製造・販売を中止された歴史を持つ薬草酒「アブサン」とはどんなお酒なのか

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今年4月に、徳川慶喜やペリー提督も好きだったという薬草酒「保命酒」を買い、飲んだ時のことをレポートしたことがあります。

【過去の参考記事①:徳川慶喜やペリー提督も好きだったという薬草酒『保命酒』とは

【過去の参考記事②:岡本亀太郎本店の薬味酒『保命酒』を飲んでみました。

江戸時代から出回っていた日本の薬草酒というのは、こんな感じだったのか!とわかったことが嬉しかったですし、しかも、すごく美味しいです。

”過去の参考記事②”の中で、保命酒には「味醂(みりん)」を使われている旨を書いたら、

Facebook上のコメント欄で「養命酒製造から販売されている『薬用養命酒』にもみりんは使われていますよ」

と教えてくれた方がいたことを覚えています。

※参考:薬用養命酒の成分

「保命酒」も「薬用養命酒」も、漢方系の生薬が用いられている日本の薬草酒なのですが、どちらも味醂が用いられているという事実に対し、その時はとても新鮮な気持ちになりました。

薬草酒の世界は深くて面白いので、これから探求したいと思っているのですが、昨日、製造・販売を中止された歴史を持つ「アブサン」というスイス発祥の薬草酒があるという記事を見ました。

その内容が興味深く、すぐに飲んでみたいと思いましたのでご紹介します。

悪魔の酒だと!?魔性のハーブ酒「アブサン」の魅力に迫る!

魔性の酒、悪魔の酒と言われている「アブサン」をご存知でしょうか?
アブサンはもともと薬酒として作られたものですが、画家として有名なゴッホもアブサンの魅力に取り憑いてしまうほど、中毒性のあるお酒として知られています。

今回は製造や販売を中止されるという歴史を持つ薬用酒「アブサン」の魅力や歴史をひもときます。

アブサンってどんなお酒?

アブサン(absinthe:フランス語)は、フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールの一種。

材料のニガヨモギ・アニス・フェンネルは、アブサンには欠かせない必須のハーブと言われています。

名前の由来

アブサンの味を最も特徴付けているのはニガヨモギ。アブサンはニガヨモギの学術名「アルテンシア・アブシューム:Artemisa absinthium」から名前がつけられたと言われてます。

ニガヨモギの学術名にあるabsinthium(ラテン語)、英語の「absence(アブセンス)」の語源ですが、その意味は「不在」。フランス語でも「存在しない」という意味になります。

実はアブサンの主原料・ニガヨモギの花言葉は「不在」

その中毒性から製造禁止になった時、名は体を表すとばかり、名づけられた時からこのような運命が決まっていた、とも語られたとか。なんだか不思議な話ですね。

アブサンの原材料

アブサンは薬草系リキュールといわれるだけあって、さまざまな薬草が含まれています。ニガヨモギのほかにも、アニス、ウイキョウなどをメインに、複数のハーブやスパイスを漬け込んで作ります

現在は、世界中でつくられており400種以上の銘柄があるとも言われています。一言でアブサンと言っても、漬け込むハーブやスパイスにより、色、味、香り、作り方など千差万別となるようです。

アブサンの味

アブサンはハーブの香りがふんだんに感じられるメントールのような味が特徴。ハーブ好きの方ならきっとハマるはず!ただ、青臭さが強いので好き嫌いがハッキリ分かれりお酒でもあります。

また、アルコール度数が高いことも特徴の一つ。度数が低いものでも40度、高いものだと70~80度以上のものもあるようです。

アブサンの歴史

アブサンは1730年頃のスイス・クーヴェの医師、ピエール・オーディナーレがその蒸留法を応用して独自のレシピを作り出したことが始まりと言われています。

クーヴェで作られたアブサンは、ニガヨモギを主原料としアンジェリカの根、パセリ、パームなどの薬草、香草をブランデーに漬け込み、再蒸留したもの。ブランデーを再蒸留するため、アルコール度数は70%以上にもなります。

この頃は自家用の薬用酒として広まり、それぞれの家庭で漬け込んだリキュールとして使われていました。アルコール度数があまりに高いことから、飲用というより消毒薬として使われていたようです。

ピエールはアブサンを酒造会社であるアンリ・ルイ・ペルノーに売却、商品化された「アブサン・ペルノー」は爆発的ヒットを遂げます。

アブサンを愛用した偉人たち

アブサンが量産化され、気軽に買えるようになると中毒者が続出します。
まず、芸術家達の間で、愛飲者が出てきます。事実、詩人や絵描きにアブサンによるアルコール中毒者や人格破綻者が出始めます。

アブサンの愛好者であり中毒者として有名どころといえば、詩人のヴェルレーヌや画家のゴッホロートレックなど。
画家のアルベール・メニャンは作品『緑色のミューズ』(Albert MAIGNAN, La muse verte) で、アブサンを飲用して緑色の妖精を見ている男の姿を描いています。

発禁から解禁へ

その後、世界では第二次世界大戦を始めとする戦争が勃発。アブサンの代用品などが巷に出回りましたが、その質はとても粗悪なものでした。

1981年、アブサンは幻覚症状の作用がそこまで強くないことが科学的に証明され、現在はアメリカなどで生産・販売は再開されています。

どうして悪魔の酒と言われるの?

