直近の記事で、二度、シチュエーション・目的に応じた精油の活用法について取り上げました。(以下)
【2020年5月15日の記事:AEAJ(日本アロマ環境協会)が公開している「在宅勤務でのアロマ活用法」について】
【2020年5月19日の記事:美容家、兼、オーガニックスペシャリストが推奨する「コロナ下の更年期を快適に過ごす、3つの精油」】
どちらの記事も自分にとってはインパクトのあった内容であり、今後のハーバルライフの中で確実に生きてくる知恵だと感じています。
今のコロナが終息した後も、移動せずに遠隔で取り組むという文化は残り続けるはずなので、今いる空間のクオリティーを高めたいという欲求も高まっていくはずで、その一助としてのアロマ需要も高まっていくものと考えています。
最近は、アロマに関する研究も盛んになってきており、科学的なエビデンスも少しずつ蓄積されている為、「アロマ」に対する世間の見方も数年前に比べると大きく変わってきているという体感があります。
「アロマも馬鹿にできんぞ」と、世間の目が動いてきているように感じるのです。
今日は、”ウイルス・花粉症対策をサポートする”アロマの話題を取り上げたいと思うのですが、説明が詳細で非常に参考になる内容でした。(以下)
ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマティックライフ4 定番精油編 【乙庭Styleのガーデンセラピー6】
日々変化して落ち着かない毎日が続いていますが、香りの効果で気分をリフレッシュしながら前向きに乗り切りたいですよね。ここでは精油のチカラで免疫力の向上をサポートするアロマティックライフスタイルを、ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんがご紹介。ご家庭でできるマスクスプレーやルームフレグランスづくりにおすすめの精油を、原料である植物と併せて解説します。
ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマセラピー 定番4種
「抗ウイルスや花粉症対策をサポートするアロマティックライフ」シリーズ。これまで、香りを楽しみながら対策サポートするマスクスプレーとルームフレグランス(前編・後編)をご紹介してきました。今回からは、これらに用いる、ウイルスや花粉症への対策作用、抗感染、免疫向上作用が期待できる精油のプロフィールをご紹介します。
求める作用に応じて、ご自身の好みの精油を効果的に組み合わせて、防御一辺倒ではなく、楽しく健康・安全な、そして自分らしい毎日を過ごしていきたいですね。 アロマセラピーで使われる芳香精油にはとても数多くの種類がありますが、高価なものや、さほど頻繁には使用しないものもあります。 本シリーズでは、抗ウイルス作用、花粉症対策、抗感染、免疫力向上の4点にフォーカスして、比較的手に入りやすく汎用性も高くて使い勝手のよい精油をセレクトしてご紹介します。
今回は、まずは揃えておきたい、抗ウィルス、花粉症対策、抗感染、免疫力向上の4作用を全面的にカバーしてくれるオールマイティな定番精油を紹介します。 これらの精油を使ったウイルス・花粉症対策をサポートする精油の日常使いの手法については、下記記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。
『ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマティックライフ1 マスクスプレー編』
『ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマティックライフ2 ルームフレグランス前編』 『ウイルス・花粉症対策をサポートするアロマティックライフ3 ルームフレグランス後編』 ご家庭でできるウイルスや花粉症の予防サポート、おうち時間の過ごし方として、自分らしくしなやかに事態に対処するヒントや不安解決の糸口になれば幸いです。 ※現在、日本ではアロマセラピーは医療としては認められていません。精油を用いて美や健康(未病対策や予防)に役立てていく自然療法です。精油は医薬品ではありません。治療目的では使用せず、健康状態が気になる方は医師にご相談ください。
