昨日、【ラベンダーの植え付け面積で「ファーム富田」越えを目指す「千年の苑ラベンダー園」(埼玉県嵐山町)へ行ってきました。】の記事の中で、ラベンダー園のことを取り上げましたが、訪れていた人の数の多さを見て、ラベンダーの人気の高さを感じていました。
ハーブのことに深く関わっていなくても、ラベンダーは世界的に認知度が高く、「良い香りで、リラックス効果が高い」というイメージを多くの人が持っていると思います。
ラベンダーについては、認知度だけではなく人気が高いこともあると思いますが、その効能を実証するための実験も色々と行なわれている印象が高いです。
ラベンダーの実験関連の過去記事を以下に羅列します。
【過去の関連記事①:ラベンダー精油が心身に与える”科学的に証明された”8つの効果をシンプルにまとめた記事について】
【過去の参考記事②:ハーブの「効能」「調整作用」とは何なのか。ラベンダーが血圧等に与える影響の実験から見えてくるもの】
【過去の参考記事③:鹿児島大学が行なった(ラベンダー等に含まれる)リナロールの不安軽減効果の実験について】
【過去の参考記事④:ラベンダー精油の「腎臓と肝臓を保護する作用」が認められた実験について】
これらは、世界上でラベンダーに対して行われている実験のまだまだ一部だと思いますが、ラベンダーの持つポテンシャルはすごいと改めて実感します。
今まで、ラベンダーを科学的に捉えた記事をご紹介したことが多かったのですが、
ラベンダーに関する歴史、品種、名前の由来の説、精油のブレンド方法、花言葉等について様々な角度からラベンダーのことを取り上げている記事が、自分にとって新鮮で楽しめたので取り上げたいと思います。
ラベンダーについて
ラベンダーとはどういう花なのか
ラベンダーの学名はLavandulaで、科名はシソ科のラバンデュラ属に属しています。
原産地は地中海沿岸で原種は30種類あり、変種や亜種、栽培品種を加えると数えきれないほど。花の色は紫の他にピンクや白色のものも存在します。
日本においてのラベンダーの歴史
日本におけるラベンダー栽培は北海道が原点です。1937年(昭和12年)に曽田香料株式会社が、フランスのアントワン・ヴィアル社からラベンダーの種を輸入。日本各地の農事試験場での栽培の結果、北海道がラベンダー栽培に最も適していることが分かりました。
その後第二次世界大戦が勃発すると、ラベンダー栽培は一時的に停止されてしまいます。しかし曽田香料株式会社は戦時中もラベンダーの原種苗を大切に保存し、終戦後には富良野地方を中心に栽培と蒸留が盛んになりました。
その後、合成香料技術の進歩により北海道におけるラベンダー栽培にも陰りをもたらしましたが、ドラマ「北の国から」の大ヒットにより観光客が増大。ラベンダーの栽培がまた盛んになったのでした。
ラベンダーの主な種類①アングスティフォリア系
ラベンダーは系統(グループ)によって5種類に分けられます。アングスティフォリア系の開花時期は5月上旬~6月上旬です。香りが良く、他の品種よりも花が美しいのが特徴。
花から摂取できる精油の量が多いことから香料としてよく利用されています。マイナス15度まで耐えられることができ、北海道の富良野で育てられているのはこちらの種類です。
ラベンダーの主な種類②ラバンディン系
成長すると1メートルもの大きさになる大型品種がラバンディン系の特徴。開花時期は7月~9月の暖かい時期に咲き、耐暑性の強い種類です。
耐寒性も強くマイナス10度まで耐えることができます。香りはクールミントのような、少しツンとしていてさわやかです。
ラベンダーの主な種類③ストエカス系
花がうさぎの耳のような形状をしているのが可愛らしいストエカス系。その見た目から観賞用としても人気です。開花時期は4月上旬~6月上旬。比較的生命力が強く、育てているとどんどん大きくなっていきます。
香りは薄めでラベンダーらしい香りを好む方には少し物足りなさを感じるかもしれませんが、ほのかな甘みがあるのが特徴です。
ラベンダーの主な種類④プテロストエカス系
