自律神経に働きかける様々な香りについて、男性フィトセラピストが語る内容が参考になりました。

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昨年、AEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)が主催するイベント「第4回 アロマ大学 in 東京」へ参加してきました。

アロマ大学というのは架空の大学なのですが、幾つかの学科を設定してあり、アロマのスペシャリストが講義をする形式になっています。

アロマに興味を持つ人の裾野を広げ、AEAJの会員集客にもつなげるイベントなのですが、私は、モデルのNOMAさんが講師を務める「アロマフレグランス学科 」の授業を受けてきました。

【過去の参考記事:「第4回 アロマ大学 in 東京」のアロマフレグランス学科でNOMAさんの授業を受けてきました

このイベントに参加する前は、

「アロマ大学は、モデルや芸能人を多く起用しているけど、その人たちは本当にスペシャリストと言えるほどの知識を持っているの?」

という若干の疑いがあったのですが、NOMAさんに関しては、植物・アロマについての知見は本物でした。

偏見というのは危険で、まずは行動をして現場へ行ってみることの重要性を感じました。

そのNOMAさんは、VOGUE JAPANのウェブページで「モードな植物哲学」という連載シリーズを担当しているのですが、植物に関わるエキスパートと対談をする内容で毎回面白いです。

そのシリーズの7回目が昨年末に更新されたのですが、その内容がとても勉強になる内容だったので、以下に抜粋したいと思います。

紹介されている様々なアロマが「自律神経にどのように働きかけるのか」という部分について具体的に解説がなされているので、今後自分自身が検証していく上で参考になる情報でした。

モードな植物哲学。-心と体をアロマでチューニング!

ここ数年、美容の分野でコスメの成分としてスポットライトが当たることが多い “植物”に着目。モデルのノーマ(NOMA)と共にエキスパートを訪ね、植物の知られざるパワーを解明する連載第7回目。

今回は、現代人の不調の多くの原因とされる自律神経の乱れに着目。交感神経と副交感神経のそれぞれに働きかける植物の力とは? アスファルトに囲まれながら働き続けているあなた、気分が落ち込み不調になりがちなのはもしかすると、植物のパワーから遠ざかっているからかも。ストレスで眠れない、あるいはやる気が出ないときに寄り添ってくれるアロマについて、フィトテラピストでありオーガニックコスメカンパニー、「カラーズ」で商品開発を手がける星野啓太さんが教えてくれた。

神聖な香りで心をすぐに落ち着かせる「フランキンセンス」。

神聖な香りで心をすぐに落ち着かせる「フランキンセンス」。

 

「現代女性がかかえている問題点の多くは心に関係しています。私たちにとって身近な西洋医学は、対症療法で体と心を別々に捉えがちですが、もっと包括的にアプローチしたいと考えたとき、植物療法と香りのパワーに出会いました」と話す、星野さん。そして、植物が自律神経に働きかける力に着目。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、日中は活動に適した交感神経が、夜は休息と回復に適した副交感神経が優位になる。不規則な生活や過度なストレスが続くとそのバランスが保てなくなり、体の機能が低下して“病気でないけれど優れない”状態になる、というのは多くの人が知っているだろう。星野さんは植物が自律神経の乱れを正し、緊張でこわばった心と体をリラックスさせる効果を持つことに注目。植物の力を取り入れた商品開発を進めている。

「自律神経の乱れは色々な不調のもとといわれていますね。免疫や女性ホルモンも関係するし、体の要と言えるかも。忙しくて呼吸が乱れているときなどに、何か即効性があるものを求める人も多いと思います。すぐに副交感神経に働きかけてくれる香りはありますか?」(ノーマさん)

「αピネンの含有率が高いフランキンセンス。森林浴すると心がリフレッシュしますよね? それと同じような効果があります。ルームスプレーなどで取り入れるのがおすすめです」(星野さん)

前回の連載でも取りあげたフランキンセンスが、自律神経の乱れの即効薬に。確かに、さまざまな文明の宗教儀式でも使われたその香りは、瞬時に心や体を浄化し神経を落ち着かせてくれる気がする。

