年始に子供たちと、2022年の運勢を確認するのも盛り上がって楽しいです。
娘に教えてもらった「しいたけ占い」というのが、自分自身の状況にピッタリでとても驚きました。
今日は、ドイツ在住のガーデナーが紹介する魅力的なオーストリアのホテル を取り上げたいと思います。
息を呑むような景観の森のホテル オーストリア「ホテル フォルソフ」
ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんが、海外旅行に行きたいけれども行けないという皆さんをご案内する空想旅行第5弾。今回は、“WELLNESS. HEAVEN AWARD 2022 “のベストロケーション賞を獲得した健康スポット、オーストリアのホテル フォルソフ(Naturhotel Forsthofgut)をご案内します。
温泉を備えたウェルネスホテル
冬にはやっぱり温かい温泉が恋しいですね。先月の記事では、湖と源泉のほど近く、絶好のロケーションにある、地元ドイツのスパリゾート「ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート」をご紹介しました。今回ご紹介するのは、ウェルネスポータルというオンラインサイトでベストロケーション賞を獲得しているホテルです。
ウェルネスとは、健康よりも広い意味で、よりよく生きようとする生活態度のこと。ウェルネスポータルでは、ドイツ、オーストリア、スイス、イタリアを中心に、ヨーロッパ中の104のウェルネスホテルから、毎年オンライン投票が行われています。ウェルネス、食事、客室、サービス、ロケーションなどのカテゴリーごとにいくつかのホテルがノミネートされます。そしてWELLNESS. HEAVEN AWARD 2022 のベストロケーション賞を獲得したのが、今回ご紹介するオーストリアのホテル フォルソフ(Naturhotel Forsthofgut)。美しい景観が存分に味わえる、森の中のスパホテルです。
ホテル フォルソフ
ホテル フォルソフは、高い山々を背に野原や牧草地、森に囲まれた小高い丘の中腹にある、5代にわたって続く歴史あるホテルです。もともとは観光客に宿を提供していた農場でしたが、次第に規模を拡大し、現在ではさまざまな施設を備えた複合ホテルに成長しました。
ヨーロッパで初めて、300㎡ほどの「森のスパ」をオープンしたのも、ここホテル フォルソフ。トータルウェルネスのエリアは3,800㎡もの広さがあり、サウナやハーブを使用したスチームバスなどの設備があり、サウナからは広大な野原や鹿の棲むエリアを眺めることができます。
鹿? と思った方もいるかもしれませんが、ドイツやオーストリアでは、フェンスで区切った森の一角に、鹿用のエリアを設けることがあります。ここで暮らすのは野生の鹿ですが、冬には干し草やミネラル補給のための岩塩が与えられます。
ちなみに、地元の特産品として鹿肉も人気。このホテルでもよくメニューに登場します。ポピュラーな料理はグーラッシュ、またはグヤーシュとも呼ばれるもので、鹿肉を一口大に切って赤ワインでマリネし、シチューにしたもの。オーブンでローストしたものも人気ですが、作るのにはなかなか時間がかかります。赤キャベツや手作り餃子、シュペッツレ(自家製バイエルンパスタ)がよく合います。赤ワインと合わせると最高ですよ!
ほかに、ブロイラーや子羊、ガチョウ、豚、ハーブやベリー、キノコ類を育てている農場もあります。オーガニック食品は、ウェルネスリゾートでは必須項目ですよね。
森の中にあるホテル・フォルソフのキャッチコピーは「森の力とともに」。きれいな水、澄んだ空気、大地と温かな炎に彩られた場所です。自然を眺めるだけでなく、森の中でマッサージを受けたり、パーソナルトレーナーとキャンプしたりと、いろいろなアクティビティが可能です。森はホテルの所有なのでバスローブだけを羽織って森に散歩に行くのもOK。散歩の後は、温かいジャグジーが待っています。
ホテル近くの湖、ビオレイクにはウッドデッキやデッキチェアがあり、夏はもちろん、冬場であっても寒中水泳を楽しむことができます。寒中水泳は免疫の強化に効果があるとされているほか、単に冷たい水に飛び込むのが好きな人もいるので、人気があるよう。私の故郷の村では新年には近くの川に集まり、川に入って祝う人々がいて、いつも雪の中で川に入る様子が新聞に載っていました。私は温かいジャグジーだけで十分です!
自然豊かなホテル
ホテル フォルソフは、ウォルドリーベ(森が大好き)と呼ばれるプロジェクトも推進しています。例えば2019年の夏には、宿泊客は79ユーロで木を1本買い、ホテルの敷地内の森に植樹するという取り組みを行っていました。これは森林を若返らせるための取り組みで、それぞれの木には、スポンサーとなった人の名前と、植樹された日が示され、参加した人には証明書も発行されました。
ホテルの代名詞の森林のほかにも、たくさんの自然を楽しむことができます。ホテルのガーデンはおよそ30,000㎡もの広さがあり、花々のメドウや地元のハーブがたくさん植えられています。ちなみにガーデンのハーブは、サウナやスチームバスに利用されているそうですよ。
このホテルの素晴らしいロケーションを見ていると、ガーデナーになるため勉強していた時期を思い出します。最終試験の準備をする時期に、ドイツアルプスの有名な湖の近くで、友人とひと夏を山小屋で過ごしたのです。山小屋は山のはるか上にあり、人里からは遠く離れていましたが、毎日のようにハイカーたちがやってきました。彼らは山小屋周辺で一休みし、地元の食事を楽しんで、さらに山頂を目指すのです。
私がその小屋で暮らした理由は、豊かな植生とその静けさ。試験準備をしながら、その牧草地に座って野生に育つ植物を眺めて過ごしたものでした。それが、私が一番集中できる方法だったのです。現在になっても、私はガーデンに座って外で勉強する癖が抜けません。確かに、自然や森にはパワーがあるのです。
ホテル フォルソフでの、地元の資源への配慮や活用方法は、地元地域をどのように支援し、かつ活性化するかの素晴らしい例といえるでしょう。ホテルのバーでさえ「ボタニスト」と名付けられていて、古い薬局を改造してたくさんのハーブや植物が取り入れられています。バーとしては珍しいつくりです!
