先日、オムツや生理用品を販売しているユニチャームが以下のプレスリリースを行ないました。ユニチャームのような大手企業が、ゼラニウムの精油の検証を行なったのが新鮮だったので、目を通しました。
日用品に使われる植物性天然香料の心理的効果の研究 ~「ゼラニウムの香り」にストレス緩和効果があることを検証~
内容を一部抜粋します。
■研究の背景
ゼラニウム精油はローズに似た芳香を有し、一部の化粧品や日用品に賦香された香料に配合されている。ゼラニウム精油には、女性の月経前のイライラや月経中の憂鬱な気持ちを和らげる心理効果があると言われているが、科学的に明らかになってはいない。
今回、月経期におけるゼラニウム精油の心理的効果を解明するための予備的検証として、ゼラニウム精油のストレス緩和効果について女性を対象に科学的検証を実施した。■研究の概要
(材料)
ゼラニウム(Pelargonium graveolens)の精油は水蒸気蒸留法によって葉・茎から採取したものを使用した。
(対象)
被験者は女性15名(年齢22.0±1.5)で、ゼラニウム群8名とプラセボ群※37名の2群にランダムに分けた。被験者には、試験の目的・内容に関して文書と口頭で説明を行い、本試験への参加について自由意志による同意を文書で得た。
(方法)
被験者には試験室にて、準備期(15分)・課題期(15分)・安静期(30分)を過ごしてもらった。課題期では、ゼラニウム群にはゼラニウム溶液が規定量塗布されたマスクを、プラセボ群※3には精製水が規定量塗布されたマスクをそれぞれ装着させ、内田クレペリン検査とカラーストループ検査のストレス課題を与えた。各期の終了時の気分をPOMS2で測定するとともに唾液を採取した。採取した唾液から後日コルチゾール※2量を測定した。
(分析)
コルチゾール※2量の分析は、準備期と安静期の量を群内比較した。また、準備期の量から安静期の量を引いた変化量を算出し、その変化量を群間比較した。POMS2※1の分析は課題期のスコアを群間比較した。有意水準は5%とした。
(期間)
2016年12月~2017年1月※1 「緊張」「抑うつ」「怒り」「活気」「疲労」「混乱」の6つの尺度から気分や感情を測定する検査。
※2 ストレスに応答して唾液中や血中などに分泌されるホルモンの1種。
※3 有効成分を含まない(効果のない)試薬を投与した群■研究の結果
プラセボ群※3では準備期と安静期のコルチゾール※2量に有意な差はなかったが、ゼラニウム群では有意な差があった。また、準備期と安静期のコルチゾール※2の変化量はプラセボ群※3に対してゼラニウム群が有意に低かった。(図1)課題期におけるPOMS2※1の「疲労-無気力」のスコアがプラセボ群※3に対してゼラニウム群が有意に低かった。その他の項目では有意な差はなかった。(図2)
■研究の結論
コルチゾール※2の結果では、ゼラニウム群ではストレス課題に対してコルチゾール※2の分泌が低下する傾向があったことから、ゼラニウム精油にはストレスを緩和する効果があることが示唆された。また、POMS2※1の結果では、ゼラニウム群はストレス課題直後でも疲労を感じていない傾向があったことから、ゼラニウム精油は疲労や無気力の感情を抑制する効果があることが示唆された。
本研究より、ゼラニウムには女性のストレスを緩和して疲労や無気力の感情を抑制する心理効果があることが示唆された。
恐らく、一企業のユニチャームがこのような実験を行なった理由は、今現在出している生理用品等にゼラニウムの香りを染み込ませたものを販売しているか、今後、ゼラニウムの香りを含ませた商品を積極的に販売をしていく意図があるからだと思います。
それはさておき、、以前、AEAJが行なった実験を、
【AEAJの実験で「レモングラス精油」と「シトロネラ精油」を蚊が嫌うこと(忌避作用)を確認というニュースを見て、、】
の記事でも取り上げたのですが、最近の検証系のニュースを見て、「過去に実験でしっかりと検証されていなかったの?」と感じてしまう部分があります。
世の中に、ハーブ・アロマに関する本が沢山出回っている中、それぞれのハーブの効果、効能というもの、文字情報として無数に謳われていますが、、、それらは本当にそうなのか?という疑問も湧きます。
ハーブティーと飲んだり、精油の匂いを嗅いで、「確かにそうだな」と感覚的に感じ取れればいいと思いますが、普及させていく観点、及び、攻撃からの防御という観点においても、ハーブの効能、効果、限界というものを検証していく動きが必要だと思います。
がん治療の代替療法の話の中で、何かとハーブのことが出てきますが、ハーブの限界というものを検証で実証すれば済む話のように思います。
最近、オーガニックやビューティーを謳うサイトで、検証を全くせずに、過剰にハーブの効能をアピールし、癌への効果も匂わすものが出現しているので、そのような存在も不必要に攻撃を受ける元凶になっているのではと感じます。
いずれにせよ、ハーブ・アロマの商業としての土台というのは、まだまだこれからということだと思いますし、このようなステージにハーブの楽しさと出会ったことは幸いだと思っています。
一つ一つ検証を行ない、土台をしっかりとしたものにしていかないといけないというのは、自分自身の人生についても全くあてはまることだと思っています。