レースのようなきれいな葉を持ったプテロストエカス系。温室できちんと管理することで、通年花を咲かせてくれます。あまりきつくはありませんが、特徴的で好き嫌いが分かれる香りを持っています。
ラベンダーの主な種類⑤デンタータ系
デンタータとはラテン語で「歯のような」という意味です。葉がギザギザとしていて、歯のように見えることからそう名付けられました。
耐暑性が強く、気温10度までしか耐えられない耐寒性が弱い種類です。5月~8月にかけて咲き、やや甘い香りをしています。
ラベンダーの名前の由来
英語のラベンダーの語源はフランス語説
ラベンダーの英語名の「Lavender」は古いフランス語の「Lavangre」に由来していると言われています。
「Lavandre」の語源は様々ありますが、「洗う」という意味合いを持つ「Lavo」と「Lavare」からが有力だそう。
古代ローマ人の生活とラベンダーとは密接していて、洗濯に用いたり入浴の際の疲労回復のために使用したりしていたそうです。
英語のラベンダーの由来はラテン語説
もう一つの語源と言われているものは、ラベンダーの花の色から生まれたという説です。
ラテン語で「青みを帯びた」「青みがかった」を意味する「Livere」という単語があり、ここから由来されたのではないかともいわれています。
ラベンダーの特徴
食用としてのラベンダー
ラベンダーは食べることもできる花です。食欲増進のため料理やお菓子の風味付け、調味料としてサラダやドレッシングに用いられていました。
イングランドの女王であるエリザベス1世は、ラベンダーのジャムを大変好んだそうです。
ハーブの女王と呼ばれるラベンダー
ラベンダーはハーブの女王と言われ、古くから健康や美容に役立つ植物として愛されてきました。ラベンダーの香りは茎や花から抽出される精油(エッセンシャルオイル)にごくわずかしか含まれておらず、大変貴重なものです。
アロマテラピーに用いられるラベンダー
ラベンダーがアロマテラピーに使われるようになったきっかけを作った人物は、ルネ・モーリス・ガットフォセという研究者です。
彼は爆発事故により全治3か月の重傷を負ってしまい、一か八かで蒸留したラベンダーオイルを傷に塗ったところ、傷がみるみるうちに回復していきました。
このことから精油には治療的な効果があることが分かり、ルネ・モーリス・ガットフォセはアロマテラピーの素晴らしさを広め、アロマテラピーの父と呼ばれるようになったのです。
癒し効果もあるラベンダーティー
ラベンダーの香りには、リラックス効果や鎮静効果が含まれているのは有名ですよね。憂鬱な気分や不安、怒りなど負の感情を和らげてくれることが期待できます。
なぜラベンダーの香りを嗅ぐとリラックス効果があるのかというと、香りの成分である酢酸リナリルがセロトニンを誘発することで、リラックスするホルモンが促されるからです。
ラベンダーティー寝る前に飲むと1日の緊張した感情を和らげ、リラックスして質の良い眠りに導いてくれるでしょう。
ラベンダーの精油(エッセンシャルオイル)の使用方法
頭痛にはラベンダー&ペパーミント
精油を希釈するための植物油であるキャリアオイル5mlにラベンダーオイル、ペパーミントオイルを1滴ずつ垂らし混ぜ合わせます。
ペパーミントには緊張性型頭痛や筋肉の痛みを和らげる効果がありますよ。これを首の付け根やこめかみを中心にマッサージすると痛みが緩和します。
肩こりにはラベンダー・スーパーオイル
ラベンダー・スーパーオイルは、ラベンダーの中でもフルーティーでやさしく良い香りで癒し効果が抜群。筋肉の炎症を抑える作用があり、凝り固まった肩をほぐしてくれるでしょう。
傷跡ケアにはラベンダー・スピカ
ラベンダースピカは瘢痕形成作用があります。なかなか消えない傷跡やニキビ跡などにやさしくマッサージするように使用するのがおすすめです。
安眠にはラベンダー&ベルガモット
ラベンダーオイルとベルガモットを1~2滴含ませたティッシュを枕元に置くだけでも、安眠効果が期待できます。ベルガモットは柑橘系のさやかな香りで、ストレスや精神疲労を和らげてくれるのですよ。