【セレクト1】ティーツリー (メラレウカ・アルテルニフォリア Melaleuca alternifolia)
オーストラリア原産のフトモモ科の樹木、メラレウカ・アルテルニフォリアの葉から水蒸気蒸留法で得られる精油です。
メラレウカ・アルテルニフォリアは、涼やかな細葉や、古木になるとペーパーバーク状に剥がれる樹皮のワイルドな表情、そして品種 ‘スノーインサマー’ に代表されるように、初夏に樹冠全体を覆い尽くすように咲く白い花の美しさから、日本でも温暖地向け庭木としても人気が高い樹種ですよね。 精油の話から逸れますが、オーストラリア原産の樹木というと、乾燥に強い性質というイメージを抱きがちです。しかし、原生地では、沼地や水辺に生えていることが多く、たいへん土壌水分を好む樹木です。
オーストラリアの先住民アボリジニが伝統的に治療薬として古くから利用していたり、アロマセラピーを医療的に取り入れているフランスでは、第2次大戦時にこのティーツリーやラベンダーの精油から作った薬剤が負傷兵の傷の手当てにも用いられました。 また、ティーツリー精油は、近年日本では花粉症予防の面からも注目されていますね。 ティーツリー精油は「天然の抗生物質」とも呼ばれ、約40%含まれるテルピネン-4-オール、約20%含まれるγ-テルピネンという成分を中心として、優れた抗菌・抗ウイルス・抗感染・免疫向上作用が期待できます。
本シリーズで対策したい全ての作用性をバランスよく兼ね備えた頼もしい精油です。やや独特の香りがあり、感じ方には個人差はありますが「ちょっと薬っぽい」とか「青臭い」などと評され、好みが分かれることもあります。精油単体の香りの好みの問題は、他の精油とブレンドすることでほぼ好転・解消できますので、ティーツリー精油を作用の軸にしつつ、好みの精油と組み合わせて、素晴らしいティーツリーの作用を享受してみてはいかがでしょうか。
同じく定番的に4つの作用をカバーできるユーカリ・ラディアタ精油や、抗ウイルス・抗感染作用があり抗うつや集中力向上も期待できるレモン精油などとのブレンドも相性がよいです。 原液は皮膚刺激がありますので、敏感肌の方は特に希釈濃度に注意して使用しましょう。
【セレクト2】ユーカリ (ユーカリプツス・グロブルス Eucalyptus globulus、ユーカリプツス・ラディアタ Eucalyptus radiata)
スッキリした清涼感のある香りでおなじみのユーカリ。ユーカリプツス属は、オーストラリアを中心に500種以上の原種が自生しているフトモモ科の樹木です。
多種ある中でもアロマセラピーで精油として利用されるのはごく一部。本項で紹介するグロブルス種とラディアタ種、それ以外にレモンユーカリの名でも知られるシトリオドラ種など数種のみです。精油はそれらの葉から水蒸気蒸留法で得られます。
グロブルス種は、葉の芳香だけでなく、柳のように涼やかな細長い葉や、成長とともに樹皮が剥がれ落ちて露出されるすべすべとした白い幹もとても美しいのですが、樹高50mにもなる巨木種なので、園芸的に栽培するには、鉢植えにして根量をコントロールするなど、配慮が必要です。
ユーカリは、前述のティーツリー同様、オーストラリア原住民が傷の治療などに古くから用いていたり、現代でも、鼻づまり・くしゃみなどの風邪に伴う諸症状に効果のある医薬品にユーカリ精油が配合されていたりいます(ユーカリ精油自体は医薬品ではありません)
。
グロブルス精油に70%以上含まれる1,8-シネオールという成分が中心として、優れた抗菌・抗ウイルス・抗感染・免疫向上作用、加えて抗気管支炎・去痰・知的能力の向上作用が期待できます。 ユーカリ・グロブルスのスーッとした爽快感のある香りは、多くの人に好まれる芳香ですが、原液を近くで嗅ぐと、目や鼻粘膜などに刺激がやや強いです。ちょっと刺激が強すぎるかなと思われる場合は、1,8-シネオールの含有量がより少ないラディアタ種が、よりマイルドに使えておすすめです。
ユーカリは、単体でも多くの作用をカバーできますし、香りもよく、いいこと尽くめの精油ですが、楽しみや演出も含めて他の精油との組み合わせも試してみたいですね。 暑い季節には同じく作用もよく清涼感のあるペパーミントと合わせても。抗感染・免疫力向上作用とともに森林浴のようなリフレッシュ感のあるパインとも相性がよいです。
