ハーブ・アロマ領域において、日本ではほとんど見られない業態のお店と言うは個人的に非常に興味が高いです。
例えば、フランスで見られる「エルボリストリ」は、今自分の中ではすごく行ってみたい業態のお店です。
「エルボリストリ」とはフランスの伝統的なハーブ薬局のことで、植物療法ベースにした乾燥ハーブや粉末、カプセル、チンキ剤、精油などを扱っており、体調に応じて処方してくれる場所です。
先日、大分県で「日本版エルボリストリ」と言ってもいい”Herb for you(ハーブ・フォー・ユー)”というお店が開店したので、そのことを記事にしました。
【過去の関連記事:日本版エルボリストリ(ハーブ専門薬局)開店。大分県の薬剤師によるハーブとアロマの店「ハーブ・フォー・ユー」】
そして、昨日、「こういうものを提供しているお店は日本では聞いたことがないなあ」と思った場所が、アイルランドにあることを知りましたので、ご紹介したいと思います。
自然からの贈り物 ハーブパワーをチャージできるバー in ゴールウェイ
街歩きが楽しいゴールウェイ
大学もあり、若い人が多いせいか、おしゃれなお店が多いゴールウェイ。カラフルに彩られた建物や川やドックなど変化のある景色のおかげで、街歩きはとても楽しいアトラクションです。ふらふらと歩いているだけでも、思わず「おお!」と感心するストーリーをもったショップに出合えるという楽しみがあり、ゴールウェイに着いたらまずは街を歩くのがおすすめです。
ぶらり、街歩きの途中に筆者が見つけた、そんな「おお!」なお店は、かなりユニークでした。オープンしたての不思議なお店を発見!
ドックから歩いてほんの数分、とはいえダウンタウンのちょっと静かなエリアにある「Tasting Room」は、2018年3月にオープンしたばかりの小さなショップ。なんのショップか、とのぞいてみても外側からはよくわかりません。が、入ってみるとバーカウンターにイスとテーブル、ちょっと見たところカフェのようですが、カウンターの奥の棚にはずらりとボトルが並んでいます。中にはたくさんのハーブが入っていて、薬屋さんのようでもあり、ハーブティーの専門店のようでもあります。オーナーのクレア・ディビーさんがお店について教えてくれました。
まさに自然の風味が生き生きと
英国出身のクレアさんはコネマラ地方のアメリカビレッジ(興味深い地名!)で、「エリクサー」を作っています。なにやら魔法の薬のようですが、これはハーブや草花から抽出したエキスを用いて作ったエッセンスを甘く味付けしたシロップのこと。彼女の運営する「America Village Apothecary」で購入することができ、ソーダで割ったりお酒を混ぜることでユニークなカクテルを自宅で作ることが可能。ハーブティーとはまた違った、自然の味を楽しめるドリンクです。それをスナックと一緒に楽しめるのが、このTasting Roomなのです。
お酒に入れてもなんだか健康的
メニューにあるのはドライフルーツやナッツ、チーズといった、本当にちょっとしたおつまみのみ。メインはあくまでもエリクサーです。野菜やベリー類など、一般的な食材から作られたものもあれば、ターメリックやワイルドローズといった、いかにも薬効がありそうなものまで、いろいろ。特に試してみたいのは、この店のシグネチャーともいえる、「Tonic Syrup」で、材料にはしっかりとキニーネが使われています。キニーネというとマラリアを予防することで知られますが、トニックウォーターは英国植民地でまさにマラリア予防のために飲まれていたのがはじまりだそう。このシロップも、キニーネの含有量は予防薬ほど高くはありませんが、そのナチュラルな香りを楽しむことが出来ます。ソーダ水で割ってトニックウォーターとして、さらにジンを入れれば最高のジン・トニックのできあがり
Tasting Room
ハーブには気分をリラックスさせたり、ストレスを軽減したりする効果があり、そうした自然の力を生活に気軽に取り入れることができるのもうれしいところ。ショップではエリクサーを購入することも可能なので、お土産にも、自宅用にもぜひ買って帰りたいものです。住所:31 Dominick Street Lower, Galway City.
