昨日の記事、「代替療法」としてのメディカルハーブの位置付けとはのなかで、代替医療の定義、及び、代替医療の枠組の中にあるメディカルハーブとはどういうものかについて記事にしました。
本日の記事は、代替医療に絡む2つの対照的な記事を取り上げ、内容の考察をし、今後代替医療についての記事に触れたときに一歩考察が進むための土台となるような内容を目指します。
昨日の記事内容がベース知識としてあると、より理解しやすい内容ですので、お時間があれば昨日の記事にも目を通してください。
1つ目は、松浦 晋也(まつうら・しんや)という方の書いた、”父の死で知った「代替療法に意味なし」”という記事です。
松浦 晋也(まつうら・しんや)さんのプロフィールは以下です。
ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト
宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後、独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。
プロフィールを見ると医療分野の専門ではないようです。
記事の流れとしては、松浦さんの父親が癌で亡くなる前、及び、母親が認知症にかかってから、ご友人からの善意で、健康食品、サプリメント、医療グッズ等を頂き食べさせたり飲ませたりしたが、全く効果がなかった。だから代替医療は全く意味がない。介護をする身になると収入に支障がでるので、むしろお金が欲しい。という内容です。
終始著者の感情が前面に出ていて、病状のステージ等の詳細な情報がなく、且つ、著者が代替療法と称している健康食品、サプリメント、医療グッズ等についての詳細情報もなく、、「代替療法に意味がないと断言できる」というのは急な展開と言えると思います。
※具体的に出ていたのは、ココナッツオイルくらいでしょうか。
記事のタイトルに「代替療法に意味なし」と結論付けている以上、代替療法にはどのようなものが存在し、存在する全ての療法を検証したが、ステージ4の癌には効き目が無いようだ。というなら理解はできます。
でも、著者の記述を見る限り、ドラッグストアで売っているような健康食品やサプリメントを試したけど父親は亡くなった。だから「代替療法に意味なし」という結論です。
代替療法についての調査不足、及び、詳細な検証がないという点で、非常に弱い内容となっていると思います。
2つ目は、病人が救われる驚くべきびわの葉のチカラ。自然療法に懐疑心すら持っていた私の母が、末期ガンの痛みを和らげるために行っていたビワの葉を使った超カンタンお手当法。という記事を取り上げます。内容としては、先程の松浦さんの記事と真逆の内容です。
著者の小林くみんさんは以下のプロフィールです。
IN YOU Director/オーガニックスペシャリスト IN YOUオーガニックセルフセラピスト、IN YOUオーガニックアドバイザー代表講師 NYを拠点とし活動していたブロードウェイ・ミュージカルの元ダンサー。 日本を代表する自然療法活動家東条百合子の弟子の元で食養を学びアシスタントを務めていた経験を持つ。 陰陽五行、薬膳、マクロビオティック、アーユルヴェーダ、自然療法などの東洋医学を中心とした知見や資格をいかし、INYOUライター/エディター/INYOUライセンス講師代表として活躍中。 NYのIntegral Yoga Instituteにて全米ヨガアライアンス認定インストラクター(ERYT200, YACEP)の資格を所持し、国内外のスタジオやスクールで豊富な指導経験を持つ。(講師歴計10年)。 がん、心臓病、他の慢性疾患患者へのヨガの専門家としてアメリカで活躍するジャナーニ・チャップマン氏に従事。 ジャナーニ・チャップマン氏の監修のもとYCat Yoga(ガン&慢性疾患患者のためのヨガ)を提供できる唯一の日本在住日本人。
意識高い系の美と健康を追求するスペシャリストという感じでしょうか。
こちらの小林さんも、母親が末期癌になられて、余命宣告を宣告され、自然療法を試したようです。でも、長年大好きだったお肉を手放せず、玄米菜食に切り替えることができなかったと書いています。
くみんさん自身は、自然療法の先生のもとで、ガンの患者さんを始め、リウマチ、アレルギー・・・、様々な慢性疾患を克服するために必死に学んでいる人々と一緒にいたので初め母親のことが理解できなかったと書いています。
食品添加物で麻痺した味覚、白砂糖や人工甘味料への依存、毎日、知らず知らずのうちに口に入れている様々な化学物質は、少しずつ、嗜好を変えていき、母親がそこから抜け出すためには、余命6ヶ月は短すぎたのかもしれない。と、くみんさんは分析しています。
そんな母親が
「気持ち良かった。」
「少し、楽になった。」
と言ってくれた手当があったそうで、それがビワの葉を使った手当だったとのこと。
そこからびわの効能についての説明が長く続き、後半に広告が続くという流れでした。
びわの効能のところについてじっくりと目を通したのですが、若干、癌細胞の消滅を期待させるような内容になっています。
ただ、びわの葉の飼料をマウスに食べさせたらマウスの癌細胞が消えたことが実験で実証されたと書かれていますが、人間に効果があるのかがわかりません。
記事後半には、「ガンの予防を始め、様々な慢性病予防にも効く?!カンタンびわの葉茶の作り方と注意点」というようなサブタイトルも出現して、効くの?効かないの?どっちなの?と思ってしまいました。
オーガニック、マクロビ、と銘打つメディアでは、代替療法の枠組に属するものを販売に結び付ける必要があるため、中には信ぴょう性が低い内容が混じってしまう傾向があるのではないかと思います。
それは結果として、代替療法全体の評価を落とす一因になります。
以上、2つの記事を見てみていかがでしょうか。
私は、「健康」に関わる内容を伝える際は、感情や欲に縛られてしまうと内容がねじ曲がってしまい、結果として重大な結果を招いてしまう場合があるので、そういったものを無くした形で冷静に伝える必要性があると感じました。
特に今後、(代替療法としての)メディカルハーブに関わる内容を人に伝える場合、その本質を見失わないよう日々自分自身の心と身体を整えていきたいと思います。