先日、日本人と台湾人が立ち上げた漢方のライフスタイルブランド『DAYLILY』のコンセプトが、着実に支持が得られていることを取り上げた記事を紹介しました。
【過去記事:以前紹介した、日本人と台湾人が立ち上げた漢方のライフスタイルブランド『DAYLILY』の支持が着実に得られているようです。】(2020年11月27日)
DAYLILYの販売する商品パッケージの一つ一つがお洒落で、若い世代にも漢方が浸透する状況が生まれてきているのは頷けます。
中医学をベースとした漢方業界の今後の動きが楽しみになってきていたところ、中国・北京で創業350年近く経つ老舗漢方薬局が昨年7月に「カフェ」をオープンしたのですが、行ってみたくなる場所だったので早速ご紹介したいと思います。
漢方入りのコーヒーで美肌や免疫力アップも♡ 北京で人気の老舗漢方薬局がオープンしたカフェに行ってみた
1669年に中国・北京市で創業した、老舗の漢方薬店「北京 同仁堂」。代々宮廷への出入りを許されていたほど、品質に信頼のある薬局です。 中国では、親から子へと伝えられる漢方の教えが生活に根づいていて、同仁堂は北京市内のいたるところに支店があり、体調がすぐれないときや軽めの不調の際には、病院ではなく同仁堂を訪れるというほど、身近な存在。 今回は、そんな北京の街の人に長年愛され続けてきた同仁堂と、昨年7月にオープンした同店のカフェをご紹介したいと思います。
同仁堂は、漢方医が常駐していて、脈を測るなど問診したあと、体質と症状に合った漢方薬を処方してくれます。また、漢方や健康食品だけでなく、じつはスキンケア商品も展開。フェイス用パックをはじめ、美白効果が期待できるものやニキビ跡を和らげるクリーム、保湿乳液などもあります。これまでは、「冬虫夏草」や「乾燥ナマコ」などが並ぶイメージから、「漢方=高齢者が利用するもの」といったイメージが強かったのですが、最近は若者をターゲットに、新たな方向転換を試みているようです。
そんな老舗の漢方薬局が、2020年7月、カフェをオープンして一躍話題に! 週末は行列ができるほどの大人気です。
開放的でオシャレな内装で、「健康にフォーカスした新体験」ができるスポットとなっています。1階は、漢方入りのコーヒーやお茶、スープなどが楽しめるカフェになっていて、だれでも日常にとり入れられる健康食品や薬草なども販売。2階は、講演会を開催できるようなオープンスペースや、漢方医による診察と按摩(あんま)などの施術を行う個室、さらにより本格的な漢方薬も処方しています。壁一面に並ぶ生薬の引き出し、なんとその数は北京随一の5000種類におよぶのだとか。
2階は落ち着いた雰囲気。本格的な漢方の処方も行う。
さて、“漢方入りのコーヒー”と聞くと、少し躊躇してしまう人もいるかもしれませんが、人気メニューのクコの実入りのカフェラテは、ほんのり甘酸っぱいクコの実をやわらかく戻してトッピングしたもので、おいしいと評判! また、クコの実とコーヒーの成分は体力を補い、目をスッキリとさせ、夜ふかしした翌日も早起きができる効果が期待できるということで、おいしさと効果、ダブルでうれしいドリンクになっています。
ほかにも、ラカンカの入ったコーヒーはせき止め効果があり、バラの花びら入りのコーヒーは手足を温め、しょうがやウイキョウ、カルダモンがブレンドされたカフェラテは胃を温め、食欲増進に効くなど、コーヒーを飲みながらいろいろな効果が期待できます。見た目は普通のカフェラテ。なんとラテアートまで! 胃を温めるしょうがやカルダモンの香りも。
夜ふかしした体を労わる漢方ドリンク。ナツメや菊花のほかに、免疫力アップが期待できる黄耆(おうぎ)も入っている。
実際に飲んでみると、薬効成分の香りは強くなく、普通のコーヒーとほとんど変わりありませんでした。店内に漂う漢方の香りに包まれながらのカフェタイムは、なんとなく体によさそうな気がしてきます。
店頭では、漢方ドリンクを煮出していて、ガラス瓶にポップなラベルに「夜ふかしの水」や「紅顔(若く血色のいい美人)ドリンク」といったネーミングで、こちらも人気上々。若い人たちにもっと気軽に漢方の魅力を知ってもらい、使ってもらいたいというコンセプトから、若者に人気のコーヒーをとり入れたとのこと。
今、中国では、「国潮」をキーワードに、自国の製品や文化背景とトレンドを合致させたファッションや生活が流行中。国産品や国内の良質な製品に興味関心が集まっているため、漢方もトレンドのひとつになりそうです。
写真・文/伊勢本ゆかり
※FYTTE(フィッテ)の2021年1月17日の記事(https://fytte.jp/lifestyle/127318/)より抜粋
「漢方」+「カフェ」のコンセプトのお店は、日本の中では今まで聞いたことがないです。
どちらかというと、漢方の考えを日々の食事に取り入れる「薬膳」をメインとしたお店がほとんどなのではないかと思います。
【関連記事:「おいしく整える」をコンセプトに、漢方・薬膳をベースにしたメニューを提供するArkhē apothecary&kitchen(アルケー・アポセカリー&キッチン )】(2020年7月11日)
個人的には、東京・品川にある「薬日本堂」でカフェをオープンしてほしいです。
【過去記事:「薬日本堂」が運営するニホンドウ漢方ミュージアム訪問レポート:【薬膳レストラン『10ZEN(ジュウゼン)』編】】(2019年8月10日)
薬日本堂で始めたら、日本全国に”漢方カフェ”が広がる流れが起こってくるのではないかと思います。
「漢方薬局」だと、体調が良くないときに通うイメージになってしまいますが、「漢方カフェ」になると『ちょっと楽しんでこようかな』というイメージになり、結果として漢方が生活に浸透することにつながると思います。