ハーブを用いた実証実験については、今まで幾つか取り上げてきましたが、大きくは、心理的作用、ウィルスに対する抗菌作用、虫に対する忌避作用の3つのカテゴリーに対するものがほとんどだったと思います。
でも、最近目にした記事で、特定のハーブを摂取したグループと、そうでないグループとの間で「運動パフォーマンス」にどのような違いが出たかという実験も行われていることがわかりました。
しかもその実験に使われていたハーブは『ロディオラ』というハーブで、今まで全く聞いたことのない名前だった為、その実験内容、及び、そのロディオラについてまずは取り上げたいと思います。
ストレスに効くハーブ「ロディオラ」が運動のパフォーマンスも上げてくれるかもよ!という実験
当ブログでは、過去にロディオラってハーブを紹介したことがありました。俗にアダプトゲンと呼ばれるハーブの一種で、ストレスに立ち向かう効果があると考えられてるんですな。
ってことで、わたしもかつては愛用してまして、一定の効果を感じておりました(いまはあんまりストレス自体がなくなったんで使ってませんが)。慢性的なストレスにお悩みの方には、そこそこよろしいのではないかと。
とか言ってたら、新しい研究(1)では「ロディオラが運動のパフォーマンスを上げる!」って結果が出てておもしろかったです。
これはサムフォード大学の実験で、週に150分以上の運動をしている女性11人が対象。みんなにエアロバイクを使ったHIITを指示したんですが、その際に2つのパターンにわけております。
1回500mcgのロディオラを1日3回飲む(計1500mg)
偽のカプセルを飲むでもって、HIITの内容がどんなもんだったかと言いますと、
15秒だけ全力でエアロバイクをこぐ!
2分ほど自分のペースでバイクをこいでアクティブリカバリーする
1〜2のステップを3回繰り返すって感じです。
これは「ウィンゲートテスト」ってやつでして、無酸素性持久力を計測する定番の手順。つまり、短距離走とかサッカーみたいに短時間でパワーを爆発させねばならない運動に対して、ロディオラは役に立つのか?ってところを調べたわけですな。
で、結果をまずはグラフで見るとこんな感じ。いずれも白いバーがロディオラを飲んだグループです。
そんなわけで、運動の持続力やパワーなど、ほぼすべての面でロディオラが上回っております(なぜか疲労感だけは有意差が出てませんけど、このへんは謎)。
ざっくり書きますと、
ロディオラグループは……
ピークパワーが平均で6%アップ
有酸素能力が4%アップみたいな感じになっていて、劇的な変化ではないもののパフォーマンスにこだわる人なら使ってもいいかなーぐらいのレベルではあります。
ちなみに、この論文では具体的に使ったサプリも明記されてて、Now社の商品を採用した模様。これは手に入りやすくてよろしいですな。
さらに余談ですが、ロディオラと運動パフォーマンスの関係を調べた研究は2013年にも行われていて(2)、こちらではRPE(主観的な運動のツラさ)に以下の違いが出たみたい。
こちらのグラフでは下側の折れ線がロディオラグループでして、どうやら主観的な運動のツラさを軽減してくれる可能性もあるみたい。その点では、「ノルウェイ式HIIT」みたいに激しくツラい運動をする時にも役立つかもですなぁ。試してみてもいいかも。
※パレオな男―アラフォー男がアンチエイジングについて考えるブログ―の2018年11月15日の記事より一部抜粋
40代、50代で肉体改造に情熱をかけて、少しでも自分自身の運動パフォーマンス向上にこだわっている男性にとって興味が出そうな話題ですね。
でもそもそも、この「ロディオラ」はどんなハーブなのでしょうか。運動パフォーマンスの側面から離れて見てみたいと思います。
”ロディオラ”というキーワードで検索してみてわかったのですが、サプリ系でよく使われているハーブということがわかりました。
また、別名が「岩弁慶(イワベンケイ)」と呼ばれており、Wikipediaの内容が情報としてはまとまっていましたので以下に貼ります。
イワベンケイ
イワベンケイ(岩弁慶)はベンケイソウ科の多年生草本。岩場などの厳しい環境で生育する。高さは30cm程度となる。
生態
多様な形の多肉質の葉を持ち、6月~8月の花季に黄緑色の花をつける。雌雄異株であり、雄株の花は黄色みが強く、雌株の花はやや赤みを帯び、秋に鮮やかな紅色の果実を作る。 ベンケイソウの一種でありCAM型光合成を行うため乾燥に強く、栄養に乏しく風当たりの強い、岩礫・砂礫地に生育することができる。 根茎は太くて長く、ハーブとして用いられることがある。乾燥するとバラのような芳香があるため「ローズルート」の名がある。分布
北海道を含む亜寒帯地方のほか、北半球の高山に散らばって分布する。ヨーロッパのアルプス山脈、北アメリカ東部、日本では本州中部地方の山々である。ただし、富士山と立山にはない。高山のイワベンケイソウは、最終氷期に南下したものが遺存したと考えられている。日本では、非火山性の山に生え、火山に生える近縁のホソバイワベンケイと混生することは稀であるハーブとしての薬理作用
イワベンケイ(ロディオラ・ロゼア)は気分を向上させたり、鬱を軽減したりする効果があるといわれている。ロシアの調査によると、それは肉体的、精神的パフォーマンスを向上させ、疲労を減らし、高山病を改善することが示されている。 イワベンケイの効果は、セロトニンやドーパミンレベルを最適化し、また、β-エンドルフィンのようなオピオイドペプチドに影響を与えるためであると考えられている。この効果は、ニコチンのような中枢神経刺激薬と比べて、健康に深刻なダメージを与えることは少ない。このような効果を示す物質は、アダプトゲンと呼ばれる。スマートドラッグとして取り扱われることもあり学習効果を増大させるとされている。※Wikipediaより抜粋
高山病に聞くハーブとしては、以前、「紅景天」というハーブが登山家に知られているということについて以下の過去記事で取り上げました。
【過去の参考記事:第4回薬草観察ツアーin 小諸(JAMHA主催)の初参加レポート【2日目の座学編】】
高山で育つハーブというのは、高い標高で生き抜く術を持っているので、その質というのは、人間の体内に取り入れることでコピーされるというは興味深いです。
熱帯で育つフルーツは、人間の体内に取り入れると体を冷やす効果があるというのも同様の性質の話だと思います。
また、ブルガリアの高山地帯の一部に分布する『ムルサルスキー』というハーブを以前取り上げたのですが、ブログを見てハーブティーを購入された方がいらっしゃったようで、個別に「買って良かった」というコメントを頂いたりしました。
※ムルサルスキーについての過去記事は以下です。
【過去記事①:ブルガリアの高山地帯に生育する「ムルサルスキー」というハーブが凄いという話を聞いたので、概要を調べてみました。】
【過去記事②:ブルガリアの高山ハーブ『ムルサルスキー』が届いたので早速ハーブティーを飲んでみました。】
高山というのは、酸素が薄いので、その環境下で生き抜く術を高山ハーブはもっているので、「少ない酸素で効率的に活動する」という観点で、運動効率をあげたり、高山病を和らげたりという効果が出てくるのかもしれません。
高山ハーブのことについては、かなり未知の領域なので、これから色々と学んでいきたいです。