関東圏では、8月になってようやく梅雨が明けましたが、その後は連日35度を超える暑さが続いています。
暑くなると、どうしても冷たいものを欲してしまうのですが、先日は、岡山県のお店が提供する”和ハッカかき氷”を記事で見て、食べてみたいと思いましたし、今後、ハーブのシロップを使ったかき氷が増えて欲しいという想いも沸きました。
【先日の記事:岡山県の”和ハッカかき氷”を見て、ハーブによって”かき氷の概念”に変化が出ると感じました。】(2020年8月1日)
本日の内容も、同じ系統(冷たい食べ物)なのですが、食べてみたいという強い想いが沸いたと共に、今後の動向が楽しみな記事だったのでご紹介します。
「スパイスジェラート」の鮮烈なおいしさに驚き!下北沢に『カリースパイス ジェラテリア カルパシ』誕生
Summary1.超人気カレー店『Kalpasi(カルパシ)』が、下北沢にスパイスジェラート&カレーの店をオープン
2.実山椒にブルーチーズ、カルダモンにピンクグレープフルーツなど、異色のフレーバーを全種類食レポ!
3.『Kalpasi』のカレーが予約なしで食べられるのはここだけ!
超人気カレー店『カルパシ』が、ジェラート&カレー専門店を下北沢にオープン
星の数ほどあるカレー専門店の中で、“日本一予約が取れない店”として有名なのが、2016年、千歳船橋にオープンした『Kalpasi(カルパシ)』。
カレー専門店なのに夜のみ営業、おまかせコースのみ、完全予約制。電話番号非公開で受け付けはLINEのみ。オーナーシェフの黒澤功一さんは料理店での勤務経験ゼロ。
何から何まで異色尽くしなのに、黒澤さんが生み出す衝撃的なカレーには、多くの熱狂的なファンがつき、予約開始と同時に満席になる店として知られている。
そんな黒澤さんが2020年6月21日、下北沢にオープンさせたのが、ジェラート&カレーの専門店『Curry Spice Gelateria KALPASI(カレー スパイス ジェラテリア カルパシ)』。
“カレー界の鬼才”が作ったジェラートは、一体どんなものなのか。
小田急電鉄・京王電鉄「下北沢駅」中央口から徒歩1分。
ディープな雰囲気漂う路地奥にオープンした商業施設『サウスウェーブ下北沢』の1階が『Curry Spice Gelateria KALPASI』。話題の飲食店が集中している同施設は、下北沢の新たな食の発信拠点として注目されている。
店内はカウンター席のみ。カウンターにはコロナ感染防止のためのアクリル板が設置されている。
ジェラートは「2種盛り」でオーダーするスタイル
『Curry Spice Gelateria KALPASI』のメニューは、8種類のジェラートと3種類のカレー。入口を入ったところにある食券機(写真上)で食券を購入するシステムだ。
店長の内田佳輔さん(写真上)は、ホテルマン出身で、黒澤さんの会社員時代の後輩でもある。『Kalpasi』のカレーを食べて衝撃を受け、「この味を多くの人に知ってほしい」と思ったという。
ジェラートは常時8種類。メニュー表(写真上)の1~4までがレギュラーで、5〜8の中の1種が毎週入れ替わる。サイズはダブル(2種盛り)のみだが、最初は別々に食べ、途中から混ぜて自分で味を作ることでオリジナルのフレーバーを味わうことができる。
ここでは内田さんオススメの組み合わせで、全種類をご紹介。
【1】強烈な刺激を求めるなら「実山椒ブルーチーズショコラーデ」×「焦がしマスタードシードココナッツ」
まずは一番人気の「実山椒ブルーチーズショコラーデ」(写真上・左)と「焦がしマスタードシードココナッツ」(同・右)の2種盛り。
「実山椒ブルーチーズショコラーデは、まず実山椒入りのチョコレートを作り、そこにブルーチーズを混ぜて練り上げています。固くて練るのにものすごく強い力が必要なため、作るのが一番大変なジェラートです」(内田さん)
口に含んだ瞬間に強烈な山椒の香りが炸裂…! その刺激に驚いていると、チョコの香りとほろ苦さ、ほのかな甘みがゆっくり広がり、ブルーチーズのコクと塩気がうまみとなって追いかけてくる。ジェラートという言葉で単純にくくれないほど斬新な味わいで、確かに『Kalpasi』のカレーに通じるものがある。
実山椒の刺激で痺れた舌を癒してくれるのが、ココナッツ特有の甘い香りが嬉しい「焦がしマスタードシードココナッツ」。だが食べ進むうちに、炒って黒くなるまで焦がしたマスタードシードの香りと辛みがジワジワ迫ってくる。種のプチプチした食感もクセになりそうだ。
半分ほど食べたところで、2種類を混ぜ合わせてみると…?