またラディアタ種の精油と抗ウイルス・抗感染作用のあるオレンジスイートとの組み合わせも、ラムネに似たちょっと美味しそうな香りになります。ユーカリ、オレンジともに気分を明るく爽快にリフレッシュさせてくれますので、お仕事などの集中力・作業効率のアップにも効果が期待できますね。
【セレクト3】ラベンサラ (ラベンサラ・アロマティカ Ravensara aromatica)
ラベンサラ・アロマティカは、マダガスカル固有種のクスノキ科の高木で、精油はその葉から水蒸気蒸留法で得られます。
同じマダガスカル産のクスノキ科の高木から得られる精油ラヴィンツァラと混同されやすいですが、ラヴィンツァラは植物学上、ショウノウノキ(キナモムム・カムフォラ Cinnamomum camphora CT cineol)の1,8-シネオール成分を多く含むケモタイプに分類され、ラベンサラ・アロマティカとは別種です。
ラベンサラの名で多く流通しているラベンサラ・アロマティカ種の精油は、柑橘香を特徴づける成分リモネンを多く含み、抗ウィルス・抗感染作用があります。 一方、ラヴィンツァラは、ユーカリにも含まれる1,8-シネオール成分を65%程度、その他ティーツリーと共通するテルピネン-4-オールを含みます。
ちょっとややこしいですが、ラベンサラとラヴィンツァラ、どちらも含まれる成分は違えど、抗ウイルス・抗感染作用など、本シリーズで対策したい作用を兼ね備えています。 ラベンサラは、シトラスや新緑のような爽やかさのある香り、ラヴィンツァラはユーカリをさらに優しくしたような香りです。どちらも好感度の高い香りで、対策モードというよりは普通に心地よい香りとして普段使いしやすいです。
ブレンド相性の幅も広く、サイプレスやジュニパーといった樹林を感じさせる香りや、柑橘系の精油、ハーブ系精油などとよく似合い、男女問わず受け入れやすい爽やかなアロマ演出ができます。
【セレクト4】ペパーミント (メンタ・ピペリタ Mentha x piperita)
爽快で清涼感のある香りで、ガムや歯みがき粉の香料などとしてもなじみ深い、ペパーミントの葉から水蒸気蒸留法で得られる精油です。
ペパーミントは、ウォーターミント(Mentha aquatica)とスペアミント(Mentha spicata)の自然交雑種とされるシソ科の多年草です。
園芸的にはハーブとして栽培されることも多いのですが、原産地のヨーロッパよりも降水量の多い日本では、地下茎で増えてはびこりやすいので、庭で育てる場合は広がりすぎないようにコントロールできる場所に注意して植えましょう。
ペパーミント精油は約40%程度含まれるメントールによる抗ウイルス・抗感染、免疫向上作用に加え、約25%程度含まれるメントンによる抗ウイルス・去痰作用が複合的に機能し、本シリーズで対策したい効果を全面的にサポートします。 また、ミント特有のひんやりした清涼感はメントールの冷却作用によるものです。 なじみ深い爽やかな香りで抵抗なく受け入れやすいですが、精油原液はとても香りの存在感が強く、また眼の粘膜や肌への刺激も強いので、使用量や希釈濃度には注意しましょう。
柑橘系の香りとの組み合わせはレモネードのような清涼感を感じさせますし、ユーカリやラベンサラなど、本記事で取り上げた他の定番精油各種とも相性がよいです。ペパーミント精油は少量でも香りの存在感が強いので、ブレンドの際はやや分量を少なめにし、他の定番精油を多めに配合してバランスを取り、対策と香りの楽しみの両方をカバーするとよいでしょう。
精油を使う際の注意事項
精油に含まれる成分は、植物自身が進化の過程で、強い紫外線や病原菌、そして害虫などから身を守り、自然界を生き抜くために生み出した防具や武器のようなものともいえるでしょう。
100%植物由来だから安全というわけではなく、使い方を間違えれば毒や害になるものもあります。用法用量を守ることが肝要です。 下記注意事項もよく理解した上で、正しく・安全に利用しましょう。
【注意事項】
