以前、オーガニックな食材が多数置いてあるスーパーマーケットにて、興味深い商品を見つけました。
「バオバブ」については、名前は聞いたことがあったものの、「バオバブの木」、「バオバブの果実」について全くイメージできなかったので、早速調べてみると目から鱗でした。
アフリカ伝説の万能薬、スーパー果実「バオバブの木の実」
体のどこが悪いかは関係なく、セネガル人の施す治療法はいつも同じだ。バオバブのフルーツを食べる。しかも大量に。バオバブの果肉と水をあわせてセネガルスムージーを作る。地元のウォロフ語でボウイェといい、白いなめらかなヨーグルト状だが、舌にしゃりしゃりした食感があり、力強い味がするだけでなく、下痢止め薬のような後味が残る。
バオバブのフルーツは、ビタミンCがオレンジの三倍、カルシウムがほうれん草の50%も多く、酸化防止剤の元になり、ガンから心臓病まで、あらゆる病気の危険性を軽減するのに役立つ成分をもつ。このスーパーフルーツは、これまでアフリカへ出向かないと手に入らなかったが、最近EUの食品規制の認可がおりて解禁され、近くのスーパーでも手に入るようになった。
バオバブの木はアフリカの風景には欠かせない木だ。“逆さまの木”と呼ばれるのは、頭を地面に突っ込んで、根が空に向かって伸びているように見えるからだ。アフリカ人は、バオバブの木のことを“生命の木”と呼ぶ。幹の周囲は15メートルほどにも成長し、一本の木で4500リットルもの水を貯えることができる。樹皮からロープや衣類を作る繊維が採れ、免疫システムを促進する効果があるため、新鮮な葉もよく好んで食べられる。木のうろは、40人もの人間が隠れられるほどのシェルターになる。
硬い殻におおわれ、ぽろぽろした果肉をもつこの珍しいフルーツの需要が、ヨーロッパで拡大するのは、アフリカの田舎に住む多くの人々の生活を改善する重要な役割を担う可能性を意味する。
マラウィでフルーツの収穫にたずさわっているアンドリュー・ムバインバイは、収穫収入のおかげで、15歳から18歳の娘たちの学校教育の費用をまかなえるという。最近の報告では、イギリスとアフリカのバオバブフルーツの生産者との取引額は年間およそ10億ドルほどになり、アフリカ大陸中で250万以上の世帯の雇用を生み出しているという。
1997年以来、ヨーロッパで一般的に食られないような珍しい食品は、市場に出回る前に正式に認可されなくてはならない。バオバブの認可は、ヨハネスブルグの非営利団体PhytoTradeが推進し、15万ポンド以上かけ、2年の歳月を費やしてロビー活動をした結果だ。認可の成功は、収入の少ない地方の極貧社会にとって大きなチャンスになると、Phyto Tradeの代表ガス・ラ・ブレトンは言う。三ヶ月もしないうちに、イギリスの商店にバオバブが並び、来年は、ジュースやスムージーの会社が、バオバブ専用のラインを本格展開して、バオバブ味のシリアルやビスケット、菓子類などの開発も始まるだろうという。
バオバブを収穫するのに、特殊な設備はいらないし、土着のフルーツなので、乾燥した土地でも育ち、予想される気候の変化にも損なわれることがなく、生産者たちの暮らしを潤わせている。
しかし、心配もある。ヨーロッパの需要があまりに加熱すると、生産のやりくりを維持できるかどうかということだ。ダカールに住むマリー・マンガは言う。「私たちは先祖と同じように昔からこのフルーツを食べて育ってきた。ヨーロッパの人たちがバオバブを欲しがるのは嬉しいけれど、私たちの分も残しておいて欲しい」
バオバブの木の伝説
・原産はアフリカだが、オーストラリアやインドでも見られる。・高さ30メートル、幹の周囲が15メートルになるものもある。ジンバブエのある古い木のうろには、40人も人が入ることができるという。店や留置所、バス停留所、バーに改造されている木もある。
・樹皮を剥いでも、新しい樹皮が出てきて成長し、なかなか枯れない。樹齢3000年のものも見つかっている。枯れる時は中から腐り、突然倒れる。
・幹には大量の水が貯えられ、象はこの幹を裂いて水を飲むのは知られている。
・ウリのような実は、15~20センチくらいの大きさで、枝から長い茎でぶら下がってなる。
・バオバブの木から花を摘むと、ライオンに食われてしまうと信じられている。あるいは、種を浸した水を飲むと、ワニの襲撃を避けられるという。
via:The tree of life (and its super fruit)
原文翻訳:konohazukuバオバブの実は粉末にして、牛乳やヨーグルトに入れて、砂糖を加えて飲むと乳酸菌飲料のような味がしておいしいそうだ。日本でも、スーパーに並ぶ日がくるのかな?そういえば2010年、ペプシからバオバブ味のコーラがでてたね。飲み逃がしちゃったけどおいしかったのかな?
