昨年、長野県にある「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」という美しいガーデンを紹介したことがあります。
【過去記事:”植物の生命力と癒し”をコンセプトとした『ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン』(長野県大町市)】(2020年8月27日)
取り上げた当時は、カフェが魅力的だったり、体験教室では様々な体験ができそうだったので、ガーデン以外にも楽しめる要素がある場所だと感じたのですが、「ラ・カスタ」というネーミングにはほとんど注目していませんでした。
しかしながら、この「ラ・カスタ」ブランドのことを知っていくことは、日本のアロマテラピーの歴史を知ることにも繋がることがわかりました。その記事を取り上げたいと思います。
日本のアロマテラピー萌芽期とヘアケア《オギノマ》
植物から抽出されるエッセンシャルオイル。癒やしをもたらすその香りは、さまざまなところで活用されています。そんなアロマテラピーは、どんなきっかけで日本にやってきたのでしょう?
小木:今日は、ヘアケアブランド《ラ・カスタ》の高橋浩史郎さんにお越しいただきました。ブランドがデビューしたのは、1996年でしたっけ?
高橋:はい。今年で25周年を迎えます。会社自体は40年以上、美容室向けのヘアケアと向き合い、商品を提供してきたメーカーです。
小木:《ラ・カスタ》は、メイドインジャパンの元祖アロマテラピーブランドともいえるブランドなんですよね。始めたきっかけは、なんだったんですか?
高橋:1986年に出版された、『女性のためのアロマテラピー』という本がきっかけです。その本を読んだ、創業者と先代の社長が、著者のマギー・ティスランドさんにイギリスまで会いに行き、日本で一緒にアロマテラピーを広めていこうと直談判したそうです。
小木:すごい行動力!でも、1980年代だと、まだアロマテラピーについて日本では全然知られていない時代ですよね。
高橋:だから精油を輸入して販売しても、当初は日本では受け入れてもらえなかったんです。マギーさんに来日してもらって、講演会などを開いてみても、反応はよくなかったと聞いています。
小木:当時はバブル全盛期。物質的な豊かさが求められる時代で、目に見えない香りや精神的な癒やしといったものは、まだそれほど必要とされていなかったのかもしれませんね。
高橋:そうなんです。だから潮目が変わったのは、バブルが崩壊してからなんです。
小木:癒やしを求める時代になって、価値観が変わりましたよね。
高橋:はい、そこからアロマテラピーが注目され始め、日本でもその文化が少しずつ広がっていきました。そんな流れのなかで、日本独自のアロマテラピーのプロダクトをつくろうと生まれたのが《ラ・カスタ》なんです。プロ向けのヘアケア製品づくりの技術に、植物の恵みを組みあわせて生まれました。
小木:《ラ・カスタ》のいいところって、仕上がりのよさなんですよね。それはやっぱり、ものづくりの背景に、美容室に向けてプロ製品をつくっているから。どんなにナチュラルな成分を使っていても、仕上がりがよくなかったら意味はない。
高橋:使い続けてもらえないですよね。だから仕上がりの満足感はとても重要です。もちろん、今後ますます多様化していくであろう髪のトラブルにも、きちんと対応していきます。
小木:カラーやパーマをする人が、これだけ増えたわけだから、頭皮のダメージからくる悩みは、これからもっと深刻になるはず。たとえば薄毛は、もう男性だけの悩みではないと思います。悩んでいる女性は、確実に増えている気がするし。
高橋:私たちもスカルプケアは、重要視しています。シャンプーに求められる機能は、かつては洗浄だけでした。でもいまは、頭皮をケアするという視点も欠かせないものになっています。
小木:ヘアスタイルのトレンドにあわせて、ヘアケアの仕方も変わってきますよね。
高橋:私たちもその変化にあわせて進化する必要があります。日本人の髪って、本当に美しいと思うんです。しなやかでツヤがあって、輝いている。それを今後も守っていきたいですね。
小木:世界に誇れる日本人の髪。それを守るために、ぜひ頑張ってもらいたいです。高橋さん、今日はありがとうございました!
《THIS MONTH GUEST》
ラ・カスタ
高橋 浩史郎さん《ラ・カスタ》を運営するアルペンローゼ株式会社代表取締役社長。植物好きが高じて、幼少期よりアロマテラピーに親しむ。大学時代には、英国へ留学。帰国後、他業種で経験を積み、アルペンローゼに入社。現在は代表取締役社長を務める。
INSTAGRAM:@lacasta_official
LA CASTA
9月発売のアウトバスケアアイテム。ヘアローションで髪にうるおいを与えた後に、オイルやミルクで保護。スキンケアと同様に、ヘアケアをするという《ラ・カスタ》の新しい提案だ。
WRITTEN BY:
※メトロポリターナトーキョーの2021年9月25日の記事(https://metropolitana.tokyo/ja/archive/oginoma2109)より抜粋
創業当初の、『女性のためのアロマテラピー』の著者マギー・ティスランドへ会いに行き、日本で一緒にアロマテラピーを広めていこうと直談判したという話は、とてもリアルです。
高橋浩史郎さんに直接話を伺うことで、日本のアロマテラピー普及のストーリーがより詳細に見えてくるように思います。
次回、長野県へ行く際は、「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」は必ず訪問しようと思います。