※精油原液は刺激が強いため、直接皮膚につかないように注意しましょう。また作業中に気分が悪くなった場合は作業を中止し、換気するなどして精油の刺激に当たり続けないようにしましょう。 ※精油は引火性がありますので、火気のない場所で安全に作業しましょう。 ※各精油で成分や作用が異なります。作用やリスクについて事前によく調べてから使用しましょう。 ※精油は医薬品ではありません。治療目的では使用せず、健康状態が気になる方は医師にご相談ください。 ※妊娠中・授乳中の方、病気治療中の方、アレルギー体質などの心配がある方は、使用に注意が必要なものもあります。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。また3歳未満のお子さんには使用しないでください。 ※精油を用いて作ったものは自身が製造者となります。自己責任で安全に配慮して活用しましょう。
住まい方療法としてのアロマセラピー
植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、創造的に心身の健康に役立てていくアロマセラピー(芳香療法)。
超高齢化や生活上のストレス増加が懸念されている今日において、病気や不調の原因となる生活習慣やストレスなどのメンタル面の問題、住環境などを包括的に整えていくホリスティック(包括的)ケアの一つとしてアロマセラピーにも注目が集まっています。 植物を多角的に生活の中に取り入れ、健康寿命を延ばしたり、日々の暮らしを心身ともに溌剌と健やかに過ごして人生の質を高めることを目指すガーデンセラピーの観点からも、老若男女問わず、住まい方療法の一つであるアロマセラピーを効果的に生活に取り入れたいですね。 次回も引き続き、抗ウイルス作用や花粉症対策向け、抗感染・免疫力向上作用のある精油について、手に入りやすく汎用性の高いものを、乙庭セレクトで詳しくご紹介しでいきます。どうぞお楽しみに!
「健康とか無傷とか、なんなら清浄といってもいいが、そういうものは意志の結果で、しかもその意志は決してゆるめてはならないのだ。」 (アルベール・カミュ 小説家・哲学者 1913 – 1960)
Credit
写真&文/太田敦雄 「ACID NATURE 乙庭」代表。園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科卒業後、前橋工科大学で建築デザインを学ぶ。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。 2020年 ガーデンセラピーコーディネーター1級取得。庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。 レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。 「ACID NATURE 乙庭」オンラインショップ http://garden0220.ocnk.net 「ACID NATURE 乙庭」WEBサイト http://garden0220.jp Photo/ 1) AmyLv 6) AmyLv 7) tamayura 8) IngeBlessas 9) AmyLv 10) Arkhipenko Olga 11) AmyLv 12) Ksenia She 13) psirob 14) garmoncheg 15) pixinoo 16) Ammak 17) nana77777 18) cynoclub 19) jflin98 20) Varts 21) cynoclub 22) JPC-PROD 23) Tatevosian Yana 24) Volosina 25) lzf 26) Cat Act Art 27) MariaKovaleva 28) Hazem.m.kamal 30) bitt24 31) Elnur /Shutterstock.com
※GardenStoryの2020年5月19日の記事(https://gardenstory.jp/lifestyle/43395)より抜粋
ここで紹介されている精油4種のそれぞれの説明が詳細で分かりやすいです。
香り・効果の面で、”この精油とブレンドするのがオススメ”という情報も記載されているのでとても参考になり、すぐに真似したくなります。
個人的には、「ラベンサラとラヴィンツァラの違い」についてうやむやな状態だったので、今回の記事の説明を見たことでクリアになりました。
非常に有益な情報に触れることができ感謝です。