今年のゴールデンウィークが目前に迫ってきましたが、日本では緊急事態宣言が全国に拡大された一方、ドイツなどの海外においては、少しずつ経済活動が回復されてきたとのニュースも流れてきています。
5月になったら、この緊張ムードが徐々に取り払われ、いち早く通常のリズムに戻ることを願うばかりです。
ただ、自宅の庭でガーデニングに熱中している時は、コロナのことは頭から吹き飛び、爽快な気分になります。こういう時こそ、植物・土と向き合うことが何よりなのではないかと感じています。
今日は、日本と同じ状況下にあるドイツ・ベルリンに住んでいる日本人主婦が、「自宅自粛中に使えるキッチンの3つの知恵」について書いた記事をご紹介したいと思います。いつもよりもストレスが高まりやすい環境下において、食生活においてどのような部分に気を配っているかが参考になると思います。
自宅自粛中におすすめ。今使える台所の三つの知恵【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】
2020.04.20
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、4歳から19歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
今や世界中で自宅自粛生活が始まっています。ベルリンももうすぐ一ヶ月。この暮らしに慣れてきたところです。
相変わらず外出は人との距離をとっての散歩か買い出しのみ。スーパーには人混みはなく、ソーシャルディスタンスを置くことが強化されています。イースター明けには小さなお店は開店許可が出たものの、ほぼそれ以外は2週間延期、まだしばらくこの暮らしは続くようです。
そんな毎日を支える我が家の台所では、普段より気をつけながらメリハリを考えるようになりました。というのも、自粛当初は日頃より人数が増え、回数が増え、そしてすべての楽しみを課せられるという食卓に応えるべく、ご馳走が続くことが多かったのですが、外出があまりできないし、今はデトックスを促される季節と言われる春。普段と違って、いつもより摂りすぎた栄養が体に反映するのも早かったりもして。
ですから今日は自宅での楽しい食卓も維持しながら、今の時期取り入れると効果的な3つの台所のヒントをご紹介したいと思います。
①デトックスには苦味を。
まず春は、自然療法では冬の間に溜めこんだ、もしくは余分に取りすぎた脂肪や糖分を排出して夏に向けて体を軽やかに整える季節でもあります。整体師さんのお話では 春には三寒四温のように、頭蓋骨から肩甲骨、骨盤と開いては閉じてと繰り返しながら排出を促し、体を季節に合わせて調整していく動きが見られるといいます。
そんな時に助けになるのは、ご存知の方も多いと思いますが、ヨモギや蕗の薹《ふきのとう》など日本の野草の類。目に青い若葉の苦味が毒世の排出を促すといわれます。 こちらドイツでも、薬草学の祖ヒルデガルトフォンビンゲンが春には特別な薬草のケアを紹介しています。それに使われるのが「Wermut(ヴェアムート)」と呼ばれるヨモギの一種。日本名ではニガヨモギとして知られています。それにより免疫強化、内臓浄化、うつ予防、胃腸や消化を助 けたり、胆嚢の機能を助け目をクリアにすると言われています。(しかし、持病のある方、妊婦 や授乳中は勧められません。)
そしてこのケアのポイントも苦味。これら苦味が助けるのは肝臓や胆嚢といった胆汁を司る臓器です。特に肝臓は解毒に大切な役割を担っており、今の時期労ってあげたい臓器の一つ。 日本ならたんぽぽコーヒーで同じような効能が得られるでしょう。肝臓にもよい適度な苦味を含みデトックス効果あり、カフェインがなく母乳の出をよくするので授乳期にもよく、血液をきれいにする効果も。そんなわけで普段のお茶にたんぽぽコーヒーを意識してみるのはおすすめです。ちなみに私は今の時期ヴェアムートのお茶を二日置くらいに毎朝飲んで肝臓、胆嚢をサポートしています。(3-4週間続けたらしばらく飲むのをやめます。)
②食べ過ぎた内臓を労るにはオイルフリーを。
春に労りたい肝臓、またご馳走続きで疲れた胃腸を助けるためにお料理に使う油を控えたり、オイルを使わない料理を時々取り入れます。オイルフリーというと身構えてしまいますが、和食だと意外と簡単。和え物、煮物、お刺身、お豆腐、納豆など、メインにできるオイルフリーの料理や食材がたくさんあります。
またオイルを使わない時こそ出汁の出番。良質のお出汁を使えば、油を使わなくても、旨味が感じられますし、食材に含まれる良質な油分はいただきます。
1日一食オイルフリーを意識する、または丸一日オイルフリーにしてみる。そんなことでも体はグッと楽になります。
③ストレスには短時間調理とクランチーな食感を。
冬の間はどうしてもオーブン調理や煮込み料理が多くなります。春になったらさっと茹でる、蒸すなどの5分、10分でできる調理を増やしていくと体が緩むのを助けます。ストレスでは体が硬くなっていくのでこのような短時間の水分を含んだ調理法は効果的。
またストレスが溜まると、カリカリとしたクランチーな食感や強い甘みや刺激を欲するので、 ついつい焼き菓子やスパイスなどにハマってしまいやすいのですが、そんな時には季節の野菜の浅漬けなど、パリッとカリッとした生野菜を塩もみしたものがおすすめ。春キャベツは塩で揉むだけで野菜の自然な甘味が引き出され、食感もよくおすすめです。
苦味とともに酸味も体の助けになるので、爽やかな柑橘の絞り汁や梅干し、お酢なども取り入れ、薬味にしそや三つ葉などスパイスの代わりに薫り高い薬味を用いた簡単浅漬けも助けになります。甘味はトロッと柔らかい食感の甘酒や寒天、プリンなどがストレスでしまった体を緩めるのを助けます。
季節に合わせた味覚、調理法、お茶などを普段より意識して取り入れていくことで、いつもよりストレスの高い暮らしの中でも心身のバランスをとることを助けてくれます。
私たちの暮らしはまだ非日常ではありますが、自然界ではいつものように春が訪れ変わらないリズムを刻んでいます。そのリズムを台所から取り入れて、この厳しい時間も元気で過ごせるといいなぁ。食卓が楽しみの場であるとともに、心身ともにヒーリングの場でもあるように、願いを込めて。
日登美 (ひとみ)
10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。instagram.com/hitomiskuche
※Hanakoママwebの2020年4月21日の記事(https://hanakomama.jp/topics/83076/)より抜粋
このようなストレスが溜まりやすいご時世には、糖度の高いもの、脂っこいものや、食感を求めスナック菓子などに流れてしまいがちですが、その欲求をスマートに解消しプラスの方向へ導く知恵が詰まった記事だと感じました。
この記事で取り上げられている「ニガヨモギ」は禁断のお酒”アブサン”の主原料としても有名で、過去に取り上げたことがあります。
【過去の関連記事:製造・販売を中止された歴史を持つ薬草酒「アブサン」とはどんなお酒なのか】
アブサンとニガヨモギの記事は、以下の養命酒製造のページもシンプルに纏まっていてわかりやすいです。
ドイツでは、ニガヨモギが日々の生活の中に浸透している印象を上記の記事からは受けますので、ドイツへ行ったら色々と調べてみたいと思います。