スキンケアにはラベンダー・アングスティフォリア
ラベンダーアングスティフォリアはスキンケアに適しており、キャリアオイル30mlに6滴ほど垂らして顔全体に塗るのがイチオシです。スキンケアだけではなく、火傷や虫刺されにも効果があります。
ダイエットにはラベンダー・エトエカス
ラベンダー・エトエカスには脂肪燃焼効果が期待できます。キャリアオイル10mlに2滴加え、気になる部分に揉み込むようにマッサージ。レモンなどさわやかな香りのオイルをプラスすると、気分も良くなるのでおすすめです。
ラベンダーの花言葉
ラベンダーの花言葉はどんなものがあるのか
ラベンダーの花言葉は複数あります。まず一つ目の花言葉は「清潔」。爽やかなイメージのラベンダーにぴったりですね。
二つ目の花言葉は「道徳」。太陽に向かってまっすぐ咲いている姿が、誘惑に屈せずにしっかりとした真面目なイメージからこのような花言葉がつけられました。
三つ目の花言葉は「日々の喜び」。ラベンダーの香りは心身共にリラックスさせてくれて、幸福感で満たしてくれるのが由来です。
伝説から生まれたラベンダーの花言葉
ラベンダーにまつわる伝説から生まれた花言葉も存在します。ラベンダーという名前の少女が、ある少年に恋をしてしまいました。
しかし内気なラベンダーは少年に思いを告白することができず、ひたすら待ちつづけた結果、1輪の花になってしまいます。
そんな伝説から、「あなたを待っています」という花言葉がつけられたそうです。
恋愛系のラベンダーの花言葉
ラベンダーには「許し合う愛」「期待、幸せがくる」という花言葉も存在します。このことから結婚式のブーケにもラベンダーが使われることも多いのですよ。
ラベンダーの怖い花言葉
とってもきれいなラベンダーですが実は怖い花言葉も持っているんですよ。まず一つ目は「不信感」。ラベンダーの花の色が、英語ではあまり良い意味合いではないためです。
二つ目の「疑惑」は、ラベンダーの香りが疑がってしまうほど強いことから、そういった花言葉がつけられました。
ラベンダーには色別の花言葉はあるのか
同じ花でも色別で花言葉が違うものも沢山あります。ラベンダーには紫色の他ピンクや白もありますが、残念ながら色別の花言葉は存在しませんでした。おそらくラベンダーといえば紫色のイメージが強く、他の色はあまりメジャーではないからかもしれませんね。
ラベンダーの花言葉まとめ
ここまでラベンダーの花言葉や特徴について沢山紹介してきましたが、いかがでしたか?意外な歴史や様々な品種や花言葉に驚いた方も多いのではないのでしょうか。
ラベンダーには癒し効果や、緊張をほぐしてくれる効果が抜群なので、生活に取り入れて損なし!ぜひラベンダーの素晴らしい効果を毎日の生活に取り入れてみてくださいね。
※大人女性向けライフスタイルメディアfolkの2019年6月23日の記事(https://folk-media.com/1737955)より一部抜粋
私にとって、ハーブと関わることの楽しさのひとつは、先人たちがそのハーブとどのように関わってきたのか、そのハーブに対してどのような意味づけをしてきたのかを知り、自分自身が形状を見たり、香りや味を感じたりするなかで見えてくるものとの対比をすることで、その当時の世界観を想像することです。
ハーブ・スパイス・香りを探求することは、人類の歴史を深く知ることにもつながるというは自分にとって大きな発見でした。
自分の興味から端を発した過去の歴史というのは、ただの文字情報ではなく、生きた歴史として自分自身にとって意味のあるものとなり、現在のハーブとの向き合い方に大きく影響を与えるものとなります。
「花言葉」というのも、以前は若干軽く見ていた部分もあったのですが、『過去に人々がその花・ハーブとどのように関わってきたのか』を把握する上での貴重な情報なのではないかと感じるようなってからは、興味深く見れるようになってきました。
ハーブから学べることは本当に膨大で、自分自身の限られた人生の中でどこまで学びを深められるか、、自分自身の挑戦でもあります。