JAMHA(日本メディカルハーブ協会)のハーバルセラピスト養成講座を受けているときに、欧州のメディカルハーブの基礎を作った3人として、
”体液病理説”を唱えたヒポクラテス(紀元前400年頃のギリシャの医師)
”マテリア・メディカ”を著したディオスコリデス(1世紀ごろのローマの医師)
”ガレノス製剤”の名で薬学製剤の基礎を作ったガレノス(2世紀ごろのローマの医師)
の名前はしっかりと覚えました。
先日、「ガレノス・プロジェクト」という団体が、
【”トルコ・ベルガマが生んだ 医学の父ガレノスのことを知る”~暮らしに息づくガレノスの健康法を知ろう】
と題したイベントを開催することを知り、興味が沸いたので参加したのですが、ガレノスのことについて深く知るきっかけとなる内容でとても面白かったです。
ガレノスプロジェクトとは、ガレノスをシンボルにして医学・医療の歴史的な位置づけを見直し、古代哲学者たちが何を私たちに残したのかを知り、西洋医学と東洋医学の科学的且つ精神的な一致を目指し、伝承として古代から伝えられてきた知恵を医療を現代に結びつけることで、日本とトルコ、シルクロードの東と西での交流を生み出し、人々が健康で幸せで平和になることを目的としたプロジェクトです。
※ガレノスプロジェクトのHPのより一部抜粋
そのイベント会場で、今まで全く聞いたことの無い名前のハーブが使用されたハーブティーが振舞われていました。
そのハーブの名前は「アダチャイ(別名:シデリティス)」です。
Instagramにその時の写真をアップしました。(以下:2枚の写真があります)
全く見たことの無い形のハーブで、且つ、ハーブティーの味も苦みがあり、効能が強そうな体感がありました。
ネット上で、アダチャイ(シデリティス)を調べても情報が乏しかったのですが、ガレノス協会の会長 後藤香織さんが、アダチャイの研究論文を書いていることがわかりました。
また、ガレノス協会のブログ(後藤香織さんが著者)で、アダチャイのことをわかりやすく情報をまとめているので以下にご紹介します。
アダチャイ~別名シデリティス、チャイ・トゥ・ヴヌー、剣闘士のお茶
アダチャイって何なのでしょう
最近、アダチャイについて話をすることが多いので、まとめてみました。冬の朝には欠かせないアダチャイ。ローマ時代よりも古くから飲用されている薬草茶です。トルコでは、アダチャイ、ダーチャイというのが同じものなのですが、エーゲ地方のアクタル(薬種商)で売られているのはシデリティスという種です。注意する必要があるのは、中央アナトリアでは、このアダチャイはセージ(サルビアオフィキナリス)を指すことが多くなります。同じアダチャイという名前でも違うものを売っています。市場で売られているセージ(左)シデリティス(右) 同じアダチャイと呼ばれています。シデリティスはどういう植物かというと、シソ目シソ科シデリティス属の植物です。地中海一帯の高地に自生する薬草です。セージ(サルビアオフィキナリス)はシソ目シソ科アキギリ属セージとなります。最も古い文献としてディオスコリデスのメテリアメディカにも書かれている薬草です。アダチャイ、シデリティス、チャイ・トゥ・ヴヌー、剣闘士のお茶など、その地域にある名前と共に今でも使われています。トルコには53種存在している
バルカン半島からギリシャ、トルコ、クレタ、エーゲ海の島々、広く分布しているのですが、トルコには53種ほど存在しています。以前私の古代料理店のあったアンタルヤでは、コルクテリ高原で採れるアダチャイが流通していました。コルクテリ高原は植物の宝庫でもあり、シデリティスの種は沢山あるのです。この短い丈種の名前は、シデリティス・コンゲスタ。少々長い方が、シデリティス・ストリクタといいます。短い花穂をカップに一ついれて、お湯を注ぐと金色のお茶が出てきます。レモンを絞って飲みます。こちらがエーゲ地方でよくみられるタイプのアダチャイです。コザック、ヤージュベイデル、ユンターなどの山岳地帯で採れるそうでシデリティス・ペルフォリアータという種です。丈が長く1メートルを超しています。茎や葉に、不揃いですが毛が生えています。葉も大きく、葉も茎も使います。これを飲むと元気がでます。ギリシャの山のお茶
ギリシャでは8種が確認されています。これはギリシャ・アテネの薬種商で入手した最高級のアダチャイ、シデリティス・シリアカという名前ですが、クレタ島産です。全てが銀の毛に覆われていて、トルコのアダチャイとは少々雰囲気が異なります。これらはエーゲ海の島で入手したものです。クレタ産に比べると銀毛が少ないようです。ギリシャ産山のお茶は細かい銀毛でおおわれているのが特徴です。どのような時に使うお茶かというと
一般的には冬の朝に飲むと伝えられています。寒い時に元気が出るとか、風邪に効くとか言われています。古代には剣闘士のお茶と言われていたように、怪我をした時に飲ませていたそうで、交感神経を興奮させる効果があるのだと思われます。成分分析では、ピネン、エウカプトル、リネアロールなど200種ほどの化学成分が含まれています。ピネンはヒノキなどと同じ成分です。横断的に文献を読むと、種によって成分組成が若干異なっているようです。ピネンの効果
- 強壮作用
- 血行促進
- うっ滞除去作用
- 抗菌作用
- 免疫向上作用
ギリシャ産とトルコ産、どちらが効果があるのか、この比較について調査した研究はないのです。ですが、飲んだ感想としては、ギリシャの方がまろやかな味、トルコの方がはっきりした味のようです。トルコの方が色が濃く抽出できます。このシデリティスですが、近年研究が増えている様子です。アルツハイマーやADHDに有効であるという結果が少しづつでてきているからでしょう。いずれにしても、何千年も人々が使っているものなので、日々飲んで免疫力が高まる、あるいは予防効果のあるお茶であるのは、間違いがないようです。※ガレノス協会のブログより抜粋。
私自身、このアダチャイの姿を見ていると、味はかなり異なるのですが、ブルガリアの高山ハーブ『ムルサルスキー』と印象が重なりました。
表面に毛が生えているという点と、穂の部分のカタチが似ていますし、効能も割と近いような気がします。
【過去の参考記事:ブルガリアの高山ハーブ『ムルサルスキー』が届いたので早速ハーブティーを飲んでみました。】
地理的にもブルガリアはギリシャと隣接しているので、お互いのルーツが非常に気になります。
通販で、このアダチャイ(シデリティス)を買えればと思い探してみたのですが、セージティーしか見当たらないですね。。
ただ、このハーブは非常に興味が高いので、今後継続的に調査をしていきたいと思います。