先日、コロナ禍で余ったビールを活用して、(半永久的に飲める)魅力的なジンを生み出すプロジェクトを取り上げました。
【過去記事:余ったビールをボタニカルジンにすることで半永久的に飲めるようにする発想】(2021年10月16日)
また、日本酒メーカーでは、日本酒製造のノウハウを生かしたクラフトコーラも生み出されていることにも触れました。
【過去記事:酒造メーカーが本気でつくるクラフトコーラ(蔵元コーラ)が気になります。】(2021年9月24日)
コロナという一見ネガティブなファクターを利用し、様々なイノベーションが生まれている酒類業界から目が離せません。
今日は、タイのコロナ禍における酒類業界の興味深いニュースを取り上げたいと思います
バンコクのバー、生き残りかけアイデア勝負 酒類提供禁止で危機
【バンコクAFP=時事】タイ・バンコクのバーやパブは、かつてのにぎわいを失い、7か月に及ぶ新型コロナウイルス感染対策の酒類提供禁止で大打撃を受けている。そんな中、あるバーのオーナーは生き残りをかけ、熱帯性のハーブを使ったフルーティーなモクテル(ノンアルコールカクテル)を創作、危機を乗り切ろうとしている。≪写真はタイ・バンコクにあるカクテルバー「ティーンズ・オブ・タイランド」で、棚に並べられた地元産の蜂蜜やフルーツのシロップが入ったボトル≫
バンコクでは今年4月、高級ナイトクラブで新型コロナの集団感染が発生、政府は酒類提供を禁じた。それ以降に確認された感染者は約170万人に上る。
政府の支援はなく、バーのオーナーは規則を無視するか創造的なアイデアで勝負するかの選択を迫られた。
中華街のはずれにあるカクテルバー「ティーンズ・オブ・タイランド」。新型コロナの流行前にはジン好きが集まっていたが、今や棚のボトルにはほこりが積もっている。
現在は収容人数を6割に抑え、新メニューとして鎮痛作用と軽い刺激効果がある「クラトム」を使ったモクテルを提供している。
クラトムは東南アジアやパプアニューギニアで数百年にわたって薬草として使用されてきたもので、モルヒネと同様、脳の受容体を刺激するが、作用は弱い。タイでは主に深南部で、イスラム教徒の労働者らの間で肉体労働後の鎮痛剤として用いられている。同国では8月、合法化された。
ティーンズ・オブ・タイランドのオーナーのニック・アヌマーンラーチャトンさんは、クラトム入りモクテルに命運をかけている。ただ、価格は1杯4ドル(約450円)と、11ドル(約1250円)だったジントニックの半分にも満たない。
ニックさんはAFPに対し、「従業員に給料を払い、家賃を払うために他に選択肢はない」と話した。
タイ酒類事業協会(TABBA)のタナゴーン・クプタジット会長は地元メディアに対し、酒類提供禁止により、90億ドル(約1兆円)あった市場規模は半分に落ち込むだろうとの予測を示した。
プラユット・チャンオーチャー首相が今月、一部観光客の受け入れを再開すると発表した他、政府は12月から酒類提供禁止を解除する方針を示している。
■「マイペンライ」な生活が戻るのはずっと先
しかし、外国人駐在員に人気のスポット、トンローの「WTFギャラリーカフェ」の共同経営者クリス・ワイズさんは、顧客の数自体が減った上、可処分所得も少なくなっており、回復への道のりは長いとみている。
ワイズさんはAFPに「かつての『サヌック(楽しい)、マイペンライ(大丈夫)、サバイディー(心地いい)』な生活がこの国に戻ってくるのはずっと先になるだろう」と語った。
酒類提供解禁が近づく中、ティーンズ・オブ・タイランドはクラトム入りモクテルを試験的にメニューに載せてみた。
「タイガー・イヤー」と命名。マンゴーとライム入りで、蜜ろう製のカップに注がれ、泡状の蜂蜜を乗せて提供される。クラトムのほのかな苦みと、フルーツの甘みのバランスが絶妙だ。
初めてタイガー・イヤーを試してみたというポットさん(40)は、「すっきりとした飲み心地だ」と感想を述べた。【翻訳編集AFPBBNews】
※時事通信ニュースの2021年10月28日の記事(https://sp.m.jiji.com/article/show/2653039)より抜粋
抜粋記事中にある「クラトム」は、人体の害について様々な論争がされているようです。
薬物中毒治療に効果があるとされる一方で規制の動きが強まっているという内容が2017年当時の☝の記事に記載されています。
☝が、今年タイでクラトムが合法化されたことが書かれた記事ですが、古くから伝統的に使われてきた薬草が違法とされていたことに対し、相当なストレスがあったのではないでしょうか。
タイへ行ったら、クラトム関連の飲料・食品について深く調査したいです。
それにしても、抜粋記事中の「タイガー・イヤー」はとても美味しそうです。。