実山椒とマスタードシードの刺激が見事に融合! 新感覚な刺激の変化を、ぜひ体験してみてほしい。
【2】清涼感のシンフォニー!「カルダモンピンクグレープフルーツ」×「セージミルク」
続いて、淡いピンク色がかわいらしい「カルダモンピンクグレープフルーツ」(写真上・左)と「セージミルク」(同・右)。
「カルダモンピンクグレープフルーツ」は、柑橘類の皮やミントのような清涼感があるカルダモンが、ピンクグレープフルーツの清涼感を増幅! 舌に乗せた瞬間、生のグレープフルーツを食べている以上の鮮烈な果実感が広がる。
「セージミルク」はミルクの自然な甘みを楽しんでいると、その奥からふんわり、青草のような爽やかな香りが広がってきて、それがどんどん強くなる。
この2つをミックスすると、いくつもの異なる清涼感が融合し、爽やかさが何倍にも膨らむ。ジリジリと焼けつくような日差しの下でこの清涼感を味わったら、どんなにか幸せだろうと思わせる味だ。
【3】カレーと最高に合うのはこれ!「レモングラスヨーグルト」×「レモン胡瓜ミント」
内田さんが「カレーに本当に合うんですよ」と太鼓判を押してくれたのが、「レモングラスヨーグルト」(写真上・左)と「レモン胡瓜ミント」(同・右)の2種盛り。
「レモングラスヨーグルト」は、甘酸っぱいミルク感の中にレモングラス特有の柑橘系の香りがあり、確かにカレーの後に欲しくなる、ほどよい甘さと爽やかさ。
対して「レモン胡瓜ミント」は、清涼感が殴りかかってくるような爆発的な衝撃!ほのかに塩のうまみも感じるが、塩は入れていないとのことなので、キュウリが持っている自然の塩分なのだろう。
「材料はレモンの皮と汁、ミントの葉とキュウリ。それをミキサーで、クリーミーになるまで攪拌しています」(内田さん)
ミックスすると、甘酸っぱさ、清涼感、ピリリとした刺激、心地いい青臭さがひとつになり、カレーの刺激による舌の火照りを一気に鎮めてくれそう。このジェラートのスペシャルな清涼感を味わうために、あえてものすごく辛いカレーを食べたいとすら思うほど。
【4】一番の問題作⁉「マサラチャイ」×「ホワイトアスパラガスエルダーフラワー」
スパイシーなミルクティーそのままの「マサラチャイ」(写真上・右)は、間違いなく誰にでも好まれる味。
一方、「ホワイトアスパラガスエルダーフラワー」(同・左)は上級者向けの味といえるかもしれない。ホワイトアスパラガスの風味が濃厚で、ジェラートというより、フレンチのソースのよう。
なのにジェラートとしても成立している。その不思議な味わいの秘密を追い求めて食べれば食べるほど、不可解な魅力にハマりそうになる。
ミックスすると、最初はホワイトアスパラガスの強い風味しか感じられないが、混ぜ合わせるほどにどんどん、マサラチャイの味が強くなる。そして最後に、エルダーフラワーの華やかな香りがふっと後口に残る。
「ざっくり混ぜた時」と「均一になるまでよく混ぜた時」とで、香りに変化が現れるのも意外な発見! かき混ぜることでジェラートの温度が上昇するので、気化しにくいハーブ系の穏やかな香りが後から出てくるのだろう。
ジェラート自体の甘みが最小限なことも、口中の微妙な変化をドラスティックに感じられる理由だ。
「8種類全部を食べる人もいます」と店長の内田さんに聞いた時は驚いたが、いざ食べてみると、他の味が気になって食べるのをやめられなくなる気持ちがよくわかる。
さらに、『Kalpasi』のカレーが予約なしで食べられるのも魅力!