アブサンが魔性の酒、悪魔の酒と言われたのは、前述したとおり中毒者や依存症の人が多く出たからだとされています。では、アブサンにはどのような効能があるのでしょうか?

ニガヨモギの効用は?

ニガヨモギはヨーロッパでは古代からすでに薬用のほか、宗教儀式、戦車競走の勝利者への賞品とされるほどポピュラーな植物。

ヨーロッパの民間療法でも、骨折・打ち傷の炎症に湿布剤として使われていました。またワインに入れたり、ドレッシングに生の葉をまぜてかけたりすると、爽やかな苦みが食欲を増進させたり、胆汁の分泌を活性化させると考えられていたようです。

中でも古来から信じられていたのは、苦味成分にありがちの健胃をはじめ、虫下し、婦人病、強壮、解熱などに、効果有りということ。アブサンはさまざまな病気に効くようです。

中毒症状を起こす原因はニガヨモギのツヨン

アブサンの主原料であるニガヨモギは、ツヨン(Thujone)とカリオフィレン(caryophyllene)を主成分とする揮発油を1.7%程度が含まれています。ツヨンは中枢神経に及ぼす作用、つまり強い神経毒性、麻痺性、昏睡、痙攣等の作用があることがわかっています。

ツヨンを大量に服用した場合、痙攣を引き起こします。ニガヨモギはその苦味から強壮作用をもつ一方で、習慣的な使用や大量の摂取は、不安感、不眠、悪夢、おうと、めまい、震え、けいれんを起こすのです。

その一方で、向精神作用を持つこともわかっており、アブサン(リキュール)としてこれを摂取すると、大麻と同様の作用をもつことが報告されています。

かつてアブサン依存症や中毒者が続出していたのは、アブサンの成分が原因の一つでもあったようですね。(現在発売されているアブサンには幻覚作用はありませんので、ご心配なく

 

アブサンが飲めるおすすめのお店

一時は発禁になったアブサン。その魅惑の味をぜひ飲んでみたい方は、まずはお店で味わってみてはいかがでしょうか?

 

Nearest Absinthe bar!

Naoyaさん(@naoya7878)がシェアした投稿 –

アブサン発祥の地と言われるスイスの伝統的手法で飲めるVanilla Var。所蔵するアブサンはなんと100種類。アブサンリストにはずらりと有名どころの名が。

さらにこちらはシガーも飲み放題だとか。ゆらゆらとしたシガーのスモーキーな香りとアブサンをゆっくり楽しむにはうってつけの大人な空間です。

店名 Vanilla Var
住所 東京都中央区銀座3-12-5 宏和ビル
電話番号 03-6278-7944
営業時間 [月〜土] 18:00〜翌3:00 [祝] 18:00〜24:00
定休日 日曜日(HPにて最新情報を掲載中)
公式HP http://www.vanilla-var.net/

 

Pre-game tipple

James Kayさん(@jcbkay)がシェアした投稿 –

2010年にオープンした恵比寿の書庫のあるバー。アブサンをはじめ、さまざまな薬酒が楽しめます。お店の名の通り、都会の喧噪から離れたBar TRENCHで静かで大人な雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?

こちらはアブサンカクテルが豊富。初心者の方でもおいしく飲めるアブサンを提供してくれますよ。

店名 Bar TRENCH(バー トレンチ)
住所 東京都渋谷区恵比寿西1-5-8 DISビル 102
予約方法 HPのコンタクト・フォームで予約可能
営業時間 19:00~翌2:00(ラストオーダー)
定休日 無休(年末年始のぞく)
公式HP http://small-axe.net/bar-trench/

まとめ

知れば知るほど、深くて面白いお酒「アブサン」。

「アブサンファウンテン」というグッズを使った、面白い飲み方があるなどオシャレさんが嗜んでいるイメージもありますよね。

ネットでも気軽に購入できますので、ゆっくりとした大人な時間をすごしてみるのもオススメです♪
Nomooo(ノモー)より抜粋

 

この内容を見ると、「アブサン」の概要が見えると思います。

魔性のお酒と呼ばれていた所以は、ニガヨモギに含まれる「ツヨン」という成分が原因だったんですね。

しかも、以下の養命酒製造のページを見ると、中毒者が続出していた時のアブサンのツヨンの量は、WHO(世界保健機関)の許容量の100倍だったそうです。

ツヨンについては、日本メディカルハーブ協会(JAMHA)のハーバルセラピスト養成講座のなかでも、「メディカルハーブと精油の安全性」の項目で、『セージの精油中に含まれる神経毒成分』として取り上げられています。

また、「ニガヨモギ」は、身近で何かに使われているというというのをまだ見たことがないですが、ヨーロッパでは道端に普通に生えていて、健胃薬、駆虫薬等で使われているようです。

上の養命酒製造のページには、ニガヨモギが昔どのように用いられていたかの記載があり興味深いです。(ニガヨモギのWikipedia上の説明はこちら

まずは、銀座、もしくは、恵比寿のアブサンが飲めるバーで味を確認してきます。

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