実際、このようなバーは、身近にはなかなかありません。まず、マツの木は、私が今暮らしている湘南エリアではあまりよく育ちません。もちろん公園などによく手入れされたマツの木はたくさんありますが、海岸沿いでは大抵低く育ち、冬になると強い風や乾燥した気候によって枯れてしまった枝も多く見られます。ドイツやオーストリアで見られるような、一年中生き生きとした常緑の森とはずいぶん印象が異なります。
自宅で味わえる温泉気分
私の冬の楽しみは、マツの香りが漂う中、温かいお風呂につかること。
入浴剤にもさまざまな香りのものがありますが、私は冬は大抵ウッディな香りのものを選びます。一方、家族は日本的なユズなどの柑橘の香りが好きなようです。人によって、香りから想像するものも変わりますし、リラックスするためのベストな方法も異なるので、自分に合った香りを探してみるのも楽しいですね。
先日、リンゴの香りがするキャンドルをいくつか入手しました。リンゴは私にとっては冬の果物の代表格。10月に収穫し、涼しい場所で保存すれば翌春まで持つので、冬の間中楽しむことができます。ケーキやアップルソース、バニラソースをかけた焼きリンゴ…。冬に味わう美味しい一皿です。そんな、冬の喜びを連想させる香りのキャンドルを灯してのリラックスタイムも楽しみです。
この記事を読んだ皆さまが、冬の季節をちょっと違う視点から眺め、より楽しむためのインスピレーションを得ていただければ嬉しいです。
旅行規制が緩和されてヨーロッパ旅行ができるようになったら、モーツァルトが生まれたことで有名なザルツブルクに行き、ホテル フォルソフに宿泊したいと思って計画中。森の中でのリラクゼーションや、バスローブと裸足で散歩をするつもりです。気兼ねなく旅行できるまでは、その日のことを夢見ておきましょう。
私の行きたい場所リストは、どんどん長くなっています。
自由に旅行できない今は、旅行準備をするには最適な期間。感染状況が落ち着いたら、夢の場所へと旅立てるように準備しておきましょう。この期間には、語学の勉強をするのもいいかもしれませんね。英語、ドイツ語、スペイン語…学んでみたい言語であればなんでもOK。旅先でもきっと役立つことでしょう。
ホテル フォルソフ https://www.forsthofgut.at/
コラム:ガーデニングのココが気になる! Part4
どこにでもある落ち葉、またはその不在先日、東京のイチョウ並木の下を散策していた時のことです。高級住宅街の中にある坂道は、突き当りには駅舎があり、とても絵になるシチュエーション。道路脇は、ところどころ黄色や金色に輝くイチョウの葉に覆われていました。早朝だったので、誰もまだ落ち葉を掃き寄せていなかったのです。
用事を済ませて再び同じ場所を通りかかると、道の印象はガラリと変わっていました。きれいな街並みのそこら中に「黄色い贈り物」を詰め込んだビニール袋が並び、ゴミとして回収されるのを待っています。
折角の落ち葉を、わざわざゴミとして捨ててしまうなんてもったいない! 立ち並ぶ家々のガーデンは広々として、高い塀の外側から想像する限り、落ち葉を堆肥や腐葉土にするための素敵な一角がありそうです。落ち葉から作った堆肥は、花咲く春のガーデン準備のためにはとてもいいものです。または、マルチングとして木や茂み、宿根草などの周りの地面を覆ってもいいかもしれませんね。マルチングは植物を霜から守ると共に、乾燥を防ぐ効果もあります。この綺麗な金色の葉は、秋らしい一時のフォーカルポイントにもなります。
このように落ち葉を利用できれば、ゴミ袋の削減にもなりますし、落ち葉しか詰まっていない袋を回収するゴミ収集車の人の時間や労力も削減できます。
個人的には落ち葉を集めるために使うブロワーもあまり好きではありません。うるさいし、重いし、においもします。ホコリや土が落ち葉とともに舞い上がっているのを見ると、いい気分も一緒に飛んで行ってしまいます。私は、竹ぼうきが道を掃く優しい音がお気に入り。先日みなとみらいに行った時に、家の前をほうきで掃いている女性を見ましたが、もしまた彼女に会うことがあれば、竹ぼうきを使い続けてくれていることについて一言感謝したいと思っているくらい。竹ぼうきは、自然や環境にとてもやさしい存在です。竹は素材としては再生可能ですし、竹ぼうきなら排ガスや公害も発生せず、リラックスした平穏な風景を生み出してもくれます。
SDGsの観点から見ても、葉を落とした木々のなるべく近くで利用したいものです。そして、本当に落ち葉や雑草をすべてきれいに取り除くことが必要なのか、もう一度考え直してみてもいい時期なのかもしれませんね。
皆さまの2022年がよい年でありますように。
Credit
ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood、Naturhotel Forsthofgut
取材/3and garden
※Garden Storyの2021年1月4日の記事(https://gardenstory.jp/stories/64219)より抜粋
日本ではまず味わうことのできない景観、雰囲気なので、写真を見ていてワクワクが止まりません。。
オーストリアへ行ったら、このホテルに泊まることをもう心の中で決めました。
Google Mapの口コミ評価も、555件で4.8(2021年1月5日現在)というのは非常に高いですね。