同店のもうひとつの大きな魅力は、本店では予約至難な『Kalpasi』のカレーを予約なしで味わえること。実際、ジェラートよりもカレー目当てで訪れる人も多いという。
カレー作りを担当している妹尾愛(せお・めぐみ)さん(写真上)は、以前カフェを経営していた時に店のお客として黒澤さんと知り合い、その後、『Kalpasi』の常連になった。
「ぶっ飛んでいるようで見事にまとまっている。相反する特色が同居する、不思議なカレーなんですよ」(妹尾さん)
「この店が『Kalpasi』への入り口になって欲しい」という想いから、『Kalpasi』のカレーの魅力は大事にしつつ、食べやすさも考えてアレンジしている。
「カレー3種盛り」(写真上)は、右から「レモンチキンカレー」「マトンキーマカレー」「クートゥ(豆と大根とほうれん草)」。
副菜は右から「チャナマサラ(ひよこ豆のカレー)」、「ゴーヤのアチャール(漬物)」、「キャベツのサブジ(炒め煮)」、「人参のアチャール」。ご飯の上のトッピングはレモンのピクルス。
「レモンチキンカレー」はレモンを丸かじりしたような強烈なレモン感が衝撃的な味わい。さっぱりした刺激に、食欲がグイグイそそられる。
「マトンキーマカレー」は香りの強い特別なシナモンと、“幻のハーブ”と呼ばれるカルパシの香りが、マトンに奥行きのある複雑な風味を添えている。
店名の由来ともなっている「カルパシ」(写真上)は、木の皮につく地衣類(菌類と藻類が一体になった植物)で、キノコを熟成させたような独特の香りがする。日本ではほとんど手に入らない幻のスパイスだ。
「クートゥ」は、野菜をたっぷりのギー(バターオイル)で調理しており、野菜の豊かな甘みとミルキーなコクが融合したやさしい味。
辛さはどれもほどほどなので、辛い味が好みの人は「青唐辛子ピクルス」(写真上)をトッピングに付けるのがオススメ。少量でも非常に辛いので注意が必要だが、青唐辛子の香りやうまみも生きている。
3種類とも強い個性があり、ワンプレートで『Kalpasi』同様、変化に富んだフルコースのような満足感を味わえる。しかも『Kalpasi』の半分ほどの価格。さらに予約なしで『Kalpasi』のエッセンスを体感できるのは、ありがたい。
料理店の勤務経験がゼロだから、“繁盛するカレー店の常識”のすべて逆を攻めた
そもそも、予約の取れない本店『Kalpasi』はどのように生まれたのだろうか?
