先月、【北海道のガーデンを堪能する「秋のダリア旅」】と題された、秋の北海道のガーデンの魅力が凝縮された記事を紹介しました。
【過去記事:「秋のダリア旅」で味わう北海道のガーデンの魅力】(2021年9月27日)
秋のガーデンを北海道で楽しむという発想が今まで薄かったのですが、2008年に北海道ガーデン街道協議会が発足して以降、北海道のガーデン事情が大きく進化していました。
冒頭の記事は、1回きりの記事だと思っていたのですが、その後編が昨日公開されており、これまた北海道の新たな魅力に気づかされる内容だったので取り上げたいと思います。
北海道のガーデンを堪能する「秋のダリア旅」後編
日本中で一番早く秋が訪れる北海道。10月は辺りの紅葉が進み、ダリアが見頃を迎えます。今回は10年間、毎年北海道を旅してきたという千葉在住の橋本景子さんによる北海道一人旅、後編。旅のテーマは「ダリアの美しさを堪能する」。秋色に染まる庭風景とダリアの写真とともに秋の北海道を旅する気分をお届けします。
私の北海道の旅のベースとも言える旭川
この年の一人旅では、駅ビルの中にあるお気に入りのホテル「JRイン旭川」に連泊して、そこを拠点にあちこちのガーデンに足を運びました。
早朝、ホテルを出て駅のコンコースを南口に抜けるともうそこは、「北彩都ガーデン」。
ボーダー花壇やテラスが広がっているのですが、私はそこから足を伸ばしてさらに東に向かい、鏡池プロムナードを散歩。「神人の森」と呼ばれるボーダーガーデンやメドウガーデン、ハーブガーデンなどが広がる場所へと移動しました。
上写真の、一番奥に見える白い建物が旭川駅です。「神人の森」にダイナミックに群植された宿根草の美しさが際立っています。
「メドウガーデン」
10月上旬の旭川の気温は一桁になることもあり、朝の透き通った空気が、さらに花の色に透明感をプラスしているような気がします。
駅から直結のこのガーデンには締め切られたゲートも無いので、早朝からの見学には最適。私のように1日に何カ所ものガーデンを見たいと思う時間節約派には、とてもありがたいガーデンです。
黄色く紅葉したフウチソウとアスターの紫花の対比は、目が覚めるほど輝いて美しい。右はスタバでの朝ごはん。
夏のガーデンツアーでも、早朝にこのガーデンを散歩して帰り道にあるスタバで朝ごはんをしましたが、このルートは定番になりつつあります。
旭川市内から車で1時間ほどの「大雪 森のガーデン」へ
「大雪 森のガーデン」へのアプローチ。青空と紅葉がとても美しい。
ハロウィン仕様が楽しい「大雪 森のガーデン」のエントランス。
次に大雪山系でもっとも美しいと言われる大雪高原旭ヶ丘にあり、旭川市内から車で1時間ほどの「大雪 森のガーデン」へと向かいます。
「カムイミンタラ」は、アイヌ語で「神々の遊ぶ庭」という意味のガーデン。
森のダイニングキッチンにもパンプキンのディスプレイ。
冬枯れのホスタとエキナセアのシードヘッド。
「大雪森のガーデン」は、約900種類の色とりどりの草花が植栽され楽しめる「森の花園」、起伏のある空間に従来からこの地に生き続ける樹木や山野草が植えられた「森の迎賓館」、深い森の中に広がる空間に自然をひとり占めできるアトラクションを配した「遊びの森」の3つのゾーンで構成されています。大雪は、旭川市内よりは遅い春が訪れて秋も早いので、雪が降りまた眠りにつくまでの短い数カ月間に命を謳歌する植物のパワーが爆発するようで美しいガーデンだと私には思えます。
夏にはカンパニュラが、こうして置かれていたので、お友達へのお土産にしました。
旭川3つめの訪問先は「上野ファーム」
「大雪 森のガーデン」からは40分ほどで着くのでこのルートを使うことが多いのですが、もし帯広方面から旭川に移動することがある場合は、「大雪 森のガーデン」までは美しい白樺並木が続く上士幌や糠平湖を経由するR273を通るのがおすすめです。
秋は9月末頃だと三国峠の大樹海の美しい景色や層雲峡の紅葉も楽しみです。
ノームも静かな秋を満喫していることでしょう。
北海道ではフウチソウが大活躍していますね。
「上野ファーム」は大人気のガーデンなので、春から夏に行かれる方は多いと思いますが、秋のガーデンはグラスやシードヘッドが好きな方におすすめです。
