過去2年以上のパンデミックの継続によって、嗅覚の感覚を失ったひとが増えたことで、最近「嗅覚トレーニング」というキーワードをよく目にするようになりました。
本ブログでも過去10日間で2度、「嗅覚トレーニング」に関連する記事を取り上げました。(以下)
【過去記事:”生活の木”による「嗅覚トレーニング」の効果や方法について】(2022年2月28日)
【過去記事:【イギリス】コロナで嗅覚を失った人々の「嗅覚トレーニング」の重要性の認知広がる】(2022年2月22日)
今日は、香りの専門家による「香りの感度」を磨く方法についての記事を紹介します。
「香りの感度」を磨く方法。自分にぴったりの香りを見つける|おまもりルーム◇心とからだを整える/大段まちこ×井尾淳子
私たちが「おまもり」として選んだのは、その人が持つ肌の匂いと溶け合うことで、「私だけの香り」を引き出してくれるというハンドメイドのフレグランスブランド「DAWN Perfume(ダウンパフューム)」。DAWN Perfumeディレクター・香りスタイリストの杏喜子(あんず よしこ)さんに、大人ならではの香りの楽しみ方・深め方を伺いました。
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「おまもり」の語源は“見守る”だそう。私が私らしく、居心地よく生きるための「おまもり」を分けていただきに、大段まちこ(フォトグラファー)&井尾淳子(フリー編集者)のふたりが、心とからだを整える魔法使いのような人々を訪ねます。
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おまもりルームより
ふっくらとした愛を込めて。「脳と鼻」の感知度を研ぎ澄ます
井尾:スキンタイプ診断では、「普段、どんな香りのものを使っていますか?」という質問がありましたね。
大段:私は、「ペパーミントの精油をよく使う」と記入しました。
杏:はい。それも、スキンタイプ診断から香水を選ぶ際の大事な判断材料にしているので、必ずお聞きしています。
井尾:好みの香りを探っていく、ということですか?
杏:それももちろんあるのですけど、精油やお香、スキンケア用品など、生活のなかに香りを取り入れている人と、そうではない人とでは、「香りを嗅げる幅」や認識がかなり変わってくるんですよね。
大段:香りを嗅げる幅。それはどういう感じなのでしょう?
杏:普段から香りに触れているほどアンテナが敏感になって、香ることができる範囲が広がっていく、という感じです。精油はとくに、極限まで水分を飛ばすことで油と水の分量を濃縮する製法なので、たった1滴でも、脳の視床下部にダイレクトに作用すると言われているんですよ。
井尾:パワーがあるんですね。
杏:はい。なので、その日そのときのご自身のコンディションや気分で、同じ1滴でも感じ方が変わります。そういうことを日々なんとなく積み重ねている方は、やっぱり香りの楽しみ方も広がりますよね。鼻と脳が感知できる範囲が広がって、深みまで楽しむことができます。
大段:たしかに、私自身は香りに敏感な方かもしれません。アロマ精油以外にも自分でブレンドしたルームスプレーをつくっています。好きな香りは、つねに身近に漂っているようにしていますね。
杏:日常的に香りに触れていらっしゃるということで、大段さんには「ame(天/あめ)」をおすすめしました 。このパフュームは「DAWN Perfume」シリーズの中でもシンプルな構成なのですけど、一つのボトルの中には約50種類くらいの天然香料が入っています。
「ame(天/あめ)」(11,150円)。「グリーンフレッシュなルバーブのみずみずしいトップノートから、時間がたつとやわらかい香りに変化します」(杏さん) 天然香料が含む成分の奥深さ
井尾:50種も!
