私自身がハーブに興味を持った理由の一つとして、30代中盤以降から、日々生活を送る中での身体の微妙な不調和を感じることが増えてきたことが大きいと思います。
これは私に限ったことではなく、30代後半~40代にかけて、老化の影響による身体の微妙な異変を感じることが出てくることによって、健康に対する意識が高まり、それぞれの個々人にあった健康維持方法を模索するひとが増えていくのだと感じます。
私は、”食の楽しみ”が人生における楽しみの大きな部分を占めるので、料理を美味しくし、且つ、身体の養生にも役立つハーブ・スパイスに大きな興味を持ったというのは、今から振り返ると必然の流れだったのかもしれません。
今日は、福井県で、『養生デザイン』というユニット名で興味深い活動をしている、”理学療法士”と”漢方上級スタイリスト”のコンビについて取り上げたいと思います。
福井は養生の宝物 / 養生デザイン山中雄大・青木優加
福井は季節の移り変わりや、旬の食べ物が身近だ。
冬は酒蔵の出すしぼりたての生酒と日本海のお魚で一杯。春は里山のタケノコをお裾分けでいただき、夏は半夏生(はんげしょう)で焼き鯖を食べ、秋は農家さんの新米に舌鼓をうつ。あれ、食べてばかりだぞ、私。福井で暮らす中で旬にアンテナを張るようになった。そうなると季節も四季ではなく、二十四節気でとらえるようになっていく。子どもも生まれ、カラダも曲がり角に立っている30代後半。色々気を付けたいなと思っていたところ、自然と体に寄り添った考えで心身を健やかにする提案を行っている方たちがいることを知った。養生(ようじょう)デザインは、理学療法士の山中雄大さんと漢方上級スタイリストの青木優加さんのユニットである。「無理せず、カラダをととのえる」をコンセプトに、それぞれの得意分野を活かした様々な養生方法を提案する活動を行っている。1月末日、立春間近の晴れた日にお二人を訪ねた。
気比神宮のお膝元、神楽商店街に拠点を置いた
二人の拠点は海の玄関口として発展した敦賀市の神楽商店街にある。住所をたどって歩いていたはずが道に迷った。電話をかけると青木さんが商店街の一角からひょっこり顔を出した。「表に表札だしていないのよ。こっちが養生デザインの表側」とうなぎの寝床のような間口を通り抜け、商店街の裏口に案内された。古い町家の低いひさしに養生デザインの暖簾がはためいてた。
この場所は、青木さんの実家だ。築50年ほどの町家を改修し、2020年6月に養生デザインのサロンをオープンさせた。コンクリートを打ちっぱなしの土間や、波打つトタン、ウィリアム・モリス調の襖など、この町家に元々あったものを活かしてリノベーションされた空間は、気持ちが自然と落ち着く。
「敦賀の暮らしや文化の中心がこの場所にあると思っているんですよね」と青木さんは言う。
越前之国一宮で1300年もの歴史を持つ気比神宮の膝元にあるのが神楽商店街だ。観光地のようなお土産屋さんが並ぶのではなく、日常に寄り添うお店が並び、長年敦賀の普段の暮らしを支えてきた。かつては魚商のおばあちゃんがその日に採れたお魚をリヤカーで売りに来ていたという。ここで生まれ育った青木さんの愛着は深い。「養生って、その土地の食や風習とも切り離せないですし、何よりもこの場所の魅力や心地よさを存分に味わってもらいたいな」
養生デザインの2人それぞれの強みを活かして
養生デザインは現在、完全予約制で営業している。
普段、山中さんは医療法人で訪問リハビリや介護予防教室などで地域を駆け回り、青木さんは医薬品登録販売者としてドラッグストアに勤めている。二人ともお互い違う仕事を持つ傍らで、養生デザインを運営している。
「そもそも養生という言葉が耳慣れないよね」と青木さん。調べると「無理・不健全な生活をせず、健康の保持・増進を心がけること」(三省堂・新明解国語辞典より)と出る。「病気の予防につとめ、食べるものをはじめとした暮らしの中で身体をいたわることってイメージするといいかな」
「得意なことは、カウンセリングと養生のお話を通して身体をととのえていくこと」と山中さん。不養生しがちな自分はお二人に『養生みくじ』なる簡単なカウンセリングを行ってもらった。「あ、これは運動不足ですね」とさっくり言われ、取材後は少し意識して歩くように心がけるようになった。
身体の内側で摂取するものに関しては青木さんが、外側の運動や体の動かし方については山中さんがと、チームワークはバッチリだ。「10年先も健やかなカラダとココロの実現を目指しています」とお二人は言う。
福井の養生の宝を発信していく
お二人とお茶をすすりながら、沢山話をした。二十四節気と養生の関係性や、福井の嶺南地域のお祭りの話など、話題は尽きない。
「私たち人間の身体は季節や気候、時間によっても刻々と変化していくからね。それぞれの方の体質によって足りないものや多すぎるのも違う。だから養生デザインは無理せずにがモットー。美味しいものを美味しく食べて、身体を楽しく動かすことが大事だと思う」「知らず知らず、ほどほどに生活や暮らしの一部として自然と養生の考え方を取り入れてもらいたい。四季に合わせて、暮らしにまつわることや身体の使い方を発信して、心と身体と心地よく付き合っていくことを提案していきます」
「福井は養生の宝庫」と青木さん。「美味しいお米やお酒などの食べ物や、リラックスできる海や山などの自然環境は養生するのに欠かせないものなんです。福井は本当に豊かな養生の素が沢山ある。福井の地産の食材や自然を活かした養生を、これからもっともっとたくさんの方に知って頂きたいですね」
さて、ここまで養生デザインのお二人を紹介してきたが、聞けばなるほどと思う事ばかり。せっかくなのでこれからreallocal福井で、養生デザインさんの目線で福井の季節と養生の話をしてもらおうと思う。おふたりの活動拠点である、敦賀を中心とした福井の南側の地域を中心に。題して「福井のみなみの季節と養生」どうぞお楽しみに。
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※real local福井の2021年2月18日の記事(https://www.reallocal.jp/85824)より抜粋
こんな拠点が家の近くにあったら、地域の人はとても喜ぶのではないかと思います。
心の安心感が生まれ、地域の人々の連携の意識(助け合いの意識)が広がっていくはずです。
養生デザインのようなコンセプトは、”地域の自立”という観点においても重要な役割を持っていくような感覚があります。
福井県へ行った際は、必ず立ち寄りたいと思います。