先日書いた記事
「魔女(witchcraft)」という言葉に対する通念が、魔女に対する理解を歪めているように感じる件
に出てくる魔女ですが、魔女というと多くの人はこんなイメージを抱くと思います。
そして、なぜそのほうきは浮いているのか?
そのほうきは何かから作られているのか?
と子供のときは疑問に思っていたと思うのですが、大人になっていくと、「魔女」というくくりに完全におさまり、魔女に対する興味も無くなっていくので、疑問すら湧いてこない人が多いのではと予想します。
ハーブに関わるようになってから、よく使用されるハーブとか、昔からの言い伝えで「●月のハーブ」と言われているものを、月別にも確認するようになりました。
その時しか味わえない、食べられないという「旬」という考えは、山菜ほど厳密ではないですが、ハーブも緩くそういうものは存在しているので、「季節・時期」と「ハーブ」の相関性は大事な視点だと思っているからです。
そんなこともあり、先日、「魔女の12か月」という本をペラペラめくっておりまして、、8月のとっておきのハーブとして紹介されていたのが”魔女のほうき草 ブルーム(エニシダ)”でした。
エニシダの基本情報はこちらからご確認ください。
このブルーム(エニシダ)が、魔女のほうきの素材だったということについて「へえ~」と思いました。
このエニシダの枝はしなやかで、わずかな風にも反応し優美で繊細な印象を受けるが、意外に丈夫で風で折れたりすることはめったにないということです。
風でポキポキ折れてしまうようだったら、ほうきの素材としては絶対に選ばれていないと思います。
エニシダの種類の中でも「ハリエニシダ」という種が、ほうき作りに使用されるようで、枝先には鋭い棘があり、葉にはさらに小さな棘があるのだそうです。
ハリエニシダのwikiの説明の中に以下の記述があります。
繁殖力の強さと駆除の難しさから、2000年に IUCN (国際自然保護連合)種の保存委員会 (Species Survival Commission: SSC) が世界の侵略的外来種ワースト100に選定している。また、日本では外来生物法によって要注意外来生物に指定されている。
牧草地に侵入すると長い刺によって家畜が傷つけられてしまう。刺があるため手作業で抜き取るのは困難である。こうした刺の存在が、本種が侵略的な外来種といわれる理由のひとつでもある。火入れや除草剤による駆除も試行されているが、埋土種子や根からの繁殖力が非常に高いため、簡単には根絶できない。ヤギを用いた天敵導入が有効であるが、ヤギ自体が侵略的な外来種ともなりうるため、扱いには注意を要する
「魔女」というのも人間の観念ですが、「やっかいな外来種」というのも人間の観念です。色々な観念が絡み合っているということですね。
このハリエニシダは、強風が吹き荒れる荒野でも厳しい寒さの土地でも生き延びると言われているため、パワフルな魔女のイメージにうってつけだというのはわかります。
あと、最も知りたいのは、やっぱり「なぜほうきが浮いているのか?」ですよね。
「魔女の12か月」によると、魔女の飛行については諸説あるようで、悪魔にもらった空飛ぶ軟膏を身体に塗るとか、呪文で飛ぶとか言われているとか、、いわれているようですが、「ほうきの材料のブルームにこそ、その秘密がある」と推測できるようです。
どういうことでしょうか。。
それは、このハリエニシダに含まれる「スパルテイン(スパルチン)/英語 sparteine」の成分によるようで、なぜなら、「軽い麻酔作用」があるからとのこと。
Wikiによると、スパルテインはアルカロイドで抗不整脈薬の一種です。
ただそれだけでは、”ほうきが浮く”と”麻酔作用”の因果関係がよくわかりません。
しかし、「魔女の12か月」の著者のハーブと魔女グッズの専門店 グリーンサムのオーナーである飯島都陽子さんは以下の推測をしています。そのまま掲載します。
ブルームの枝を束ねてほうきを作る際、何らかの作用でその成分(スパルテイン)が体内に入ることがあったのではないでしょうか。
例えば、ブルームの皮を剥いで作ったロープで束をきつく柄に縛りつけます。そのときロープの片方を口に加え、もう一方を手で引きながら巻き付けていたとしたら、口でくわえたブルームに含まれるスパルテインは体内で作用して意識は朦朧、ふわふわと空を飛んでいる気分になったとしても不思議ではありません。
ここまでの具体的なイメージを持っているというのは、さすがハーブと魔女グッズの専門店のオーナーだと思います。
最後に、エニシダ自体は園芸主体で、【効能】”特になし” という表記も見受けられるのですが、フラワーエッセンスとして販売しているブランドもありますので、エニシダを取り巻く産業の視点によって見方が異なるようです。