杏:キーフレグランスのルバーブのほか、代表的なものはペルジャンライム、ホワイトグレープフルーツ、スウィートバジル、グリーンメロン、ローズやジャスミン、ウォーターリリー、シダーウッド……などなどです。
大段:好きな香りがいっぱいです。
杏:たとえばローズというひとつの天然香料だけでも、解明されているだけで300種類の香気成分が含まれているんですね。それでもまだ、すべての成分は解明できていないくらい。そもそも、ひとつの香料の中にそれだけの香りがあるので、香りを感じる部分というのはいろいろな状況で変わっていくんですよ。
大段:なるほど。「DAWN Perfume」は天然香料がふんだんに使われているから、同じ1本でも飽きずに、ずっと楽しめそうですね。
井尾:ただなんとなく香水をつけるのではなくて、「今日はこの香水の、どんな香りを強く感じるかな」とアンテナを向けてみるのもよさそう。
杏:ぜひ、そんなふうに香りと気分を結びつけていただけたら。人工的な香料のパフュームは、いつ嗅いでも一定の匂いが楽しめるのがその良さですよね。一方で天然香料のものは、香りの分子同士の結合がゆるやかなので、湿度や空気、温度が変わると揺らぎが生まれます。その分、日々変わる人間の肌ともなじみやすい、という特性があるといえます。
DAWN Perfumeディレクター・香りスタイリストの杏喜子さん。いろいろな角度から、クライアントの状態に寄り添ってくれるカウンセリングに癒やされます。 杏:…ということで、「DAWN Perfume」は、四季による変化がある日本のために調合したフレグランスなんです。欧米は空気が乾いているので、重めの香水をつけても、あまりしつこく感じないんです。ヨーロッパから日本に移住してきた方から、「ずっと好きだった香水が、日本では合わなくて使えない」というお悩み相談を受けることもよくありました。
大段:たしかに、日本は湿度がありますものね。湿気は大の苦手です……。
井尾:四季や天候、気温や湿度がある日本で、自分だけの香水を見つけるのはまさに「旅」そのもの。
杏:本当に。「お店ではいいと思って買った香りなのに、次の日にはなぜかしっくりこなくて、もう手が伸びなくなった」とか、「使い切れない香水ばかり増えてしまう」という声も多くあります。
井尾:わかりますー!
杏:そういうお悩みの多くは、日々の環境や、ご自身のスキンタイプによる香りの変化、持続の仕方によるギャップであることが多いんですよね。なので、そのあたりをなんとなく把握しておくだけで、香水も選びやすくなると思います。
大段:それもまた、「自分を知る」ということですよね。
井尾:まさに! 自分に合った香り、もっと深堀りしていきたくなりました! そうすれば、おまもりもまた、増えていきますよね。
自分の感情であったり、状態であったり。
香りからのアプローチで自分を知る、ということは、まさに「大人ならではの楽しみ方」。
杏さんのスキンタイプ診断は、公式サイトやインスタグラム(プロフィール参照)の情報から申し込みが可能ですので、みなさんもぜひ、香りのおまもりを見つけてくださいね!
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杏 喜子(あんず・よしこ)
「DAWN Perfume(ダウンパフューム)」ディレクター、香りスタイリスト。幼い頃から香りの世界に興味を持ち、アロマサロンのカウンセラーとして、カラーセラピーを学ぶ。フレグランスキャンドル制作を経て、コロラド州在住の調香師・ダウン・M・スペンサー・ヒュウィッツとの出会いを機に、2008年より、自身がディレクションする「DAWN Perfume」を日本で展開。その人独自の肌の匂いから、おすすめの香りを見つけるスキンタイプ診断も行う。
購入や診断については、公式サイトから。
https://dawn.theshop.jp/
https://www.instagram.com/dawnperfume_anzu/
大段まちこ(おおだん・まちこ)
フォトグラファー。かわいいもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。共著に『花と料理』(リトル・モア)などがある。
http://odanmachiko.com/井尾淳子(いお・じゅんこ)
フリーライター&編集。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。※天然生活の2022年3月1日の記事(https://tennenseikatsu.jp/_ct/17511164)より抜粋
香水を普段から纏う女性同士の会話ならではの貴重な情報が多く、個人的に新鮮な内容です。
香りとの付き合い方、楽しみ方のコツが盛り込まれていると思います。
気候条件が複雑な日本だからこそ、ヒトが感じる香りの本質が浮き彫りになる一面もあると感じました。