの食材を食べ慣れている日本人も気に入るのでは。
チェーン店で海外料理が増えたワケ
昨今、松屋の「シュクメルリ」もそうですが、サイゼリヤの「アロスティチーニ(ラムの串焼き)」や富士そばの「バクテーそば」など、チェーン飲食店で海外の料理を多く見かけるようになっています。
グローバル化やSNSの普及によって、海外の食の情報が以前より早く日本に入ってくるようになっています。飲食店からしてみれば、お客を飽きさせないように新商品を打ち出していく必要がありますが、国内だけを見て商品開発をしていてもアイデアが頭打ちになり、どこかで見たようなものばかりになってしまいます。
すでに以前から情報感度の高いシェフや新しいものを採り入れる感覚を持った飲食店は海外の食からヒントを得て、お客に提案する動きはありましたが、その気風がチェーン店や、それらの店を頻繁に使用するマス層にも向けて広がって来ているのでしょうね。
<TEXT/澤村建造>
【澤村建造】
フードアナリスト。㈱TNCに所属。これまでに約50ヶ国訪れた経験を活かし、主に海外の フードトレンドや伝統食などを中心に、マーケティングやリサーチを行い、その情報を元に 毎月さまざまなテーマで食に関するセミナー等を実施している。趣味は都内にある世界各国の料理店巡り
※bizSPA! フレッシュの2020年1月25日の記事(https://bizspa.jp/post-262379/)より抜粋
ここで紹介されているジョージア(旧グルジア)料理については、ほとんど全てが、見たことも聞いたこともなく、かなりの衝撃を受けました。
ただ、ネット上で、ジョージア料理について調べてみると、意外と情報量が多くて驚きました。
日本の中で食べられる場所は意外とあるように思います。以下に、幾つか関連のリンクを貼りたいと思います。
記事を書いたフードアナリストも書いている様に、日本のレストラン(チェーン店含む)でも、最近は、世界の食文化を取り入れたメニューが増えてきているように感じます。
この流れは今後さらに加速していくように思うので、非常に楽しみです。
まずは、ジョージア料理を食べに行きたいと思います!