ハーブを自宅庭で鉢植え・地植えで育てている人にとって、”ハーブを如何に生き生きと育てるか”というポイントにおいては、試行錯誤の連続だと思います。
私自身は、自宅の庭でハーブを採取してハーブティーなどに活用するということを4年以上続けているのですが、明らかに生活が豊かになったことを実感しているので、自宅でのハーブ栽培をずっと継続していきたいと思っています。
そのようなモチベーションを持っているので、ハーブにとって有益な土壌改善のための知恵や、冬を越す前の適切な準備等についての情報については強めのアンテナが張られています。
昨年は、ハーブの鉢植え歴30年以上の方から、鉢植え栽培においてハーブを元気に育てるためのコツを学び、記事にしました。
【過去の参考記事:【鉢植えのハーブ栽培における土の管理方法】30年以上にわたり試行錯誤を繰り返した人の大切な知恵】(2019年3月12日)
鉢植えがメインの方にとってはぜひ参考にしていただきたいです。
今日は、「ハーブの冬越し準備の方法」について、植物タイプ別に分かりやすく説明された記事を見つけましたのでご紹介したいと思います。
ハーブの冬越し準備をしよう! 植物タイプ別・作業方法レッスン
多くのハーブは、地中海沿岸・ヨーロッパが原産です。これらの地域は、雨が少なくカラッと涼しく、冬も比較的暖かい気候が特徴。そのため、夏は高温多湿で冬は寒い…といった日本の環境下でハーブを育てるには、季節を乗り越える工夫が必須です。というわけで、今回は冬越し管理の方法をご紹介します。
ハーブの冬越し! まずは、耐寒性があるか、ないかを見極める
まずは、ハーブの種類によって、耐寒性があるか・ないかを調べましょう。ここで大切なことは、お住まいの地域によって差があること。書籍類などは、関東以南を基準として、耐寒性があるなしを記載しています。ですが、日本の地理は縦に長く、ヨーロッパと似たような気候の場所もあれば、熱帯アジアに近い場所もあり…と、かなりの差が。お住まいの地域の最低気温がどのくらいになるのか、その植物はどのくらいまで耐えられるかを調べ、外に植えたまま(鉢の場合は出したまま)でいいのか、室内にしまわないといけないのかを、見極めましょう。
耐寒性のあるハーブの冬越し方法
それでは具体的な作業を見ていきましょう。まずは、庭に植えっぱなしでも冬越しできる寒さに強いタイプから。
耐寒性がある常緑低木
ラベンダー、タイム、ローズマリー、ローレルなどは比較的耐寒性のある種類ですが、生えっぱなしで放置するより、寒くなる12月頃を目安に、一度剪定をしておくとよいです。春には新しい柔らかい芽が出てきて、美味しく食べたり飲んだりできます。
【ローズマリーの場合】
枯れている枝・混みあっている枝をカットして、まずは本数を減らします。そのあと、飛び出ている枝を小さくカットして、サイズダウンします。いきなり丸坊主のように剪定をしてしまうと、寒さに耐えられず枯れてしまうこともありますので、見た目があまり大きく変わらない程度にとどめておくのがポイント!
【ラベンダーの場合】
花後の剪定がしっかりできていれば、そこまで短く切り詰める必要もありませんが全体の2/3ほどを残して、カットします。万が一、雪が降り積もった場合、株が大きいままだと雪の重みで枝が折れたりすることがありますので、切っておくと安心です。
耐寒性がある多年草
ミント類・セージ類・ヤロウ・サラダバーネットなど、一旦枯れて、春になるとまた出てくるタイプと、ラムズイヤーやワイルドストロベリーなど、葉がそのまま残るタイプがあります。葉がそのまま残るタイプは古い葉を取り除く程度の作業でOK! 一旦枯れるタイプは枝葉の整理をして、来年に備える作業をします。
【カラミンサの場合】
カラミンサは、ミントの近縁種。この枝葉はそのままにせず、地際からばっさりカットです。花音の森の庭ではもう足元に小さい次の芽がスタンバイ中でした。雑草で回りを囲うように寒さ除け(マルチング)をします。マルチングについてはこの後記載します。
耐寒性がないハーブの冬越し方法
一方、寒さに弱く、このままでは枯れてしまうタイプのハーブもあります。花音の森の庭では、レモングラス・ニオイゼラニウム類・レモンバーベナがこれに当たります。
このタイプは、地植えではなく鉢植えで栽培をしたほうが管理が楽ですが、やはり地植えのほうが大株になるので、私は毎年掘り上げて冬越しさせています。やり方は、地際でカットしたあと、根全体を掘り上げ、寄せ植えを作るように鉢に植え替えればOK! 霜が当たらない軒下などで保管して、暖かくなったら地植えにします。
寒さに弱い一年草は抜くのではなく、上体部をカットするだけ
バジルやシソ、マリーゴールドなどの寒さに弱い一年草は、種取りをして終わり。通常なら、根から抜いてしまうところですが、私は抜かずに地上部をカットするだけにしています。
【シソの場合】
シソはかなり根を張っていたので、枝を落とした後、のこぎりで茎をカットしました。根は土の中の微生物たちにより分解され、次の植物の栄養になります。
春、この場所に植物を植える頃には、スコップもさくっと入るくらい土が柔らかくなっているので、微生物の力にはいつも感心させられます。
抜くということは、大変な労力であることと、一緒に土や根を捨てることになります。根は微生物のえさとして活用されますし、特に、土は1cmできるまで100年もかかるのです。ちょっとだってゴミにはしたくない気持ちで、大切にしています。
庭で出たものはゴミにしない! マルチングとして活用しよう
作業をしながら、土の表面はマルチングをします。マルチングとは、腐葉土やわら、もみ殻、黒ビニールなどで、株元や畝全体を覆うこと。
地温調整・雑草防止・降雨時の泥はねによる病害虫の防止・保水作用など、いいことばかりです。マルチングの材料は購入もできますが、私は、落ち葉や、刈った草たちを活用し、木々の足元に置くことにしていて、庭から出たものをゴミにしないように心がけています。
こちらは、先ほどカットしたラベンダーの枝葉。他の植物の足元に置き、土の表面を覆います。これから乾燥のシーズンがやってきますが、マルチングがしっかりしてあれば、水やりの回数も減らせますよ。ぜひお試しください!
Credit
写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/※Garden Storyの2020年11月19日の記事(https://gardenstory.jp/gardening/50369)より抜粋
個人的には、非常にありがたい知恵が詰まった記事でした。
レモングラスの冬越しの知恵は参考になりました。私の住んでいる神奈川県横浜市は、地植えのままでも冬越しが過去4年間できているのですが、一方で株の大きさがほとんど変わりません。
冬の寒さで株がダメージを受けているという仮説を立てた上で、掘り上げて鉢に移し、春に地植えをするというのを継続してみたいと思います。
あとは、土の深さが1センチ積みあがるには100年が必要という部分を見て、剪定したハーブの茎をもっともっと大切に扱わないといけないという気持ちになりました。
ハーブを育てるヒトの思考の積み重ねが、ハーブの育ち方に反映されることをハッキリと認識できる記事でした。
良記事に出会えて感謝です。