コロナ以前は、家の中でアロマを楽しむという発想は、まだ「アロマ好きの女性が楽しむもの」という領域に近かったと思いますが、今現在、その発想は市民権を得るまではいかないものの、かなり一般的な位置付けになった感覚があります。
多くの人々が嗅覚を今まで以上に開いていくということは、脳の活動の活性化につながっていくので、社会にとってプラスの側面が大きいのではないかと感じています。
今日は、調香体験ができる東京・蔵前の『kako(家香)OSAJI』という興味深いお店を取り上げたいと思います。
香りのある生活を楽しむ。蔵前『kako(家香)OSAJI』で作る自分だけのホームフレグランス
おうち時間が増えた今、部屋でアロマを焚くなど、暮らしに“香り”を取り入れる人が増えてきたそうです。リラックスできる香り、気分を切り替えてくれる香り、華やかな気持ちにさせてくれる香り。香りの種類は幅広く、「心地良い」と感じる香りも人それぞれです。
東京の問屋街、蔵前にある『kako 家香』では、オリジナルブレンドのエッセンシャルオイルを自分で組み合わせて香りを作るワークショップを開催。できあがった香りはルームフレグランスとして持ち帰ることができ、連日多くの人がオリジナルの調香を楽しんでいます。専門スタッフのアドバイスとともに、自分好みの香りを作る調香体験を訪れました。
「家紋のような家の香りを作ってほしい」という思いから調香体験を提案
『kako 家香』を運営するのは、スキンケアをはじめ、ライフスタイルに寄り添うアイテムの開発・販売を手掛けるOSAJI(オサジ)。オードトワレも人気が高く、健康と安らぎを意識したアイテムが幅広い年代から支持されています。
OSAJI初のコンセプトストアとして、2021年7月にオープンしたこちらのお店。オリジナルホームフレグランスの調香体験を提供し始めた背景には、「好みの香りを暮らしに取り入れて、日々を豊かなものにしてほしい」という願いが込められているそう。
「“家紋のような家の香り”を作ってほしいという思いで調香体験を始めました。例えば、久しぶりに帰った実家や、友人の家に遊びに行ったとき、それぞれに感じる“香り”があると思います。懐かしさを誘い、時には思い出を呼び起こす香り…。このような個々の生活になじむ“家の香り”をお客様自身の手で作れたらと思い、調香のワークショップをご案内しています」。
こう話してくれた、家香師の西山智子さんは、「ご自身が感じる心地良い香りを作り、長く使っていただくことで、家紋のように世代を超えて引き継がれていくものになればうれしいです」と続けました。
12種類の香りをブレンドして自分好みのルームフレグランスを作る
カウンターに並べられた12種類の香りは、いずれも『kako 家香』オリジナルのブレンドエッセンシャルオイル。香りの持続時間の違いから、トップノート、トップミドルノート、ミドルベースノート、ベースノートの4つに分類されています。
最初のステップは、各カテゴリーの中から1種類ずつ香りを選び、4つの組み合わせを決めること。ムエットと呼ばれる試香紙を使ってすべての香りを確かめ、自分好みの香りの番号を記録していきます。
香りの持続時間が長い、ミドルベースノートとベースノートの組み合わせから決めていくと、「最初の印象は好きだったけど残り香が違う…」というミスマッチになりにくいそう。
12種類とはいえ、フルーティーな柑橘系、爽やかなハーブ系、華やかなフローラル系、オリエンタルなスパイス系など、さまざまな香りに最初から長考してしまう人も多いのだとか。手元に置かれた用紙には、番号ごとの精油名も記されていますが「直感を大切にして」とのアドバイスを受け、記載部分を隠して香りを確認していきました。
「香りは目に見えませんが、それぞれに軽さや丸み、尖りがある。混ぜ合わせることで、あえて個性を出すことも、調和させることもできます。作りたい香りの印象や、生活のシーンを想像しながら選ぶのがおすすめですよ」。
4つの香りを決めた後は「比率」の調合。グラスの中で1滴ずつオイルを垂らし、お気に入りの比率を探ります。強く香らせたいオイルは滴数を増やしながら、1種類ごとに1〜5滴の間でブレンド。たった1滴の差で印象が変わるため、楽しくもあり、悩ましい工程でもあります。
迷った時は、あらかじめ手元に置かれているコーヒー豆の香りで嗅覚をリセットしたり、外に出て香りを確かめてみたりするのも良いそうです。どの香りを強く出そうか迷っていると「深く香ってみて、なんのひっかかりもなく鼻腔を通っていく香りがオススメですよ」とスタッフさんからのアドバイスが。家の香りとして日常的に使うフレグランスだからこそ、違和感なくスッと受け入れられる香りが生活にもなじみ良いとのこと。
比率を決めた後は、スタッフさんがその場で「ブレンドエッセンシャルオイル」や「ルームフレグランススプレー」にしてくれます。作った香りのレシピはお店で保管されるため、何度でも同じ香りのアイテムを購入することが可能です。
さまざまな使い方で暮らしに香りを取り入れて
出来上がったエッセンシャルオイルは、アロマストーンやディフューザーに垂らしたり、お湯を淹れた容器に一滴垂らして芳香浴をしたり、ドライフラワーに香りを染み込ませて楽しめます。ルームスプレーは、香りを楽しみたいときに、好みの量を部屋にプッシュ。枕にスプレーしてピローミストとして使ったり、浴室にたっぷり香りを巻いてリラックスしたりするのもおすすめとのこと。
「好みの香りは、その日の体調や季節によっても変わってくるもの。各々の感覚と向き合って調香し、香りのある生活を楽しんでください」と笑顔で語ってくれた西山さん。
持ち帰ったマイ・ブレンドを、部屋に香らせる瞬間の心地良さは、既製品の香りとは一味も二味も違います。お客さんの中には「季節ごとに香りを変えたい」「大切な人にプレゼントしたい」と、さまざまなブレンドを試みる人もいるそう。自分好みの香りと使い方で、香りを暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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■お店情報
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kako(家香) OSAJI
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住所:東京都台東区蔵前4-20-12精華ビル1階
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営業時間:11:00〜18:30
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定休日:月曜日(祝日の場合翌火曜日休み)
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調香体験予約フォーム:https://coubic.com/osaji/814089
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調香時間:約60分+ アイテム製作時間30分
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料金:〈ワークショップ+エッセンシャルオイル10mL×1〉 ¥4,000円(税込)
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〈ワークショップ+エッセンシャルオイル10mL×1、ルームフレグランススプレー100mL×1〉 ¥6,000(税込)
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※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
- ※ラナーヌの2022年3月16日の記事(https://mama.smt.docomo.ne.jp/ranune/article/2917547/?utm_source=gunosyrss)より抜粋
体系的に、自分好みの香りを時間をかけて作り上げていくプロセスはものすごく貴重な時間になりそうです。
東京・蔵前はスパイス系の魅力的なお店がいくつかあるので、一度「蔵前ショートトリップ」を実行してみたくなってきました。
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