「私もフランキンセンスが大好きで、香りをよく楽しんでいます。前から気になっていたのですが、香りの嗜好性はその効果と関係あるのですか?」(ノーマさん)

「研究者によって見解は分れるのですが、個人的にはあると考えています。“香りの心地良さ”が自律神経に影響を与える傾向があるようです」(星野さん)

睡眠の質を上げリラックス効果のある「スギ」。

睡眠の質を上げリラックス効果のある「スギ」。

 

体と心を休息・修復に導く副交感神経系の香りでフランキンセンスについでスギもおすすめとのこと。

「ウエスタンサンダルウッドにも似た森の香りが好き! そして、スギの香りは、不思議と日によって違う風に感じます」(ノーマさん)

常緑の針葉樹で、北海道から屋久島まで生息し、日本人にとっては馴染みのあるスギ。その香りには強い森林浴効果があり、体をリラックスさせ鎮静させる作用や、血圧を下げ呼吸を深くゆっくりとさせる効果があるとも言われている。「カラーズ」では、屋久島のスギの精油を使って商品を開発。その特徴を語ってもらった。

「他の場所のスギと比べて、屋久島のスギは交感神経抑制効果を有するセドロールが最大値で約20倍含まれていると言われています。睡眠の質を改善させる働きがあることもわかっていて、寝つきをよくするとも言われており、平均7、8分早くなるというデータも。杉の香りを入れたルームディフューザーを枕元に置く、という取り入れ方などが効果的」(星野さん)

「寝る前の入浴時にバスソルトとして使うのも良さそう!」(ノーマさん)

副交感神経と交感神経の両方に働きかける「ネロリ 」。

副交感神経と交感神経の両方に働きかける「ネロリ 」。

 

副交感神経と交感神経にバランスよく効く、つまり鎮静と高揚作用の両方を持つのがネロリ。ミカン属の常緑樹ビターオレンジなどの柑橘類の木に咲く花から抽出される。ほとんどの人にとって非常に心地よい香りのため、最初に中枢神経を興奮させ、そしてすぐにリラックスへと導くという。美容効果としては、肌への保湿効果が高く、しわやたるみ解消に良いとされている。

「鎮静と高揚作用の両方があるなんて、すごい! ネロリの甘い香りはメーカーによって随分違うように思います。この甘く感じるのは何という成分ですか?」

ノーマさんがこう尋ねると、星野さんが一つの瓶を取り出した。「甘く感じる香りの正体は、ネロリドールという成分。このネロリウォーターは、ネロリドールの含有量が一般的なものの約10倍のものです」。ネロリドールを含むネロリは、自律神経のバランスを整えるだけではなく、女性ホルモンのバランスが乱れて起こる心のゆらぎにも効果がある、と星野さんは続ける。ネロリが含まれた香水を一つ持っておけば、心を落ち着かせたい時も高めたい時もサッと使えるそう。

「ものすごく甘くて重い香り。ネロリは女性性を高めるとも聞きましたが、私は同様にフェミニニティの代表格のローズとは、また違うタイプの女性像を連想します。甘くても、もう少し爽やかなイメージ。また、ネロリは肌を柔らかにするから、ミストに使用するのも好きです」(ノーマさん)

催淫作用で気分を高める「イランイラン」。

催淫作用で気分を高める「イランイラン」。

 

交感神経系の効果で注目したいのは、ネロリと同様に女性ホルモンに働きかけるとされるイランイラン。

「私にとってイランイランは、南米のサンバで踊っている女性のイメージ(笑)」(ノーマさん)

女子力アップやセクシーな香りの代名詞として、思い浮かべる人も多いイランイラン。フィリピンやインドネシアなど熱帯地方を原産とするバンレイシ科の樹木だ。その精油は私たちの中枢神経に対し鎮静作用ではなく高揚作用を有し、香りの吸引によってうつ状態が軽減される可能性があるという。ただし、低濃度で使用するとリラックス作用も。その甘く優雅な香りから、女性用のフレグランスにもイランイランは多く使用されている。

