「青森ヒバ」を使った製品をつくるアパレルブランド『Cul de sac』。国産木材に関わる人たちの未来が明るくなるための取り組みに魅力を感じます。

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ちょうど先月、青森ヒバの驚異的な抗菌力、木材としての耐久性等の情報に触れ、実際に、青森ヒバの専門店である「ひば工房」(東京・飯田橋)へ行ったときのことを記事にしました。

【過去の参考記事①:青森ヒバの魅力を堪能できる「ひば工房」(東京・飯田橋)へはじめて行ってきました。】(2019年11月19日)

【過去の参考記事②:防虫・抗菌成分「ヒノキチオール」は、”ヒノキ”よりも”青森ヒバ”にたっぷり含有。白アリも寄せ付けない青森ヒバの威力に驚きました。】(2019年11月3日)

青森ヒバの情報に触れれば触れるほど、その魅力の奥深さがわかってくるので、今後、家をリフォームするタイミングが出てきたら、家の中に青森ヒバを取り入れたいという気持ちがどんどん強くなってきています。

この青森ヒバの魅力が適切に伝わっていくことで、人びとの生活の中に取り込まれていくことにより、様々な方面で社会にプラスの影響がもたらされていくのではないか? というほのかな期待を持っていますので、青森ヒバのことは今後もアンテナを広く張っていきたいと思っています。

ちょうど昨日、「青森ヒバ」を使った製品をつくるアパレルブランド『Cul de sac』(東京都世田谷区)のことを知ったのですが、そのビジョンの素晴らしさに感銘を受けましたのでご紹介したいと思います。

青森ヒバの魅力を知ってほしい。アパレルブランド『Cul de sac(カルデサック)』の新たなプロダクト

 
 編集・ライター ニイミユカ
兵庫県出身、浅草在住。よく食べよく動く、編集者・ライター。衣食住など生活にまつわる地に足のついた企画をメインに、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆しています。instagram @yuknote
 
 
自然と人と動物が心地よく共存できる世界であるために、できることや選べるものがあります。そんな「エシカル」な物事をご紹介する、連載『今日からできるエシカル生活』。今回は、あるアパレルブランドの国産木材を使った製品づくりについて。

第5回:知ってもらうことで、後世に残していく。青森の樹木「青森ヒバ」をブランドに。

アパレルブランドの『Cul de sac』が、「青森ヒバ」という樹木を使った製品をつくっている。そんな噂を聞きつけ、東京は世田谷区にある工房兼ストアを訪ねました。

東急世田谷線・松陰神社前駅から歩くこと3分。住宅街の一角に、大きな切り株が! 『Cul de sac』デザイナーの村口みねこさんにお話を伺うべく、お邪魔します。

壁には「AOMORI HIBA WOOD」の文字が。

地元の大切な資源を知ってもらうことで、未来を明るくしたい。

――そもそも、なぜ青森ヒバを使ってプロダクトづくりを始めたのか、聞かせてください。

「大きな理由は、青森ヒバをブランド化したいからなんです。なんでブランド化したいかっていうと……そもそも青森ヒバって、知ってます?」

――いえ、実は今回取材をするまで知りませんでした。

「そうですよね。青森の方以外では、そう答える方がほとんどです。

私は地元が青森なんですけど、青森ではメジャーなんですよ。独特の香りと抗菌力の高さで、シロアリなんかの虫がつきにくくて、水に濡れても腐りにくい。寺社仏閣にも使われている木材で。

実家は製材業と養豚業を営んでいたんですけど、それを引き継いだ父が、製材業で出た青森ヒバの木屑を、病気やにおい対策として豚小屋に撒いていたんです。実際、豚たちは健やかな状態で、においもグッと抑えられて。それで、これはいいぞと、青森ヒバの製材業に家業を絞ったんです

――まずは、お父さまが青森ヒバの魅力に取り憑かれた。

「そう(笑)」

――村口さん自身も、青森ヒバで何かしたいなって、ずっと思っていたんですか?

「いえいえ。私は実家を出て、東京でアパレルブランドを始めて、少しずつ忙しくなって。父から青森ヒバの相談を受けたり、家業の話しをしたりはしていたから、なーんとなく気にかかってはいたけど、中途半端に何かするのはよくないなって思っていました。

でもある日、一緒に働くスタッフが『青森ヒバってすごいね』と。ほんと、何気ないひと言だったけど、その言葉に『こんなプロダクトをつくりたいんだよ』って返したら、やろうよ! となって。

そこからですね。スタッフと実家の協力を得て、半年ぐらいで30型ぐらい製品をつくって。2015年9月には、アパレルと青森ヒバを両方並べて、いろんなバイヤーさんに見てもらえる合同展に出店しました」

元は劇団の稽古場という、天井の高い一軒家が工房兼ストア。ドアを開けると、製品が棚にずらりと並ぶ。

――急展開ですね! でも、30型もつくれたということは、やると決める前から村口さんの中で随分イメージしていたからでは?