時間:木曜日~土曜日 12:30~23:00
日曜日 17:00~23:00
電話:085 224 9304
※8名以上のグループは要予約
Web:https://www.americavillage.com/※海外旅行の検索・比較サイト|エイビーロードの2018年10月28日の記事より抜粋
見ているだけで、テンションが上がる内容です。こんなお店が、最寄の駅前にあったら、すぐに立ち寄ってしまいそうです。
以前、東京・六本木にある薬膳酒バーへ行ったことがありますが、自分の中では唯一、その場所が系統的に少し似ている場所です。
【過去の参考記事:東京六本木のOne’s Bar TOKYO(ハーブのお酒が飲める場所)へ。薬膳酒の世界も深いです。】
あと、抜粋記事の中に出てくる、”ハーブや草花から抽出したエキスを用いて作ったエッセンスを甘く味付けしたシロップ「エリクサー」”とはどういうものなのか気になるので、少し調べてみました。
エリクサー(elixir、エリクシャー、エリクシール、エリクシア、イリクサ、エリクシル剤、エリキシル剤)とは、錬金術で飲めば不老不死になれると伝えられる霊薬・万能薬である。
本項では、エリクサーの名を冠する薬酒や薬剤についても記述する。
語源
アイザック・アシモフの『化学の歴史』(1967年、河出書房、A Short History of Chemistry, 1965年)「第二章錬金術 アラビア人達」によれば、語源は、乾いた粉と考えられていたことからギリシア語の “xerion”(乾いたの意)がアラビア語に翻訳されて “al iksir” となった。H・J・シュテーリヒの『西洋科学史』によれば、イスラム錬金術の祖ジャビル・イブン・ハイヤン、ラテン名ジーベル(他にゲベル、ジャビル)が金属の四元素四性質(温・乾・湿・冷)を変性し、作り出した1性質のみの元素を al iksir とした。この al iksir を13世紀に翻訳した名が elixir であるとする。この他、ラテン語のエリ(神)クシール(杯)とする説も存在する。
実在するエリクサー
日本薬局方の製剤総則には「エリキシル剤」の定義があり、「通例、甘味及び芳香のあるエタノールを含む澄明な液状の内用剤である」としている。「製剤」の項目も参照。また、ベネディクティンやシャルトリューズなどのリキュールで「エリクサー」の名を冠するものが実在し、これらは酒として分類される。ベネディクティンやシャルトリューズは、創業当時から修道院内部でのみ製造されている薬草酒の銘柄として知られ、その製法や材料は門外不出となっている。カンパリやアブサンなどの他の薬草酒に比べてきわめて苦味が強く、アルコール度数も強いのが特徴であるが、リキュール特有の甘味も備える。
これについては、アンゴスチュラ・ビターズなどと同様に300 – 400ml程度の小ビンに詰められ、市販もされている。ハンガリーのトカイ地域で生産される貴腐ワインのトカイワイン・エッセンシアも、エリクサーの別名を持つとされている。
ダフィーのエリクサー(英語版)は、元は胃薬として造られたが万能薬とされ、18世紀のイギリスで評判になり、19世紀までアメリカで一般的な治療薬とされた。
フィクションにおけるエリクサー
「不老不死」や「万能の霊薬」といった伝説から、エリクサーはコンピュータRPGなどのフィクションにしばしば登場する。例としてファイナルファンタジーシリーズ、テイルズ オブ シリーズ、Diablo などが挙げられる※Wikipediaより抜粋
エリクサーと名のつく銘柄のお酒は色々とあるようですが、「修道院の内部のみで製造され、そのレシピは門外不出だった」という記述は興味をそそられますね。
歴史を見ても、ヨーロッパ諸国とエリクサーとの繋がりは深そうです。
味については、カンパリやアブサンより苦く、アルコール度数が高いのが特徴であるが、リキュール特有の甘みも備えるという記述もあります。
「アブサン」のことについては以前、記事として取り上げましたが、これも飲んでみたいと思っているお酒です。
【過去の参考記事:製造・販売を中止された歴史を持つ薬草酒「アブサン」とはどんなお酒なのか】
日本の中でもこれから『薬草酒バー』的なものが徐々に広がっていくような予感もするので、薬草酒関連のお店の情報は今後も常にキャッチしていきたいと思います。
ヒロタカ
26 11月 2020ハーブを学んでいるのでとても参考になりました。
写真を引用させていただきたいのですが、可能でしょうか。
よろしくお願いいたします。
Rosemary6107
28 11月 2020ヒロタカ様、コメントありがとうございます。こちらの記事の写真は、エイビーロードさんからの引用記事ですので、引用元にご確認いただくのがよろしいかと思います。