“カレー界の鬼才”の異名を持つ『Kalpasi』オーナーシェフの黒澤功一さん(写真下)にお話を伺った。
黒澤さんは「飲食店勤務経験のない自分が普通のことをしても、勝負にならない」と考え、カレー店を成功させるための常識と考えられていた「入りやすさ」「安さ」「メニューの選択肢の多さ」などのすべて「逆」を選んだという。最もこだわったのが、「看板商品となる定番カレーを作らず、その日の気分で変化させていく」というスタイル。
「プロは味がぶれてはいけない、というのが常識なのに、僕のカレーは日々変化するから、いつ来てもブレブレ(笑)。おいしいから通うというよりも、『心配でつい来ちゃった』という人が多かったような…(苦笑)。でもお客さんはそのアバウトさを楽しんでくれたような気がします。僕の店のお客さんはいろいろな店で食べているすごい方々が多くて、僕はそういうすごいお客さんたちに育ててもらったんです」(黒澤さん)
ジェラートにすることで、スパイスとハーブの可能性をもっと広げたい
意外にも、黒澤さんはもともと甘い物に全く興味がなかったそう。しかし『Kalpasi』はコース形式のため、必要に迫られ、独自に考案したジェラートをデザートとして提供することに。そのうち、常連さんたちから「新しい味!」と喜ばれ、ジェラート作りが楽しくなったという。
「この味をいつでも食べられるように、ジェラートの店を出してほしい」というお客のリクエストに応えたいと考えたのも、2店舗目を出した理由のひとつ。
もうひとつの理由は、『Kalpasi』の常連の年齢層が高めなことから、「若い人にも『Kalpasi』のカレーを知ってほしい」と考えたから。そこで、若い層が好きなジェラートを目玉にした店を思いつく。目指したのはズバリ、“カレー屋のジェラート”。
「そもそもカレーとは、簡単に言えば、スパイスやハーブを使って作る液体。それを温めてご飯にかけるか、冷たく凍らせてジェラートにするかの違いだけなんです。湯気も立たず、香りも広がらない氷点下のジェラートでも、カレーの刺激は表現できると思っています」(黒澤さん)
古くからの友人で、2019年8月、京都で人気のジェラート専門店『PICAROEIS(ピカロアイス)』をオープンした西川ヒロアキさんともアイデアを出し合い、完成させたのが『Curry Spice Gelateria KALPASI』のジェラートというわけだ。
「僕とスタッフのカラーを融合させて、新しいカラーにしていきたい」(黒澤さん)
黒澤さんは「今はこの店もまだ僕のカラーが強いけど、だんだんスタッフ独自のカラーを付けていってほしい」と語っている。
▲店長の内田佳輔さん(写真上・右)とカレー担当の妹尾愛さん(同・左)
この店のテーマカラーであるパープルが、熱いカレーを象徴する暖色と、冷たいジェラートを象徴する寒色が融合した色であるように、2つの店の個性が融合した時、全く新しい魅力が生まれることだろう。
【メニュー】
<ジェラート>
・ジェラート2種盛り 530円
<カレー>
・カレー2種盛り 1,200円
・カレー3種盛り 1,390円
・カレー2種盛りジェラートセット 1,680円
・カレー3種盛りジェラートセット 1,870円
<トッピング>
・パクチー 150円
・レモンピクルス 100円
・青唐辛子ピクルス 100円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
Curry Spice Gelateria KALPASI (カリー スパイス ジェラテリア カルパシ)
住所
東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢 1D
営業時間
11:30~19:00(平日カレーのイートイン・テイクアウトは16:00まで)
定休日
木曜
上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。
※dressingの2020年8月9日の記事(https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/22792/)より抜粋。
東京・下北沢にこんな魅力的なカレー店があることを全く知りませんでした。写真を見ただけで「絶対に旨いカレー」というのはわかるのですが、ものすごくクリエイティブで見ているだけで楽しくなってきます。
スパイスジェラートの誕生経緯も面白いのですが、結果として、今後のジェラートの世界の可能性を大きく広げたように感じました。
あと、このお店の「カルパシ」というのはハーブの名前に由来していたことも知りませんでした。以下に、関連の情報(自動翻訳されているのでちょっと読みにくいです)があります。
まずは、足を運んでカレーとジェラートの味を確認してきたいと思います。