今から3年以上前に、ミカンの生産工程の中で捨てられてしまう「摘果ミカン」を活用して、町を活性化しようとする試みを紹介したことがあります。
【過去記事:摘果ミカンを使ったアロマオイルの商品化により、『アロマのまち』を目指す女性たち】(2018年3月27日)
神奈川県大磯町のこの取り組みは順調に進んでいるようで、昨年、今マスメディアで何かと話題の河野太郎氏のTwitterにも登場しています。
大磯町商工会女性部、相模女子大学、相模女子大学短期大学部、横浜銀行が、大磯の摘果みかんを使って作ったアロマオイル、大磯frais ”Tekka”。 pic.twitter.com/eI2hMTMil2
— 河野太郎 (@konotarogomame) December 18, 2020
今日は、コンセプトとしては同様なのですが、今後、横の連携の幅が広がっていきそうなプロジェクトを取り上げたいと思います。
※時間のある人は、約7分の以下のリンクにある動画を見て欲しいです。
(以下、文字起こし)
廃棄ミカンで町を豊かに Uターン組の挑戦 「三ヶ日みかん」の町で
静岡県浜松市三ヶ日町は、「三ヶ日みかん」のブランドで知られるミカンの産地です。今、このミカンを活用して新たな地域の魅力を発信しようとプロジェクトが進められています。目をつけたのは捨てられてしまう「青ミカン」です。
◆Uターン組が地域振興 目をつけた「青ミカン」
ミカンの産地として知られる、ここ三ヶ日町。
8月下旬、ミカン畑で行われていたのは…
本谷育美アナウンサ-「何をされているんですか?」
ブルーレイクプロジェクト代表・夏目記正さん「この青ミカンを採っているんです」
本谷育美アナウンサ-「青ミカンのまま採ってしまうのですか」
夏目記正さん「そうなんです。一般的には廃棄されるんですけど、これを活用して商品を作ろうと思っているんです」おいしいミカンを育てるために、ミカンは一部の実を緑色のうちに採ってしまいます。
この日、青ミカンの収穫作業をしていたのは、環境保全などを通して子供たちにより良い未来を贈ろうと活動している、三ヶ日町の「ブルーレイクプロジェクト」の皆さんです。
定期的に地元の猪鼻湖(いのはなこ)の清掃や、子供たちを対象とした農業の体験イベントなどを行っています。
さらに地域の課題をビジネスにむすびつけ特産品を生み出そうと、いま力を入れているのが「青ミカン」を使った取り組みです。
ブルーレイクプロジェクト代表・夏目記正さん:
「私たち三ヶ日町出身なんですけど、一度三ヶ日を出て学生や社会人生活をして、またUターンで戻ってきたメンバーが多いんですね。その時に地面に転がっている青ミカンを見て、もったいないと思ったのがきっかけですね」◆捨てられていたミカンをビールに再生
三ヶ日町の特産である「三ヶ日みかん」。
間引きされた青ミカンや、キズや規格外などで出荷できずに捨てられてしまうミカンは、年間約3万6000トンともいわれています。こうしたミカンを役立てて商品化しようと考えました。
去年は、青ミカンの果汁を使用したビール「三ヶ日クラフト」を販売。生産した350本は10分で完売したほど、大きな反響を呼びました。
青ミカンを積極的に活用する理由には、もったいないという考え方だけでなく三ヶ日町のミカン農家が抱える問題もあります。
ミカン農家・清水理さん:
「一つは労働者不足。外部の人を確保したくても、その労力が容易に確保できないような状況。それから全体的には高齢化社会が進行して三ヶ日でもミカンの管理ができなくなって、畑を人に預けたり耕作放棄のように荒れてしまった畑が散見され始めています」高齢化などの人手不足で放置されているミカン畑の増加。ブルーレイクプロジェクトでは、こうしたミカン畑を活用していこうと考えています。
青ミカンでの収入を確保することで、不作の年でも農家の収入を安定させることも期待しています。
◆新作は「青ミカン」シャンプー
そして今回、クラフトビールに続き新たに取り組んでいるのが…
本谷育美アナウンサー 「今度はミカンでどんなものを作ろうしているのですか」
夏目正記さん 「今度は、シャンプーを作ろうと思っています」この日行われていたのは、シャンプーづくりに向けた会議です。
会議に参加しているのは、シャンプーの製造を担当する会社に勤め自らもコスメコンシェルジュとして活動する竹下博之さんと、アロマのクラフトショップを経営する池永ちこさんです。夏目正記さん 「この前から何か成分は変わったのですか」
竹下博之さん 「羊毛ケラチンといって羊の毛とか、トリートメント成分ですね、キューティクルを補修する役割があるので粘度調整と一緒に」
池永ちこさん 「髪の毛が長い人がいるから、そういう人に使ってほしいですね」目指すのは、環境に配慮した、人にもイヌにも使える、肌に優しいシャンプーです。
コスメコンシェルジュ・竹下博之さん:
「今回は青ミカンの皮からとれる油を、精油の代わりに使うという形で配合しています。シャンプーを使われる方に優しい成分ということで、アミノ酸系のものを使っています。大人から子供まで使っていただけますし、ペットのワンちゃんにも使えるような成分にしてあります」成分に界面活性剤は使用せず自然由来のものを多く使用し、原料の産地にまでこだわり配合しています。
◆甘い優しい香りがふんわり 11月完成めざす
シャンプーはまだ試作段階ですが使ってみると…
本谷育美アナウンサ- 「しっかりと泡立ちますし、ふんわりと甘い優しい香りがしてリラックスできそうです。この青ミカンシャンプーは、どんな良さがあるのですか」
アロマコロジスト・池永ちこさん:
「アロマセラピーの点から言うと、青ミカンシャンプーに関してはリラックスもリフレッシュも両方とも備えていて、自分がリラックスしたいかリフレッシュしたいかで、香り方がずいぶん変わります」あえて香りは弱めに、髪を洗うときにふわっと感じるくらいに抑え、匂いに敏感な人にも使ってもらえるよう工夫を凝らしています。
池永ちこさん:
「青ミカンの成分を分析に出してみたら、髪の毛にいい、頭皮にいいという成分がたくさんあって、本当に捨てるのがもったいない。ごみとして捨てられてしまうか、こういった商品になるか、雲泥の差があると思うので」今後は青ミカンオイルの配合量を調整するなど改良をかさね、早ければ11月にも青ミカンシャンプーが完成するということです。
◆「豊かな町ときれいな湖を子供たちに」
夏目正記さん:
「シャンプーやそれ以外の商品がどんどん売れていくことで、農家さんの捨てていた青ミカンを買い取ってあげられるようになると思うんですね。青ミカンでも収入化することで、これから新規に就農する方とか、大変だからやめようかなと思っている方の後押しになればいいなと思っています。将来この町が活性化されて、さらに湖もきれいになって、そんな未来を子供たちに贈れるということに、すごくわくわくしています」地元の特産品を活かしながら、直面する地域の問題の解決の一助に。
地域にも環境にも人にも優しい取り組みは、これからも続きます。
※テレしずの2021年9月18日の記事(https://www.sut-tv.com/news/indiv/12166/)より抜粋
素晴らしいプロジェクトです。
この内容は、日本のみかん農家の多くに刺激を与える内容なのではないでしょうか。
みかん農家のビジネスとしての魅力がアップし、収益も向上しつつ、且つ、環境保全にも貢献ができる。ものすごく価値のある循環だと思います。
地域の植物が絡む問題解決にとって、アロマの関係者は今後もっとニーズが高まっていきそうですので、個人的にワクワクします。