日々の生活の中で「占い」に関する情報というのは、テレビ、ネット、雑誌の世界で溢れていると思いますが、私自身それらをしっかりと見たり聞いたりするということはほとんどありません。
ただ、子供たちとの会話の中で、遊び感覚でYahoo占いを見て、「今日は運がいい・良くない」を星座別の点数を参照するということがたまにあるくらいです。
ただ、以前から私の所属しているJAMHA(日本メディカルハーブ協会)の会報誌に、有名な占星術である鏡リュウジ氏が担当されているページがあることだけは知っていたのですが、それも正直あまり目を通したことがありません。
ちょうど昨日、「生活の木」の記事で、その鏡リュウジ氏と、津田啓一郎氏(生活の木 研究開発DIV. チーフアロマブレンダー)との対談がアップされたのですが、その内容が、アロマテラピーと西洋占星術の歴史的な相関性に触れたものになっていました。
ハーブ・アロマに関わる者として、今後、西洋占星術を見る視点に影響を与える内容だったのでご紹介したいと思います。
西洋占星術とハーブの話 4つのエレメントとアロマの関係
2019.06.19
TEXT by Keiichiro Tsuda (Chief Aroma Blender)星々の動きから未来を占う西洋占星術は、4つのエレメントを通じて香りとも深い関係をもっています。
今回は、心理占星術研究家の鏡リュウジさんをゲストにお迎えし、アロマテラピーと占星術について伺いました。
津田:アロマテラピーと占星術は共通点があると鏡さんは仰っていました。
鏡:現代では、占星術と天文学が分かれていますが、16世紀頃までは同じ「星学」という学問でした。昔の人々は神が創造した完璧な天界と地上は密接に結びついていると信じていて、星の動きから地上の複雑な理を解明しようとしました。
この星学の基となったのが、古代ギリシアのエンペドクレスが提唱した、火、空気、水、土の4つのエレメント(元素)からなり、この世に存在するものはすべてこれらのエレメントの組み合わせによるというものです。
その後、アリストテレスによって4元素に関する基本性質(熱・冷・湿・乾)が示されました。この考え方に、星や人間の性質や性格をあてはめたものが4つのエレメント(火、風、水、地)です。
火:(星座)牡羊座、獅子座、射手座
(元素)火
(基本性格)物事に固執せず、人生を楽しむ楽天家。誰とでも気軽に打ち解ける。暴走すると時に利己的になることも。
地:(星座)牡牛座、乙女座、山羊座
(元素)土
(基本性格)物思いにふけることが多い勉強家。孤独を恐れず、決めたことは追及し続ける。頑固な一面も。
風:(星座)双子座、天秤座、水瓶座
(元素)空気
(基本性格)熱しやすく冷めやすい、フレキシブルな性格。新しいことに拒否反応を起こすより好奇心が勝るタイプ。
水:(星座)蟹座、蠍座、魚座
(元素)水
(基本性格)穏やかで静かな性格。内気で家庭的な人情派。周りのからの影響も受けやすい性質。勘が鋭い。
当時、病気は体液のバランスが崩れて起きると考えていました。この体液も天界の影響を受けると考え、4つのエレメントに分類しました。
16〜17世紀の西洋で、病気を治す代表的な薬はハーブでした。ここで4つのエレメントを通じ、占星術とハーブ(アロマテラピー)が関係してきます。
津田:占星術とアロマテラピーにそんな深い歴史があったとは驚きです。4つのエレメントに対応するハーブはありますか。
鏡:火なら、熱感のあるジンジャー、地はナス科、風はリンデン、水はキャベツなど水分を多く含むものといったように、対応するハーブや植物があります。
個性を強化したいときは、自分のエレメントに該当するハーブを使い、個性が過剰な場合は、逆のエレメントを参考にします。例えば、身体が熱くほてるときには、それを打ち消す水のエレメントに該当するハーブを処方していました。
津田:精油をブレンドする場合、その基準は香りの嗜好性になります。新たな精油の選び方を模索していたとき、エレメントに出会いました。エレメントごとに適応する様々なハーブが分類されていますね。
鏡:エレメントのハーブの分類は様々ですが、スコット・カニンガムの著書は有名です。彼は各エレメントの星のイメージから、多くのハーブを紹介しています。
津田:分類されたハーブ(アロマ)を調べると、エレメントごとに香りの共通点があり驚きました。エレメントのイメージから香りを具体的に組み立ててみたので、先生に感想を伺いたいと思います。
「火」は華やかに香り立ち、鮮やかに消えるシトラスを主役に温度感のある香りにし、「地」は頑なで神経質な性質を癒すラベンダーとアーシーな素材が香るように。「風」はそよぐ木々を感じさせる、揮発性が良い薬草の香りで構成し、「水」は甘さと辛さ(からさ)を兼ね備え、じんわり浸透する香りにしました。
鏡:4つのエレメントを香りで表現するとはおもしろいですね。エレメントごとに、香りの個性がしっかり感じられます。占星術と香りのマリアージュには、ワインのようなおもしろさがありますね。
