エルボリストリ(herboristerie)【フランス語】という言葉は、ハーブ・アロマに関心のある人なら聞いたことのある単語だと思います。
ヨーロッパでは、身体の不調を感じたときに、エルボリストリ(herboristerie)と呼ばれるハーブの専門薬局に訪れる人が多いそうです。
エルボリストリでは、専門の薬剤師や植物療法士がカウンセリングを行ない、そのひとの症状に合わせたハーブを処方してくれるとのこと。
そこでは、ハーブのままのもの、アルコールにつけたチンキ剤など、様々な形のものが揃っているそうです。
もともとヨーロッパでは修道院がハーブを扱う場所でもあったので、その歴史的背景により、社会の中にハーブが自然に根付いていき、今日のエルボリストリ(herboristerie)があるという見方もできると思います。
フランスでは、病院で診察を受ける場合、重篤な病気でなければ、フィトセラピー(植物療法)で治すという選択肢を提示するところもあるそうです。
ハーブが社会に浸透している一つのエピソードですね。
ハーブ・アロマに親しんでいる人、仕事にしている人の中で、ハーブ・アロマが日本社会の中にもっと浸透してほしいと思っている人は一定数いると思いますが、私もそのうちの一人です。
エルボリストリ(herboristerie)のような場所が自分の身近なところにあればいいなと思っていたのですが、日本版エルボリストリが今後増えていくような予感のするニュースをキャッチしましたのでご紹介します
薬剤師によるハーブ専門店 “天然の薬”70種類、カフェも併設
大分市の薬剤師、小野ひとみさん(24)が今月、市内東春日町にハーブとアロマの店「ハーブ・フォー・ユー」を開いた。薬剤師によるハーブ専門店は全国的に珍しく、県内初。ローズヒップやカモミールなど約70種類をそろえ、カフェを併設。医薬品も扱う。「多様な成分を持つ“天然の薬”を暮らしに取り入れ、病気の予防や健康促進につなげてほしい」と力を込める。
深い緑色で彩られたアンティークの扉を開くと、癒やしの空間が広がる。ビューティー、リラックス、デトックスなどテーマ別に調合したハーブと、ラベンダーやオレンジといった芳香植物から抽出したアロマがずらり。
喫茶スペースでは、ハーブティーやタンポポコーヒーなどが味わえる。
ハーブは嗜好(しこう)品の印象が強いが、ヨーロッパでは古くから植物療法として活用され、医薬品と同様に扱われるという。「穏やかに作用し、自然治癒力に働き掛けるのが特徴」
新陳代謝を促すハイビスカス、不安や緊張を和らげるレモングラス、利尿・発汗作用があるとされるフェンネル。
薬剤との組み合わせに注意を払いながら、症状や体質に合わせたオーダーメードにも対応する。
神戸での大学時代に病院や薬局で実習する中、多くの患者と接し、薬剤師として自分にできることを考えたという。「医薬品による治療だけでなく、患者さん一人一人に寄り添い、生活習慣やストレスから起こる病気を未然に防ぎたい」
在学中から専門家の下に通い、ハーバルセラピストの資格を取得。卒業と同時に帰郷し、予防医療の道を歩み始めた。今後はワークショップも予定。
「植物療法を広め、世の中の病気予防に対する意識を変えていけたら」と張り切っている。
水曜日定休。問い合わせはハーブ・フォー・ユー(TEL097・560・1035)。※大分合同新聞(2018年8月16日版)より抜粋
私自身もこのニュースを見たとき、『”薬剤師による”ハーブ専門店』というのを初めて聞いた為、刺激のある内容でした。
薬剤師の資格を持った人が運営するハーブ専門店というのは日本の中にあるとは思っているのですが、「西洋医学の薬の知識を持った専門家がハーブを専門に扱うお店」という印象でお店が認知されることの意味は大きいように感じます。
私はこのニュースを見て、エルボリストリと同様の形態のお店が日本の中に広がっていく一つの起点になるような内容とも捉えることができましたし、
日本にも処方箋の中の一つの選択肢として、ハーブを選択する時代も到来する予感がしました。
小野ひとみさんと同様のコンセプトでハーブ・アロマのお店を開店する動きが加速する可能性もあるので、この動きについてはしっかりとウォッチしていきたいと思います。
【参考情報】
フランス・パリのエルボリストリで働く日本人薬剤師の女性のブログがありましたので貼ります。