「今日香らせて頂いたイランイランは、なんだか上品で育ちの良い感じの香りがしますね!」(ノーマさん)

「市場で出回っているイランイランは、4、5回蒸留したものですが、今回香って頂いたものは、エクストラグレードと言われる一回目の蒸留のもので、香り高くとても貴重です。取れる量は本当にわずかなんですよ。イランイランは、香水の他に頻繁に使うハンドバームなどで取り入れてみるのがいいのではないでしょうか」(星野さん)

やる気スイッチを入れる幸福の香り「グレープフルーツ」。

やる気スイッチを入れる幸福の香り「グレープフルーツ」。

 

イランイランに加えて、交感神経系のケアとして取り入れたいのがグレープフルーツ。幸福感を感じさせる香りから、Paradisi(楽園の意味)という学名をもつ。樹高10mほどにも成長する大木で、白い星型の花を咲かせる。その精油はセルライトやニキビ肌、脂性肌の改善など美容効果も高い。

「グレープフルーツの果皮にも含まれるヌートカトンという成分が、交感神経を高める働きが強いんです。また、グレープフルーツダイエットというのが流行った通り、脂肪の分解を助ける作用もあります」(星野さん)

仕事のやる気がないときにグレープフルーツの香りをロールオンで取り入れれば、スイッチが入ることも期待できるそう!

年の瀬を迎え、いつも以上にバタバタと過ごす日々。必要以上に焦りを感じたり、逆に疲れ切ってやる気が出なかったり……。そんなときに、今回紹介した植物の力を借りて、ぜひリラックス&リフレッシュを。

「自律神経は自分の意識ではコントロールできない唯一の神経。だからこそ、植物は私たちの大きな助けになると考えます」と、星野さんは話す。また、私たちの生きる社会が自然から遠く離れてしまったことを問題視しているそう。アスファルトと鉄骨に囲まれた無機質な環境では“自然欠乏”になり、自律神経やホルモンバランスを乱し、心と体にさまざまなトラブルを生じるという説も。都会に生きる人こそ、もっともっと植物に頼る機会を意識的に持ってはどうだろう。

今回紹介した通り、ルームフレグランスやハンドバームとして植物の力を生活に取り入れても良し。あるいはこの年末は少し遠出して森林浴を楽しみ、来年に向かって植物の力を蓄えておくのもいいかもしれない。

話を聞いたのは……

コスメブランド「カラーズ」星野啓太、noma
星野啓太
「植物のもつ薬理効果で現代女性を強く美しくする」をミッションに掲げるコスメカンパニー「カラーズ」で2010年より研究や商品開発に携わっている。“根本治療”と世界の薬草学、最新の植物薬理学の3つを組み合わせた、本格オーガニック処方の美容品を開発。AMPP認定マスターフィトテラピスト。 https://colours.co.jp/

インタビュアー
NOMA
モデルとして幅広いジャンルの雑誌や広告、映像等を中心に活躍。日本人の父とシシリア系アメリカ人の母の間に生まれ、佐賀県で自然に囲まれて育つ。2011年にアジア圏やアフリカ諸国など、世界各地を巡った旅を綴ったエッセイ本を執筆。アーティストやアパレルブランドとのコラボ制作やダイニングレストランやカフェのプロデュースも手がける。趣味は植物はじめ自然科学を探求す旅、ポラロイド。 @noma77777

Vogue Japanの2018年12月28日の記事より抜粋

この記事の中で紹介されている

フランキンセンス
スギ
ネロリ
イランイラン
グレープフルーツ

は自律神経に働きかける精油としてしっかりと押さえておきたいです。

アロマ系のイベントに参加しても、男性一人ということが多く、もう少し香りのことについて語り合える男性が増えるといいなあと思うときがあるのですが、この星野さんのようにフィトセラピストして植物の香りと人間の作用を探求されている姿は非常に刺激になります。

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