津田:ありがとうございます。自分のエレメントの香りをお守りにしたり、他のエレメントの香りでいつもと違う自分を演出することも楽しめると思います。
香りを一種の魔法にするのですね。香りでエレメントが持つ力を召喚できそうですね。ほかにも曜日に合わせてはどうでしょう。占星術では日曜日は太陽、月曜日は月と、それぞれの曜日と星が対応しています。曜日に合わせた星が属するエレメントの香りをつけることで、星の力も召喚できそうですね。
津田:生活や心を豊かにする香りの新しい選び方として、ぜひエレメントを参考にしてほしいと思います。
鏡リュウジ
心理占星術研究家・翻訳家。占星術への心理学的アプローチを日本に紹介し、従来の占星術のイメージを大きく塗り替え、幅広い世代から支持される占星術の第一人者。大学でも教鞭をとるなど、アカデミックな観点からも占星術を紹介し、自ら翻訳も行う。鏡リュウジ公式サイトはこちら
津田啓一郎
生活の木 研究開発DIV. チーフアロマブレンダー
20代前半から装飾装花の仕事に携わり、生の植物から採られる香りに興味を持ち、調香師を志す。国内で調香を学んだのち、フランスにある調香師育成校 “Grasse Institute of Perfumery”にて本場の調香も勉強した、生活の木のチーフアロマブレンダー。※生活の木の2019年6月19日の記事(https://www.treeoflife.co.jp/library/aromablendlab/essentialoil/201906195414.html)より抜粋
このエレメントとハーブ・アロマの相関性についてすでに知っている方にとっては、あまりインパクトがないかもしれませんが、その繋がりを今まで知らなかった私にとっては非常に意味のある記事でした。
世の中の森羅万象と人間との関わりが、歴史的に俯瞰できるような感覚があり、今後のハーバルライフの中で、この4つのエレメントとハーブ・野菜・香りの相関性については意識をしていきたいと思えました。
「占い」と言っただけで毛嫌いしてしまう人は多いと思いますが、自然と人間との長い関わりの中で育まれてきたものだという事を深く理解していくと、視点が変わっていくと思います。
今後のハーバルライフに間違えなく影響を与えてくれる内容の記事に出会えたことに感謝したいです。
Essence
21 6月 2019非常に興味深く記事を読ませて頂きました。
私が学んでいるメディカルハーブは、エビデンス(科学的実証)に基づき薬効があるハーブですので、占いというと、科学的な分野とは相反する分野です。
しかしながら、歴史を紐とくと、魔女や呪術、祈祷師、シャーマンなど…
古くから、香りのあるハーブには魔力があると信じられており、その分野との繋がりは切り離せません。
人々が病魔や自然災害など、不可抗力な不幸から逃れようと、すがるように求めたのがハーブと香りの魔力でした。
近代技術が発達した現代でも、不治の病や自然災害から逃れる術は有るとは言えません。
現代は科学的実証があるハーブを利用出来、それらを基に抗生物質なども生まれました。
それらは、長い歴史の中で、先人たちが占いや呪術的な信仰を信じながら、体得して伝承してきた植物を分析して得た結果ですから、その歴史を全く否定する気は私にはなれません。
占いは確かに営利目的な怪しさが横行して胡散臭いイメージになってしまいましたが、 本来は人を幸せに導く分野だと思います。
傾倒し過ぎなければ、人生においてのスパイスのような彩りを与える役割になるかと。
ハーブを生活に活かすことは、自然の智慧を頂く文化の継承だと個人的に思っています。
文化は先人たちの歴史の積み重ねで培われてきたものです。
占いも生活の一部として楽しみながら、先人が抱いていたロマンと共にハーブを学んでいきたいと思っています。
古代は魔力。現代は薬効。
それらを秘めているハーブ! と思うと尚更、愛おしいかと。
鏡リュウジ氏のニコラスカルペパーの訳書も、以前より気になっていたところでした。近々、読んでみたいと思っています。
とても興味深い対談を取り上げて頂きありがとうございました。
では。
また 記事を読ませていただきます。
Rosemary6107
23 6月 2019Essence様、素晴らしいコメントありがとうございます。
おっしゃる通り、ハーブの魔力を信じてきた先人たちを想像しながら、いまここでハーブに向き合う事はとても大事なことだと思います。
ハーブ・香りとヒトとの関わりの中から生まれた数々の逸話・ストーリーを一つ一つ知っていくことは、よりハーブの本質に近づいていくことにもなると思います。
先人たちがどう捉えてきたか、そして、今自分はどう感じるかの対比は、ハーブと触れ合う上での一つの楽しみだと自分は感じています。
私もニコラス・カルぺッパーの著書を読んでみたいと思います。
“人生における楽しみ”って、Essence様がおっしゃるように、”スパイスのような彩り”という表現がぴったりような感じがします ^ ^