今日は、昨日の「初秋の北海道ハーブ巡り記【ミツバチのためのハーブガーデン『ラ・ターブルベール』in 石狩市】」の後編をお届けします。
昼食を食べてから、ラ・ターブルベールの尾形優子先生より、「アピテラピー(蜂蜜療法)を知る」と題したお話がありましたので、エッセンス、及び、Q&Aの時に得た貴重な知識について記載したいと思います。
(アピテラピーとは)
■Api(アピ)はラテン語でミツバチ。アピテラピーとは、ミツバチの生産物(ハチミツ、プロポリス、ロイヤルゼリー、花粉、蜂毒など)を美容と健康の維持、改善、予防などに積極的に利用する自然療法。
■ミツバチの蜂毒は、アナフィラキシー反応を起こさない。
(世界のアピテラピーの歴史)
■約8000年前のメソポタミアの壁画に養蜂のシーンが描かれている。ハチミツと人類の関りは古い。
■古代エジプト・ギリシャ・ローマ、及び、中国の書物にハチミツの処方箋が数多く記載。以下に有名人が残した記述を記載。
「ヒポクラテス」:ハチミツは炎症や潰瘍をきれいにし、硬化した唇の潰瘍を柔らかくし、吹き出物や膿の出る傷を癒す
「アリストテレス」:目の痛みや傷に対して、色の薄いハチミツが良い
「ディオスコリデス」:日焼けや、顔にあるシミ、また化膿部位や陥没性潰瘍に、ハチミツは効果がある
アッティカ産で薄黄色をしたハチミツが症状が進んだ陥没性の潰瘍に対して最も効果を持つ
(ハチミツの主要成分)
■ハチミツは働きバチが花の蜜を集め濃縮し、巣に貯め置いたミツバチの食料
■働きバチは、胃のそばにある「蜜のう」というところに花蜜を貯めて巣に帰り、巣の中で待っていた別の働きバチに口移しで蜜を渡す。このとき、働きバチの体内の酵素の働きで、花蜜の成分であるしょ糖が果糖とブドウ糖へと変化。つぎに、 蜜を受け取った働きバチは、蜜を貯蔵するための小部屋へと運び、花蜜の水分を蒸発させるために羽ばたきで風を送る。34℃前後という巣の中の高温も、はちみつへの熟成・濃縮を促進。こうして完成したはちみつは、蜜ろうでフタをして貯蔵され、保存用の食料となる。
※上記は、尾形先生が話されていた内容が網羅されたサイト(http://honey.3838.com/lifestyle/meal.html)があったので、そこから一部抜粋
■ハチミツは、約20%の水分と、約80%の糖質と各種ビタミン、ミネラルなど約300種の成分が含まれる。(成分は、蜜源によって異なり、同じ蜜源でも養蜂家によって異なることがある)
■ビタミン、ミネラルは微量であるが「活性型」なので人体に吸収されやすい
■80%近くの糖分は、単糖類であるブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)から成る。これらを一気にとれるのがハチミツのいいところ。
■クローバーのハチミツにはブドウ糖が多いので、結晶化しやすい。逆に、アカシアのハチミツには果糖が多いため、結晶化しにくい。
※以下に、ネット上のハチミツの成分に関するページを貼ります。
(ハチミツの主要な作用)
①抗菌・殺菌作用、創傷治癒作用
→高濃度の糖類、グルコースオキシターゼ、グルコン酸、ポリフェノールの作用による
※ハチミツの抗菌作用のメインは、高濃度糖類による。糖類の浸透圧作用で菌の水分を抜き取り死滅させる。
②アンチエイジング、美肌効果
→果糖・ブドウ糖、アミノ酸、ビタミンB群、ミネラル、グルコースオキシターゼ、グリシン等の作用による
※ブドウ糖によって、肌の吸湿、保湿がされる。
③生活習慣病の予防効果
→多種多様なビタミン、ミネラル、フラボノイド、有機酸などの働き
※果糖・オリゴ糖=「血糖値を上げない糖」。アメリカでは糖尿病の治療に使われているそうです。
※アセチルコリン=血圧、コレステロールのコントロール
④その他
→疲労回復、即効エネルギー、二日酔い、胃腸の不調改善、咳止め・去痰、貧血、更年期障害の緩和、認知症予防、骨粗しょう症予防、血行不良、冷え性、こり、不眠、イライラなどに有効。
※咳止め作用については、コーヒーと一緒に摂ると効果的という論文(以下)もあるようです。尾形先生は”カフェインと一緒に摂ると効果的”という表現をしていました。
※砂糖より、ハチミツの糖の方が多幸感が長続きするという研究結果もある
(アーユルヴェーダの中のハチミツ)
■原書の「控える食品と常食すべき食品」の記述の中で、「毎日の習慣として、健康を保ち病気の発生を防ぐ食べ物」とされている。
■ギー(バターオイル)と共に、これほど有用な食べ物はないとされ、薬の基材として、あらゆる薬草(スパイス)との調合に用いられている。
■他の物の効能を体内の隅々まで運ぶ特殊な機能(=ヨーガヴァーヒ)を有する。ハチミツはハーブ(薬)と併用することで、ハーブ(薬)の薬効を高め、体内の隅々まで行き渡らせる。
(フィトテラピー(植物療法)とアピテラピー(蜂蜜療法))
■植物由来の多様な成分を含んだハチミツとハーブの相性はよく、古くから親しまれている。
■日本においても、風邪に「ハチミツ大根」、喉のケアに「かりんハチミツ」、冷えに「生姜ハチミツ」などの伝承があり、日本薬局方にも収載されている。
(Q&A)
Q : なぜ、ハチミツは一般的に加熱されているのか?
A : とろみを無くして、瓶詰の速度を上げる。それ以外に、人工的に蜜源に熱を加えて水分を飛ばし糖度を上げる目的。さらに、結晶化させない(見栄えを良くする)ために加熱する側面もあり。熱を加えると、酵素が不活性になり、抗菌力等が低下する。
Q:ハチミツはアルカリ性と聞いたことがありますが、、
A : 梅干しと同じく、元々酸性であるが、唾液によってアルカリ性に変化する。
Q : なぜ特定の植物の蜜源ハチミツ(アカシアハチミツ等)を作れるのか? 普通に考えると、様々な花の蜜が混じると思うのだが、、
A:セイヨウミツバチは、単一の植物の蜜しか集めないという習性がある。初めに持ち込まれた蜜に統一化されるとのこと。逆に、二ホンミツバチは、そのような習性はなく、常に様々な花から蜜を集めるとのこと。
※以下のページに、セイヨウミツバチと、二ホンミツバチの違いについての詳しい記載があります。
以上です。
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今回のイベントを通じ、今まで漠然と、ハチミツとハーブの相性が良いという意識は経験上ありましたが、過去数千年にわたり、人類がハチミツとハーブ(薬)をセットで活用してきた理由をハッキリと認識できました。
今後のハーバルライフに大きな影響を与えるような内容であったことに充実感を感じながら、次の目的地である北海道・北見へ向かうため、札幌駅へ向かいました。