最近は、日々一刻と、日の出の時間が早くなり、日の入りの時間が遅くなっていく変化が楽しいです。
その変化を感じていると、春の足音が聞こえてきます。
一昨日、「日野春ハーブガーデン」のハーブ苗のカタログが届いた際も、心の中の春スイッチがONになりました。
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春は確実に近づいているものの、朝晩の冷えはまだまだ厳しい日は続いているのですが、寒いと感じる時に楽しめそうな知恵を今日は紹介したいと思います。
ラムチャイの夜長/生物群「やさしい食べもの」3
自炊をこよなく愛する内科医・生物群による、どこまでもやさしい食エッセイ。忙しない日常のなか、時に自分を甘やかし、許してくれる一皿の話。
お酒が好きで、よく飲みます。どんなお酒でも好みますが、家では味の濃いビールと香りがよくて軽いワインをよく飲み、一方でハードリカーを飲む機会は少ないです。ただし、私の家にはラム酒がいつも控えています。ふだんお菓子作りもしないのに、それはなぜか。
冬に限ってわざわざ作って飲む飲みものがあります。それがスパイスの入ったミルクティー、チャイです。気軽な価格の紅茶の茶葉を、少量の湯を沸かした小鍋で濃く濃く煮出し、いつもはカレーを作るときに使っているホールカルダモン、ホールクローブ、シナモンのかけらを1、2片放り込みます。好きな量の砂糖とミルクを加え、味がなじむまで、また沸騰して吹きこぼれないように注意しながらしばらく熱を加えます(私はだいたい吹きこぼしますが)。小鍋にたっぷりとチャイを作り、何度もおかわりをして飲むのが好きです。マグカップに注ぐときには茶漉しを使い、スパイスや茶葉が混ざらないように用心するのがなめらかなチャイを飲むこつです。
寒い冬の夜長にはお酒を飲むにしてもビールもワインも冷たいなというときがあり、そういうときにはいそいそとそのようにしてチャイを作り、ラムチャイにします。チャイを作り、マグカップに注ぐときにラムを好きな量入れて混ぜる、ラムチャイの完成です。ラムの量は香る程度でもいいし、「これは酔っぱらっちゃうね」というくらいたっぷり入れてもいいものです。瓶や缶をあけてグラスに注いで飲むというのとはまた違う手間と時間が必要で、まるでスープを作って食べるときのように時間をかけて飲みものを作るのは特別な感じがします。
チャイを作るとき、ミルクの量はそのときどきで自分の好きな量でいいのが楽しいところです。白とかベージュ、茶色い液体が、濃さによって混ざり合いながら繊細にさまざまな色に変わるのを見ていられるのも、ミルクを使った飲みもののいいところだなと思います。
以前、実家で家族と暮らしていたときに、10代の妹が「ただいま」と言って外出から帰ってきました。その日は冬ではなく夏の暑い日で、妹は「茶色い犬の散歩を見かけて撫でたよ」と言って手を洗ったあと、冷蔵庫から冷えたアイスコーヒーのパックを出し、グラスに注いでからそのあと冷たいミルクを注いでいき、混ざっていく黒いコーヒーと白いミルクを見ながら「これの薄いところくらい、もうちょっと白いなあ」と言いながら、コーヒーとミルクで名前も知らない犬の色を再現し、そのまま飲み干しました。
チャイやカフェラテを作るとき、妹の出会った、私の見ていない犬のことをときどき思い出します。犬は犬好きの妹をひと目で見つけてしっぽをふって寄ってきてくれ、ひとときでも寄り添ってくれたのでしょう。夜長のラムチャイは、家のソファに腰掛けその色の犬と寄り添って沈み込むような気持ちで飲めるやさしい飲みものです。
※ダ・ヴィンチwebの2022年2月11日の記事(https://ddnavi.com/serial/930317/a/)より抜粋
チャイは過去に数回作ったことがありますが、だいたいは市販のティーバッグを購入しています。
しかしながら、今回の超魅力的な楽しみ方を知ると、チャイは小鍋で自家製にするのはMUSTだと思いました。
個人的にすごく貴重な情報に出会い、朝からテンションが上がっています。