「はい。じわじわとは、考えていましたね。

今のベースになっているものの多くは、この時の30型に含まれてるんですよ。精油とか、チップとか、まな板とか。

青森ヒバから取れる油から皮まで、余すことなく、木の部位に合わせてつくってます

併設された工房では、専業のスタッフが、木材を加工中。

――青森ヒバの魅力を丸ごと感じられるんですね。プロダクトをつくって、木材自体をブランド化することで、どうなってほしいんでしょう?

「青森ヒバのことを、まずは知ってもらいたいんですよね。それがゆくゆくは、青森ヒバを始めとする、国産木材に関わる人たちの未来が明るくなることに繋がればいい」

床材や天板など、木材も購入できる。

――日本の林業を取り巻く現状は、今どんな風なんですか?

「ちょっと矛盾が起きちゃってるんですよ。木は溢れてるのに、建築に使われない。それは、外国から安い木材が入ってきてることが大きいんですけど。伐採せずそのままだから、自然災害や花粉症も増えていく。適切に伐採して使うことが大切なんです。

青森ヒバ自体は計画的に植樹して、育てて、切ってってやっているので、そういうことは起きないんですけど。でも、だからって今のままだと、知らない人が増えて、使われなくなって、存在そのものがなくなってしまうかもしれない。そうしたら、青森ヒバに関わっている人たちは仕事がなくなって、いつかは地元が元気じゃなくなっちゃうかもしれない。

だから『Cul de sac』として青森ヒバでものづくりをすることで、まずは知ってもらう。それがゆくゆくは、明るい未来に繋がればいいなって思います」

青森ヒバの天然の魅力が生きたプロダクツ

ここからは、村口さんがアウトドア好きな人におすすめするアイテムをご紹介します。

成木になるまで、100〜200年かけて、じっくりじっくり育つ青森ヒバ。丈夫でしなやかかつ、その独特の香りと優れた抗菌力が特徴です。自宅はもちろん、キャンプやハイキングなどでも活躍しそうなラインナップ。来年の春に新たに発売されるアイテムも、気になります!

樵煙(虫除け)/KIKORI NO KEMURI _REFILL(1,100円)

「地元の80を超えたおじいさんから聞いたんですけど、かつて青森の樵(きこり)は青森ヒバの皮を頭に巻いて、火をつけて虫除けとして使っていたそうです(村口さん)」。

そんな伝統的な手法を、『Cul de sac』ではアレンジ。乾燥させた皮を使いやすいサイズにカットすることで、自宅を始め、キャンプなどのアウトドアでも使いやすく仕上げています。さらに、空気を含みやすいように手作業で叩いて仕上げているので、非常に手間暇もかかるのだとか。

CUTTING BOARD 青森ヒバまな板・正方形(12,000円)

「青森ヒバは抗菌・防虫・防カビ力の高さや、消臭作用、病原性大腸菌O-157 への抗菌力も実証されてるんです。さらに、耐水性もあるし、適度な硬さで包丁の刃当たりもいい。肉や魚など生物を切るのにも安心で、屋外で調理するキャンプ料理にもおすすめです(村口さん)」

無垢の柾目(まさめ)でとった板を、熟練の職人が1 枚1 枚手カンナで仕上げています。1辺がななめにカットされているから、持ち上げやすい!

フィリバ

「2020年の春からスタートする、アパレルです。青森ヒバの抗菌力を活かした繊維を開発するところから始めました。においの原因が出にくいから、梅雨時や暑い季節など、活躍すると思いますよ(村口さん)」。

カットソーやタオル、ソックスなどをラインナップ。キャンプの焚き火臭や、夏場のハイキングでかく汗対策にも期待できるはず。

遊び心を忘れずに、真剣に。

動物用のフードボウルやスプレーなど、ラインナップは幅広い。取材中、村口さんから、こんな言葉が出ました。「いつだって真剣だし、真面目につくってるけど、ふざけるところが『Cul de sac』。コンセプトは『真面目にふざける』なんです」。

それはつまり、遊び心を忘れないこと。どんな素晴らしい物事も、真面目一辺倒じゃ疲れてしまうし、時に伝わりにくかったりします。そこに、ふっと口元が緩んでしまう何かがあることで、すっと馴染んだり受け入れられることもありますよね。

