「紅茶の香り」の睡眠に対する有効性確認試験の結果について

今年4月に、コロナ禍の在宅勤務の増加が「ハーブティー業界・紅茶業界」にどんな変化をもたらしているか、についての記事を取り上げました。

【過去の参考記事:在宅勤務の増加が「ハーブティー業界・紅茶業界」にどんな変化をもたらしているのか?】(2020年4月27日)

この記事の中で、ハーブティーメーカー大手のenherbにおいては、ハーブティーの売り上げが増加しており、特に「免疫サポート」を目的としたブレンドのハーブティーの売り上げが伸びていることがわかりました。

また、日東紅茶などを取り扱う三井農林によると、ティーバッグ、パウダー、リーフティーに分けられる製品のうち、ポットや茶こしなどを使って飲むリーフティーの需要が伸び、”手間かけて本格的な味を求める”傾向が出ていることもわかりました。

さらに、スタンダードな紅茶商品よりも、「アールグレイ」、「しょうが紅茶」というように特徴のある商品が売れる傾向にあり、”生活のメリハリをつけたい”という欲求も伸びているという内容でした。

【過去の関連記事:「アールグレイ」のあの香りは、なんの香りなのか?というお話】(2018年2月3日)

今日は、その三井農林が行った紅茶についての興味深い実験について取り上げたいと思います。

紅茶の香りがストレス意識の高い女性の睡眠の質を向上させる – 三井農林

日東紅茶などで知られる三井農林は8月18日、ストレス意識の高い女性を対象に紅茶の香りの睡眠に対する有効性確認試験を実施した結果、就寝時に紅茶の香りを嗅ぐことで、ストレスが低減され、睡眠の質を高める効果があることを確認したと発表した。

同成果は同社R&Dグループの大野敦子氏、佐久川千津子氏、矢田幸博氏らによるもの。詳細は「日本生理人類学会誌」に掲載された。

今回の研究は、紅茶の香りを就寝時に使用することで、日中のストレスで高まった交感神経活動の抑制と、副交感神経活動の優位化を図ることで、入眠を円滑にし、睡眠の質を改善することが可能かどうかを調べたもの。

具体的には、ストレスが原因で睡眠が良くない自覚がある健常な女性20名を対象に、紅茶の香り(ダージリン紅茶の芳香蒸留水:アロマウォーター)とプラセボ(水)をディフューザーを用いて、就寝時にそれぞれ1週間ずつ揮散させ、主観的な睡眠評価、主観的なストレス評価、客観的な睡眠評価の評価を実施。その結果、就寝時に紅茶の香りを嗅ぐことにより、入眠潜時および離床潜時の短縮、睡眠時間の延長、睡眠効率を向上させる生理作用と併せて、主観的な睡眠の質の向上、起床時眠気、入眠・睡眠維持、疲労回復、睡眠時間に対する満足感の向上およびストレス意識を低減する心理作用を有することから、ストレス意識の低減により睡眠が円滑になることが強く示唆されたという。

この結果を受けて研究チームは論文にて、「草木由来や食品由来の香りは交感神経活動を抑制し、副交感神経活動を優位にすることでサーカディアンリズムを整え、自然な睡眠に近い形で、眠りの質を高めることが期待される」、と述べており、今後は更年期女性や高齢者などを対象にした睡眠改善効果の検証などを進め、より実生活に即した睡眠改善法の提案を行っていきたいとしているほか、紅茶の香り成分中の有効成分の探索と特定により、詳細な作用メカニズムの解明も行っていきたいとしている

※マイナビニュースの2020年8月21日の記事(https://news.mynavi.jp/article/20200821-1239796/)より抜粋

個人的には、この結果には少し驚きました。

緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶などは、すべてカメリア・シネンシスというツバキ科の植物から作られますが、一般的には、緑茶と紅茶などはカフェインが含まれているから、寝る前に”飲む”と睡眠を阻害すると言われているからです。

実験では、飲んだのではなく、「香りを嗅ぐ」ことでの比較なので、香り成分ではないカフェインは全く関与していないと考えていいと思います。

今回の実験のメカニズムが解明されていくことで、ストレスを緩和し睡眠を促すことを目的とする「紅茶のアロマ」の需要が高まるかもしれないと思ったのですが、日東紅茶からすでに関連の商品がリリースされていることがわかりました。

紅茶の香りについての研究の動向は今後も追っていきたいと思います。

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