先日の記事「パエリアに使われる「サフラン」の活かし方は幅広いようなので、まずはサフランの事を少し調べてみました。」で、サフランのことを取り上げて以来、サフランに対する興味がグッと上がりました。
そんな中、ちょうど先週末に街で買い物をしているときに、国産の様々なお茶を売っているコーナーで、偶然「サフラン」のキーワードが飛び込んできました。(以下です)
それぞれの裏面・内容物・味を早速確認してみました。まずは、左のサフランから。
つづいて、サフランティーです。
先程、大分県竹田市がサフラン生産日本一という表記がありましたが、国内のサフラン生産事情はどうなっているのでしょうか。
気になったので調べていたところ以下のページの情報が参考になりましたの紹介します。
日本のサフランの産地 ~ 大分県竹田市 現地レポート ~
はじめに ~サフランって何?~
サフランはアヤメ科の学名Crocus sativus Linneの柱頭(めしべ)を乾燥したもので、食品ではサフランライス、パエリア、ブイヤベースなどのヨーロッパ料理に用いられる香辛料として広く知られています。しかし、日本には医薬品として江戸時代に渡来したことは、あまり知られていないようです。
サフランは1886年(明治19年)、日本初の医薬品公定書である初版日本薬局方に『洎芙蘭』で収載されました。現在も日本薬局方に『サフラン』で収載され、冷え症や血色不良などに用いられる医薬品として活躍しています。
サフラン生産の歴史
サフランの原産地は地中海東部沿岸といわれ、初めて栽培が行われたのはイラン、インド(古代ギリシャとの説もある)だといわれています。日本でサフランの生産国といえばスペインが有名です。スペインには紀元後961年頃イスラム教徒により伝えられたといわれていますが、現在の世界最大の生産国はイランです。
現在、サフランは日本をはじめ、イラン、ギリシャ、モロッコ、インド、スペインなど世界各地で栽培されています。世界の総生産量は200,000kgといわれていますが、イラン産はその内の170,000kgを占めています。100kgの生花から約1kgのサフランが生産されることから、毎年サフランの生花が20,000,000kgも人手で採集されていると考えると気の遠くなる話です。
日本での栽培は1886年(明治19年)からはじめられ、1903年(明治36年)には、大分県竹田市に伝わり、大々的に栽培がはじまりました。大分県以外では熊本県、岡山県、鳥取県、和歌山県などでも栽培され、最盛期には1,000㎏近い量が生産されていました。しかし、2011年度における国内生産は、竹田市で生産されるものだけとなり、生産量は激減しています。
サフランは1886年(明治19年)、日本初の医薬品公定書である初版日本薬局方に『洎芙蘭』で収載されました。現在も日本薬局方に『サフラン』で収載され、冷え症や血色不良などに用いられる医薬品として活躍しています。
日本国内(大分県竹田市)のサフラン栽培の現状
大分県竹田市の生産のピークは1970年ごろで、生産農家数は約360戸、生産量は約500kgであったといわれています。しかし、農業従事者の減少、高齢化などの諸事情により年々減産の一途をたどってきました。特に減産が目立ったのは1990年ごろで、要因としては薬用酒メーカーの処方変更でサフランを使用しなくなったことと、輸入サフランとの価格差です。国産のサフランはめしべが大きく、色調も鮮やかで、香味も優れており、品質では世界一といえるだけに、現在の生産状況はとても残念なことです。
竹田市の生産ピーク時には1軒で10kgも生産できる農家も有りましたが、生産者の高齢化もあり、1軒で50g~100g程と少量しか生産できない農家もでてきました。そのため、現在竹田市内にサフラン生産農家は70~80軒ありますが、竹田市全体での生産量は30kgに満たないのが現状です。
当社サフラン集荷人の紹介
70~80軒の生産農家をまとめていただいている竹田直入森林組合の渡部組合長は、代々竹田市でサフラン作りをしておられます。組合長のお宅を訪問すると、とても大きな日本家屋が印象的で1人の大工さんが何年もかけて作り上げたこだわりのご自宅でした。職人さんのこだわりが随所に見える、何ともいえない職人魂が感じられる、そんな職人魂いっぱいのご自宅の敷地内にある栽培小屋で、サフランの栽培方法を教えていただきました。
サフランの栽培方法
