毎年一度は、家族で千葉を旅行するのですが、今から二年前に、「千葉県と枇杷(ビワ)の深い繋がり」を感じ興味が沸いたので、枇杷のことを記事にしたことがあります。
【過去の参考記事:千葉県への旅行をきっかけにして、枇杷(ビワ)のことを少し調べてみました。】(2018年8月9日)
この記事の中では、薬用養命酒の研究員の解説記事を取り上げたのですが、要旨は以下です。
・ビワの葉には咳を鎮めたり、痰を除いたり、胃を丈夫にしたり、体の余分な水分を排泄したりする作用がある(鼻づまりの解消や鼻の炎症を鎮める目的で、漢方薬の辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)に配合)
・民間的にはビワの葉を煎じた汁を皮膚炎やあせもに湿布したり、浴用料として用いた(江戸時代は、琵琶葉湯」が暑気払いに用いられた)
・果実も、葉と同様に咳を鎮めるために用いられる。果実の成分の解明は近年進み、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素であるビタミンAに変換されるβ-カロテンや抗酸化性の期待できるポリフェノール類が多く含まれていることがわかった
・江戸中期ごろから南房総でビワ栽培が始まり、それが江戸に出回った
・江戸後期には、今の長崎県茂木町に住む女性が中国商船から持ち込まれた中国原産の「唐ビワ」を食べ、その種を自宅の庭にまいたことから、西日本を代表する品種「茂木ビワ」が広まった
・長崎県と千葉県が2トップで日本のビワ収穫量の約半数
その枇杷を昨日、妻の母親からいただきました。
この機会に、枇杷の活用方法をいくつかの角度から調べてみることにしました。
まず、活用方法を俯瞰できる情報を以下に抜粋します。
飲用
採取した葉を水で洗い(裏側の綿毛をできるだけ取る)、3〜10mmの大きさに刻み、陰干しにします。完全に乾燥したら、お好みで焙煎(フライパンなどで煎る)します。手でつぶれる程度が目安です。飲みやすくなり長く保存できます。乾燥または焙煎したものを、薬缶で煎じるか急須に淹れて、お茶として飲みます。利尿・解毒・鎮静作用に優れているといわれ、下痢止め、慢性的な身体の痛み緩和に使われてきました。
食用
実は生食の他に、ジャムや菓子類の餡(果肉に三温糖を加え水分を抜く)やトッピングに使います。
浴用
乾燥葉を布袋などに詰め、お風呂に入れます(びわ湯)。湿疹・かぶれ・あせもの改善に使われてきました。我が家では、子供があせもでかゆそうなとき、行水の要領で水遊びをさせます。
塗用
乾燥葉の煎じ液を患部に塗ります。湿疹・かぶれ・あせもの改善に使われてきました。
洗用
乾燥葉の煎じ液で、かゆみのある部分を集中的に洗い清めます。頭皮のかゆみ・ふけには洗髪、肌荒れには洗顔、手足の荒れには手湯・足湯がおすすめです。※阿蘇薬草園のHPの「びわ」の説明ページ(https://asoyakusouen.co.jp/herb/herb_biwa.html)より抜粋
ビワの民間療法の歴史・種類・主要なレシピについては、以下に記載されています。
●ビワの葉療法の歴史
●釈迦三千年の仏教医学
インドのお釈迦様の経典(仏典)のひとつ『大般涅槃経』(だいはつねはんぎょう)の中で、ビワの木は「大薬王樹」、ビワの葉は「無憂扇」と呼ばれ、大変優れた薬効があると伝えられています。 例えば、「大薬王樹、枝、葉、根、茎ともに大薬あり、病者は香をかぎ、手に触れ、舌で舐めて、ことごとく諸苦を治す」と記されています。また、中国の明時代(1366-1644)に発行された『本草綱目』(1956年、李時珍著)の中にも、ビワの葉の効用についての記述があります。
●奈良時代に仏教とともに中国から伝来
禅文化研究所の文献によれば、ビワの葉療法は鑑真和尚(唐招提寺建立)が中国から日本に伝えたとされています。特に、時の天皇、聖武天皇のお妃の光明皇后が730年に「施薬院」(今の病院)を創設し、そこでもビワの葉療法が行われていました。それ以来、お寺の僧侶が寺の境内にビワの木を植えて檀家の人々や村人にビワの葉療法を行い、病人を救ってきました。 しかし一般には「ビワの木を庭に植えると病人が絶えない」とか「縁起が悪いのでビワの木を庭に植えてはならない」という迷信がありました。
●江戸時代に栽培が始まる
日本で栽培が始まったのは江戸時代中期頃で、千葉の富浦には宝暦初年(1751年頃)の栽培記録が残っています。そのころの果実は小ぶりだったそうですが、そこで栽培されたビワは江戸に出荷されていたそうです。その後、江戸時代の末期(天保から弘化の頃)に中国の品種が日本に入ってきて、現在のような大玉のビワが本格的に栽培されるようになりました。
●ビワの葉の民間療法いろいろ
●ビワの葉を直接患部に貼る方法