ギフトにも喜ばれそうなお箸。「HIBA CHOPSTICKS 2set ヒバくびれ箸 2膳」(1,650円)。『Cul de sac』が提案する、青森ヒバらしさが活きたプロダクツ。それは美しく、ストイックだけど、一方で愛らしさを感じたり親しみが湧く。そんなラインナップでした。

<『Cul de Sac_WORKS』概要>

住所:東京都世田谷区若林4-24-20
営業時間:11:00〜19:00
定休日:土日祝
Tel:03-6413-8473
WEB:http://culdesac.jp/

 

青森ヒバを使った製品を様々な角度から開発することで、その魅力に気づき、「生活の中で青森ヒバを使ったものを使用していきたい」という人が着実に増えていくと思いますので、この「Cul de Sac_WORKS」の取り組みは実を結んでいくと思います。

「Cul de Sac_WORKS」のHPのトップページには、「青森」の語源とヒバの関連性など、ヒバの魅力が詰まった内容になっており、面白いので以下に貼ります。

私の実家は青森の材木屋です。
子供の頃から木々の香りに包まれて育ちました。祖父が昭和19年に下駄屋を始め、父の代になってから、青森ヒバの専門店になりました。厳しい風雪にも耐え、たくましい生命力を持つ青森ヒバに父が惚れ込んだのです。

「青森ヒバ」は、青森県を代表する針葉樹です。木曽ヒノキ(長野県)、秋田スギ(秋田県)と共に〈日本三大美林〉に数えられています。ご存じのように東北の冬はとても厳しい。

青森ヒバは成木になるには気の遠くなるような歳月が必要です。直径50センチで200年、直径1メートルに育つには300年ほどかかります。これはスギの3倍も時間がかかるそうです。

青森の名は、ヒバの「青々とした森がつらなっているところ」から取ったとされ、青森県の県木にも指定されています。まさに、青森の木なのです。

私はその青森ヒバから抽出した精油やその特性を生かした商品を作っています。

青森ヒバは、よく「スッとした香り」とか「新築の香り」、「落ち着く香り」と表現されます。私自身、言葉でなんとお伝えしたらいいかわかりません。ですが、一度匂いをかいでいただけたらと思います。なんとも爽やかな、心地よい気持ちに包まれるのです。

私たちは青森ヒバには「自然の香り」のほかに、「高機能(抗菌、防虫、消臭、リラックス)」が備わっていると考えています。昔から、青森ヒバは腐食に強く、耐久性に優れていたため、建築用素材として使われていました。シロアリなどの虫除けや防腐剤のなかった時代、経験的に長持ちする青森ヒバが選択されてきたのでしょう。抗菌効果や防虫効果も高く、中尊寺の金色堂(岩手県)、掛川城(静岡県)、出雲大社(島根県)などの重要文化財にも使用されてきました。成分分析をする知識も機械もなかった時代から青森ヒバは〈なにか不思議な効能〉があると思われていたようでした。

近年になり〈なにか不思議な効能〉は、科学的に解明されました。青森ヒバから抽出される精油に含まれる成分「ヒノキチオール」「β-ドラブリン」がその理由でした。成分には抗菌、防虫、消臭、リラックス効果があり、この成分が含まれる木は世界でもまれで、現在の日本では天然ヒノキチオールを抽出できる原料は、そのほとんどが青森ヒバです。

Cul de Sacで取り扱う商品の原材料は、木材所の製材時に発生する「曲がった木」「端材」「廃材」を使用しています。中には「鉋屑」(かんなくず)もあります。「くず」と言っても、「ヒノキチオール」「β-ドラブリン」を含んだ大切な資源です。私たちは、数百年かけて育った青森ヒバの、端材ひとつ、鉋屑1枚も無駄にならないよう心がけています。もちろん、木材を乾燥させる際の燃料も端材を使用しています。

私たちは本来あるべき形の、自然をより身近に感じられるオーガニックプロダクツを目指しています。青森ヒバ精油」は、幹の部分から抽出します。皮から3~5センチ内側の〈赤身〉と呼ばれるところです。赤身の周りを覆う白太を取り除いた部分を水蒸気蒸留し、精油を抽出しています。抽出できるのは100キロの青森ヒバ材を使っても1キロほど。たった1%しか取ることができません。

青森ヒバは、私が生まれた時からいつもそこにあった木です。力強く、優しい香りに満ちあふれています。精油のほか、織物や工芸品などシンプルで美しい商品もご用意しています。青森ヒバがもたらす、心地よい安らぎと機能性を是非ともご体感いただければと思います。

 

「Cul de Sac_WORKS」は、私の自宅からそんなに遠いところではないので、来年必ず訪れてみたいと思います。

非常に楽しみになってきました。

 
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