サフランの栽培には、路地栽培と室内栽培の2つの方法があります。スペインなど海外では、一般的に花が咲く前に畑に球根を植え、畑で花を咲かせる路地栽培が主流です。しかし、竹田市では室内で花を咲かせる室内栽培が行われています。この栽培方法は日本独自の栽培方法で、花を咲かせる球根を選択して大きなめしべをつけるサフランを栽培します。サフランは一つの花に3本のめしべができますが、めしべの根元部分は黄色く、良品のサフランはこの部分を取り除くからです。このように室内で花を咲かせるため、異物混入や植物の病気も少なく、サフランの品質は大変良い物が出来上がります。近年、この栽培方法と球根が中国にわたり、中国産サフランも輸入されるようになりました。中国産サフランは大きさは日本産と変わりませんが、乾燥技術に差があるようで、色調が日本産と比べて黒味を帯びており、光沢に欠けるので日本産と区別できます。
サフランの栽培歴
サフランの栽培歴を簡単にまとめると次の通りです。
5月(端午の節句後) 球根の収穫 葉が2/3位枯れる(黄色くなった)ときに掘り上げ。
球根は陰干し乾燥を行う。7月~8月 棚上げ 陰干し乾燥した球根を棚に並べる。 10月~11月 開花&収穫 後述。 11月中下旬(開花後)~12月上旬 球根の定植 肥料はあまり与えない方が良い。
肥料をやり過ぎると病気が出やすい。サフランは10~11月に薄紫色で清楚な花が咲き、ほんのり甘い香りが印象的です。
サフランが咲く条件は温度と湿度のバランスに関係し、この温度と湿度のバランスによっては、花が咲いたり咲かなかったりします。雨が降ると湿度が高くなり、花は咲きはじめますが、温度が高くなると咲きかけた花も咲くのを止めてしまいます。このようにとてもデリケートな花のため、栽培には細やかな気配りと管理が必要です。
サフランの加工調製
サフランは花を摘んだその日にめしべを取ります。翌日では花がしなっとなって、めしべが取りにくくなるためです。
花を指で叩いて開くと、めしべがまとまり取りやすくなります。黄色い部分が残らないようにとります。慣れていないと、途中で切れたり、黄色い部分が残ってしまいます。簡単そうで、なかなか難しい作業です。
日本産のサフランはめしべの黄色部分の花柱を除去した紅色の柱頭だけですが、輸入サフランには花柱をつけたままのグレードもあります。紅色の柱頭だけのスペインサフランでは「クーペ」、イランサフランでは「ネギン」のグレードがつけられ、1級品として扱われています。
サフランの花びら。お風呂に入れて美人の湯。
摘み取ったサフランは、乾燥して缶に入れて保存します。乾燥直後のめしべは、とても鮮やかで美しく、写真ではその美しさが伝わらないのが残念です。
残った花びらはお風呂に入れて、美人の湯として楽しめます。ほんのり立ちのぼるサフランの香りが、心もからだも癒してくれそうです。
おわりに
サフランの栽培は手間隙が多くかかり、生産コストを考えていたら、全く割りに合いません。それでも、竹田市の農家の方々は1つ1つ昔ながらの方法で大事に育て、後世に残したい一心で続けておられます。
明治時代から続く日本産サフランの栽培は、今や衰退の一途をたどり、消滅の危機にあります。 古人から受け継いだ栽培技術の継承も大変重要ではないでしょうか。世界一の品質の日本産サフランの地消地産をめざし、世界のみんなで使っていきたいものです。
※栃本天海堂のホームページから抜粋。
日本の中では最盛期で1000kgのサフランが生産されていたにも関わらず、今は衰退の一途をたどり、生産量日本一と呼ばれる大分県竹田市でさえも、30kgに満たない生産量という表記があります。
上記の情報では、2011年の国内生産は”大分県竹田市で生産されるものだけ”と書かれていますが、Wikipediaの2018年10月9日現在の情報によると、「国内生産の8割~9割が竹田市で、それ以外は宮城県塩釜市など」という表記があります。
下記のサイトでは、竹田市産サフランの球根と栽培方法が岩手県の大槌町へ伝わり今も栽培が続けられているという情報があります。国内のサフラン栽培を復活させる動きが出ているのかもしれません。
また、上のサイトでもチラッと出てきますが、こちらのサイトでは、サフランの栽培をしているところの写真があるのですが、少し驚きました。
こんな感じで栽培されているんですね。。
あと、大鵬薬品工業からは、「塩釜さふらん湯」という商品も販売されているので、国内のサフラン市場において一定の知名度があるということですね。
今後、国内のサフラン市場の状況について、より細部を追っていきたいと思います。