秋に咲く花の色は鮮やかで華やかなので、紅葉とシードヘッドの中に際立つ秋色の花からは、春にも負けないほどのエネルギーを感じることができると思います。
グラスとアスター。ちょっと暴れているくらいが好きです。
ソリダゴ‘ファイヤーワークス’の、秋の鮮やかな黄色はとても美しくて絵になります。
三尺バーベナも、最近パフォーマンスのよさを見直しています。
ハロウィンガールたち。
翌日は旭川を離れて江別へ移動
お友達のガーデンをゆっくり見せてもらい、久しぶりにゆっくりとランチをご一緒しました。
以前は、カフェを併設した雑貨屋さんでしたが、現在はカフェは閉めて、雑貨だけ扱ってらっしゃいます。
さらに足を伸ばして小樽から「銀河庭園」へ
この頃は、緊急事態宣言がちょうど解除されていて、Go toキャンペーンが開催されていた時期でしたが、札幌は人出が多そうだったため、あえて観光客が少なそうな小樽を宿泊地に選びました。
宿泊先に選んだのは、アールデコの建築美が残る、ちょっと雰囲気のあるホテル。北海道初の外国人専用ホテルとして昭和6年に建築された小樽市指定歴史的建造物がリノベーションされています。
翌日もお天気に恵まれて、まずは「銀河庭園」へ。
この旅のテーマは「北海道のダリアを見に行く」だったことを急に思い出したかのように、銀河庭園は「ダリア ダリア ダリア」の世界でした。
入場するとすぐに記念撮影用のダリアが華やかな色で迎えてくれました
「スネークガーデン」のダリアとグラスの世界。
園内のあちこちで咲いていたダリア。
大好きなワイルドフラワーメドウにも見事なダリアの群生。
ある時、紫竹ガーデンでおばあちゃんに「ダリアはもちろん掘り上げるんですよね?」と聞いたら、「もちろんよ! じゃないと凍っちゃう」とおっしゃっていましたが、これだけの数のダリアを毎年植えては、また掘り上げてという作業量を考えると、すごいなぁという感想しか出ません。
でも、それくらいしてまで植えたい秋のダリアの存在感は素晴らしいと思います。
千歳川の上流にある「MEON農苑」へ
シンプルな植栽。
春の芽吹きから冬の枯れ姿まで野の草花が主役だというここのガーデン。市松模様に配した石板の間の植栽はシンプル。華やかではないけど、カフェでお茶をしながら旅を振り返るのにぴったりで、とても好きな場所です。
カフェのエントランス。 窓際の席からは、餌をついばみに来る小鳥の姿を見ながら中国茶をいただきました。
旅を締めくくるのは「イコロの森」
そして、やはり旅の一番最後には、一人でゆっくり過ごしたい。「MEON農苑」から30分ほどの場所にあるガーデン「イコロの森」に向かいます。
燃えるような紅葉と美しい芝生のボーダー。
ここでは、ガーデナーさんたちに会って世間話をするのも楽しみですし、フライトの時間までゆっくりガーデンを歩き、ときどきベンチに座ったり、美味しいコーヒーをいただいたりしながら静かに旅を振り返ります。
「イコロの森」のダリアは純白でした。
この年は6日間を過ごした秋の北海道でした。
お友達と旅する夏の北海道も楽しいのですが、飛行機とホテルだけ予約しての行き当たりばったりの一人旅はさらに楽しいもの。
夏場はガーデン巡りの時間に追われてゆっくり話せない友人のガーデンで、静かな庭を見ながら何時間も話し込むことができるのも、秋の旅だからですね。
今年はスケジュールが取れなくて行けなかった秋の北海道ですが、来年は必ず行こうと思っています。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.6万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。YouTube 「Kay garden」
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto※GardenStoryの2021年10月24日の記事(https://gardenstory.jp/gardens-shops/61528)より抜粋
6日間の旅は本当に贅沢で羨ましいです。こういうゆったりとした旅、私も実現したいです。
以下に、記事中で紹介されていたガーデンのHPのリンクを貼りたいと思います。
【旭川】
【恵庭】
【千歳】
【苫小牧】
北海道のガーデンの魅力に日々気づかされます。秋にゆっくり北海道のガーデン巡りをする日を実現したいと思います。