ビワの葉は色の濃い古い葉を使用します。これを患部に当てて貼っておくと、体温によりビワの葉が温められて薬効成分が少しずつ皮膚から浸透し、痛みや腫れがとれたりします。例えば、捻挫や末期ガンの痛みに奏効したという事例があります。体温で葉がすぐにバリバリになるので、葉の上にラップや油紙を貼っておくとより効果的です。
●金地院療法(ビワの葉をあぶって撫でる方法)
臨済宗の寺、金地院(こんちいん:静岡県引佐郡細江町)で河野大圭(こうのたいけい)師が行った療法で、これにより難病に苦しむ20万人以上の人々が救われたと言われています。 緑の濃い厚手の生葉の光沢のある表面を焦げない程度に火であぶり、2枚合わせて両手で10回ほど擦り合わせ、これを1枚ずつ両手に持って熱いうちに皮膚に直接密着させ、押し揉むようにして撫でます。撫でる場所はまず腹部を6~7分、丹田とみぞおちを入念に行い、その後、背、肩、腰、尻まで全部で10分程度行います。最後に局所、例えば肝炎なら肝臓部の腹部と背部に行います。
●ビワの葉温灸(ビワの葉に棒もぐさを使う方法)
ビワの生葉に棒もぐさを使用する温灸法で、一般に大変よく普及しています。栃木県真岡市の長蓮寺が発祥の地といわれ、現在はそのお寺出身の濱田峯瑞先生や自然療法研究家の神谷富雄先生が普及しておられます。ビワの葉を患部やツボに当て、その上に棒もぐさを立てて温灸します。
●ビワの葉風呂
ビワの葉を煮出し、煮出し湯をその葉と一緒に風呂に入れます。温泉に入った時のように身体の芯から温まり、湯冷めしにくいので疲労回復や冷え症の人にお勧めです。肌がすべすべになり、アトピーなどの皮膚病や荒れ、日焼けあとなど皮膚トラブルの人に良いとされます。参考文献 「体と心がよみがえるビワの葉自然療法」望月 研著 東城百合子監修 池田書店より
●ビワの葉エキスの作り方
ビワの葉は、歯ブラシで裏の毛を取り除いて水洗いにします。1日ほど陰干しして、2cm幅に切り、ホワイトリカーに漬け込みます。葉は多い方が効果があります。15~20枚分のビワを梅酒の瓶で漬け、4か月~半年でビワの葉エキスの出来上がり。1年以上寝かせるとまろやかになります。エキスを使った温湿布という方法もあります。例えば、捻挫、突き指、鞭打ち症、慢性病などに奏効したという事例があります。
※ホワイトリカーは刺激が強いため、肌の弱い方やアルコールに反応する方は弊社の「エクシートスキンクリーム」をおすすめします。●ビワの種酒の作り方
自然療法研究家の東城百合子先生によれば、ビワの種にはビワの葉の1200~1300倍のアミグダリン(ビタミンB17)が含まれているそうです。アミグダリンには、血液浄化作用や鎮痛作用、殺菌作用などがあるとされ、ビワの種を食べると血液がサラサラにきれいになり、いろいろな病気の予防と治療に役立つといわれています。
作り方は簡単♪ 玄米焼酎35度1800mlに、びわ種700g~1㎏入れるだけです。びわ種は、茶色い皮をむきます。半年ほどでエキスが抽出し茶色くなってきます。この時点で使うこともできますが1年以上熟成させた方がエキスも良く出て効果が高いようです。大体2年を目安に種を取り出しています。
2~3倍に薄めて口の中ですすいだり、のどの痛み・せきにはうがい、内臓の痛みや炎症には少しづつ飲みます。ガーゼに浸し湿布し、水虫・切傷・やけど等にも。※使用する際はアルコールがきつい場合はお湯で薄めてご使用下さい。
●ビワの葉茶
ビワの葉を煎じて飲む方法です。昔から夏負けや暑気あたり、食中毒や大腸カタルの予防の保健薬として愛飲されてきました。ビワの葉茶にはタンニン、サポニンが含まれ、胃腸の弱い人、咳・痰切り、慢性気管支炎などに良いとされ、尿の出が悪くむくみのある場合には利尿作用を発揮します。また、濃く煮出した煎じ汁は切り傷、虫刺され、アトピー性皮膚炎、かぶれ、やけど、日焼けに良いとされます。まったくクセがなくノンカフェインなので小さなお子様でも抵抗なく飲めます。
※飲み始めてしばらくはおトイレの回数が増えますが、これは体に溜まった毒素や余分な水分を外に出しているからです。
※エクシートスキンクリームのHPのビワの葉の説明ページ(https://www.exito-japan.com/biwareaf/)より一部抜粋
上記の情報は、数々の事例をもとにしたものだとは思うのですが、そのまま鵜呑みにはせずに、自分自身でしっかりと検証して実感できるかどうかを確認することが必須だと思います。
以下には、ビワの活用レシピについての詳細な情報を確認することができます。
あと、「日本ビワ温圧療法師会」という団体があることもわかりました。ビワ療法の世界を究めていきたい方にとっては有益だと思います。
今回頂いたビワの活用方法としては、エキスが有力かなと個人的に感じました。楽しみになってきました。