今後、恐らく長期にわたり、『環境・社会問題に対するハーブの適用の可能性』の模索というのは、自分の中で非常に大きなテーマの一つとなると思います。
特に「農業」に関連する領域においては、ハーブの持つ耐性(強さ)をベースとした”周囲の環境に対する持続的な好循環を引き起こす能力”の高さに注目しています。
「好循環」というのは、コンパニオンプランツ的な周囲の植物に対するプラスの影響だけではなく、その近くにいるヒトの心理に対するプラスの影響も込みでの意味合いです。
今、思い返してみると、30年以上前の小学生の時に、企業活動による二酸化炭素排出が問題視されていることを受けて、「二酸化炭素を酸素に変える装置を作るんだ」という意気込みで学者になる夢を持っていたことを思い出しました。
なので、ハーブのことに触れていく中で、環境問題に対する意識が高まってきているのは、自分にとっては自然なことなのかもしれません。
今日は、東京理科大学の研究グループが、”環境保全型の有機農法への活用”にもつながりそうなミントを使った実験結果を先日発表しましたのでご紹介します。
2020.02.17 ミントの香りで益虫を誘引 害虫防除に応用へ
ミントが放つ独特の香りが害虫の捕食性天敵であるタバコカスミカメを惹きつけることを、東京理科大学の研究グループが発見した。タバコカスミカメは、ミントの香りを予め経験することで、より強く惹き付けられることもわかった。今後は、ミントを用いた有機農法の技術革新や、環境保全型の有機農法への活用も期待される。
同グループは、ヨトウガ、アザミウマ、コナジラミ、ハダニなどの重要害虫の土着天敵であるタバコカスミカメに対して、ミントの香りが強く惹きつけることを発見。タバコカスミカメを効率的に害虫防除に活用するためのノウハウを見出した。
ミントでも異なる香気成分を放つキャンディミント、スペアミント、アップルミントの香りに対するタバコカスミカメの行動について選択実験を行なった結果、キャンディミントの香りはヨトウガ幼虫に食害されたナス葉から放出される匂いと同程度にタバコカスミカメを引き付けることがわかった。
さらに、キャンディミントの香りを予め経験したタバコカスミカメは、食害されたナス葉から放出される匂いよりも強くキャンディミントの香りに嗜好性を示すようになった。これは、キャンディミントの香りが、タバコカスミカメを誘引するだけでなく、食欲増進の効果も持ちあわせていることを示している。
また、ミントは異なる天敵種であるタイリクヒメハナカメムシには誘引効果がないことから、特定の天敵種を惹きつけるコンパニオンプランツであることが示唆された。
キャンディミントの香りは、タバコカスミカメや、チリカブリダニなど益虫を惹きつけるだけでなく、ミントの近くの作物の防御力を高めることができる。
今後の展望として同研究室では、生物間コミュニケーションにおける複合的なアウトプットを人為的に用いることで、無農薬栽培や減農薬栽培など環境保全型の農業の実現につながるとしている。
※農業協同組合新聞【電子版】の2020年2月17日の記事(https://www.jacom.or.jp/nouyaku/news/2020/02/200217-40384.php)より抜粋
この領域についての研究結果は、植物と昆虫のコミュニケーションにおける相性についての知識を深めていくことができて非常に面白いです。
このような研究で得られる知見は、ミクロの視点においては、個人の畑、ガーデニングに取り入れていくことができると思いますが、マクロの視点においては、農業全体の中で農薬使用量の減少にもつながっていく話だと思います。
ところで、ここで用いられている「キャンディミント」はどのような特徴のあるミントなのでしょうか。
キャンディミントについては、詳しく説明されているサイトはネット上では見当たらなかったのですが、以下のページは比較的丁寧に説明されていました。
(以下、”育て方概要”より抜粋)
キャンディミントはシソ科の耐寒性多年草(宿根草)。キャンディの甘い香りがする。
ブラックペパーミントの栽培品種。なので葉っぱの形状はブラックペパーミントに似ている。
茎が太く葉が厚い。キャンディの香料用精油を取るために栽培する。地下茎で増え、こぼれダネでも増え、頑健なので広がりすぎないように気を付ける。庭植えにはしない方がいい
私自身、キャンディミントは育てたことが無いので、今年は、香りの確認の意味で育ててみたいです。
今回の東京理科大のような研究が広がっていくと、ハーブの持つ可能性がさらに広がっていく予感がしますので、引き続き追っていきたいと思います。