※ガラパイアの2013年2月17日の記事(http://karapaia.com/archives/52118290.html)より抜粋
この記事自体は、約7年前なので、市場に出回り始めたのはまだまだ最近の話ということですね。しかも日本で出回り始めたのは、本当にここ2~3年の話かもしれません。
「バオバブの木の形ってこんなんだったの??」とかなり驚いたと同時に、数千リットルの水を貯えることができるという特性は、アフリカ原産であることと、この木の形から納得ができました。
個人的には、「バオバブ」というと、アフリカというより、オーストラリアのアボリジニのイメージが強かったのですが、そのアボリジニがこのバオバブをどのように活用していたかという興味深い情報が以下に記載されています。
「監獄の木」の異名をもつオーストラリアのバオバブ
樹木は遠い昔から、人類の文化や歴史を形づくり、無数の人々の人生に影響を与えてきた。ナショナル ジオグラフィックの『心に響く 樹々の物語』は、そんな樹々と人間の物語を、ダイアン・クックとレン・ジェンシェルによる美しい写真でつづる本だ。ここではその中から、オーストラリアのダービーに生えているオーストラリアバオバブ、通称「監獄の木」を紹介しよう。
マダガスカルやアフリカ大陸に育つバオバブが、いつどのようにしてオーストラリア西部のキンバリー地方に根づいたのか、正確な経緯はわかっていない。一説には、7万年ほど前にアフリカ大陸を出た人々が、栄養価の高いバオバブの果実や種を携えていたのではないかといわれている。
キンバリー地方の先住民アボリジニにとって、バオバブは並外れて貴重な存在だった。精神面では、力強い精霊の宿る場所として人々の心の支えとなり、実用面では、乾季の豊かな水源として命を支える。幹内部のスポンジ状の組織には、成木1本当たり最大で10万リットルもの水が蓄えられるといわれている。さやの中の柔らかい果肉には、豊富なビタミンCが含まれていて、水と混ぜれば栄養満点の柑橘系ドリンクになる。
ダービーの町はずれに立つこのバオバブの木の樹齢は、1500年ほどと見られている。この地域を訪れた人類学者が残した古い記録によると、アボリジニの人々は、この木を納骨堂、つまり遺骨の永眠の地として使っていたらしい。また、この木は20世紀初頭に家畜泥棒などの罪に問われたアボリジニを一時監禁するための牢だった、という話もよく聞かれるが、こちらについての根拠はない。
だが「監獄の木(プリズンツリー)」という異名は人の関心を引きやすいため、この怪しげな話は根強く残っている。この地方の歴史に詳しい文化人類学者によると、単なる噂話であっても、年間数千人の集客力をもつダークツーリズムの目玉となってしまった今では、「アボリジニの監獄」というストーリーを訂正しようという動きは広がらないという。その結果、バオバブがキンバリー地方の先住民に対してもっていた本当の意味は、十分に理解されないままとなっている。
※ナショナルジオグラフィックの記事(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/17/102600015/110200003/)より抜粋
ロマンを掻き立ててくれるお話です。
バオバブパウダーの商品に出会ったことで、バオバブに対する認識がガラッと変わったことは自分の中では非常に大きな収穫です。
今後もバオバブの知見についてはさらに広げていきたいと思います。