先週末、JAMHA(日本メディカルハーブ協会)の学術フォーラムへ出席していたのですが、その中で「次世代機能性食品」に関わる講演がありました。
その講演の中で、「アメリカ人は、なぜサプリメントを好むのか?」というお話があったのですが、私自身は、合理性・効率性を重視するアメリカ人の性質が大きく関わっていると予想していたのですが、ポイントがズレていたことがわかりました。
アメリカ人が、サプリメントを多く消費する理由は、「医者へ行くより安く済む」という考え方を持っているからという説明がありました。
私も、自分の子供がハワイの病院で入院した時に、アメリカの医療費の高さというものを強く実感している身なので、その話を聞いた時に深く納得しました。
そのアメリカにおいて、「ハーブサプリメント」に対する需要が増加しているというニュースが入ってきたのですが、どんなハーブサプリメントが売れているかの情報がランキングで記載されており、非常に興味深い内容なので取り上げたいと思います。
18年米国ハーブサプリ市場、9%増の9500億円
米国植物評議会(ABC)は、2018年米国ハーブサプリメント市場が推定で前年比9.4%増の約88億ドル(約9500億円)になったと発表した。
米国の主要小売店と自然小売店の売れ筋ハーブについて分析。主流小売店チャネルでは、ホアハウンド(ニガハッカ)を主要成分として含むハーブサプリメントが1位で、前年比4.1%増の約1.5億ドルとなった。
ホアハウンドは咳止めドロップなどに利用されている。
2位は米国で人気のエキナセアで、同15.1%増の約1.1億ドル。
3位は同30.5%増と急伸したウコンで、約9000万ドルとなった。
以下、
4位がエルダーベリー、
5位が緑茶、
6位がショウガ、
7位がアイビーリーフ、
8位がニンニク、
9位がフェヌグリーク、
10位がブラックコホシュとなっている。一方、自然小売店チャネルでは、CBD(カンナビジオール)が前年比332.8%増の約5200万ドルとなり、1位に躍り出た。同チャネルでもウコンは人気だが、同0.4%増の約5100万ドルでほぼ横ばい。3位はエルダーベリーで、同93.9%増の約2500万ドルとなった。
ABCでは今回の調査結果を受け、近年アメリカの消費者にとってハーブ由来のサプリメントや健康食品は身近なものになっていると指摘。素材別の成長要因としては、インドの伝統療法「アーユルヴェーダ」の人気が、ウコン素材や関連するハーブサプリメントの成長を拡大させていると分析している。
※YAHOO!Japanニュースが、健康産業速報の2019年9月30日の記事を取り上げた内容(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190930-00010000-kenkosoku-ind)
この売上ランキングを見ると、「日ごろから風邪予防」をしているという意識が強く伝わってきて、医者にかからないように日ごろから努めているアメリカ人の姿が想像できます。
ホアハウンド(ニガハッカ)については、あまり日本の中では見ないハーブなので、それが一位というのは面白いです。以下に、ホアハウンドについての説明記事を貼ります。
「古代エジプト時代の頃、草に含まれる苦味成分が、風邪や解毒に効果があることから薬として使われていた。」という記述がありますので、風邪予防の効果は高そうです。
2位のエキナセア(風邪・インフル予防に効果的)は、北米先住民が古くから活用していたことはJAMHAの授業でも習ったので納得。
3位にウコンが急激ランクアップというのは、アーユルヴェーダ人気によるものという記載がありますが、確かにそれが理由じゃないと理解できないですね。
(恐らく、秋ウコン=ターメリックです)
【過去の関連記事:ターメリック(秋ウコン)について研究を続ける農学博士の話。「がんを含め、さまざまな病気の予防に効果の高い機能性食品」と薦める理由。】
7位のアイビーリーフですが、”アイビー”って、よく園芸で使っている植物がありますけど、恐らく品種が違うものだと思います。以下の記事を見ると、薬草的に使えるアイビーの品種のようです。
9位のフェヌグリークももしかしたら、アーユルヴェーダ人気によるものかもしれないですね。
10位のブラックコホシュは、ホルモン調整系なので少し毛色が違います。
いずれにしても、風邪予防がメインであることは確かだと思います。
このアメリカ人とハーブサプリメントの関係性の情報を見ると、私自身は、アメリカ人に対する見方に変化(風邪予防への意識がこんなに高いとは思っていなかった)が出ました。
自分自身の視野が少し広がった感覚があるので、今回の記事に出会えたことに感謝したいです。