マッコウクジラの腸内で生成される結石「龍涎香(アンバーグリス)」の香りは、「シャネル N°5」に用いられていることを初めて知りました。

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昨年、神戸布引ハーブ園へ訪問した際に、園内にある「香りの資料館」の中を見て歩きました。様々な香りについての展示があり非常に面白かったのですが、その中でも「動物から採取された香り」が人気のある香りとして多くの人々に親しまれているということに衝撃を受けました。

【過去の参考記事:神戸布引ハーブ園の初訪問レポート【香りの資料館編】】(2019年6月5日)

それは、雄のジャコウジカの腹部にある香嚢から得られる分泌物を乾燥させた香料である「ムスク(麝香)」です。(現在は、倫理上の観点でムスクの香りは合成香料のようです)

恐らく、ジャコウジカの雄が、雌を誘惑するフェロモンとして放出するのだと思うのですが、その香りが、人間の女性にも人気が高いというのは興味深いです。女性性が反応する香りの本質は、動物もヒトも共通する部分が多いのかもしれません。

今日は、同じく動物が絡む香りについてのニュースを取り上げたいと思います。

その価値3億円超か クジラが排出した約100キロの「龍涎香」を漁師が発見(タイ)

その価値3億円超か クジラが排出した約100キロの「龍涎香」を漁師が発見(タイ)

タイ南部の海岸沿いで先月下旬、近くを散歩していた漁師が「龍涎香(りゅうぜんこう)」と呼ばれる非常に貴重な石の塊が複数打ち上げられているのを発見した。龍涎香は全部で約100キロとこれまでで最大級で、「一体いくらの値がつくのか」と注目が集まっている。『LADbible』『The Sun』などが伝えた。

大きな塊の一つ(画像は『The Sun 2020年11月30日付「MOBY SICK Penniless fisherman finds ‘world’s largest-ever’ blob of whale vomit worth £2.4MILLION because it’s used in perfume」(Credit: ViralPress)』のスクリーンショット)
大きな塊の一つ(画像は『The Sun 2020年11月30日付「MOBY SICK Penniless fisherman finds ‘world’s largest-ever’ blob of whale vomit worth £2.4MILLION because it’s used in perfume」(Credit: ViralPress)』のスクリーンショット)

タイ南部のナコーンシータンマラート県の海岸で先月23日、ナリス・サワナサンさん(Naris Suwannasang、60)が黄色味を帯びた石の塊のようなものを発見した。

ナリスさんはそれがマッコウクジラの腸内で生成される結石「龍涎香」に似ていることに気付き、従兄たちを呼び出すとトラックに積み込んだ。

ナリスさんは「塊は複数あって、100キロもあったんだ。自宅に運んだ後、龍涎香であるかどうかを確かめるためにライターの火を近づけてみたんだよ。すると塊の表面が溶け出して、なんとも言えない香りを放ったんだ」と当時を振り返る。

実はこれ「龍涎香(アンバーグリス)」と呼ばれるもので、マッコウクジラが飲み込んだイカのクチバシなどが腸壁から出された分泌液で包まれて固まったものだという。以前はクジラの嘔吐物と思われていたが、現在では肛門から排出されるという説が有力で、水よりも比重が軽いため海面に浮かび上がって漂流する。そうして長い間漂流すると熟成し、独特の香りを放ち始めることから「シャネル N°5」など有名ブランドの香水の原材料としても広く用いられている。香りを持続させることでも知られており、希少なため高く取引されるという。

この日、ナリスさんが発見した塊は全部合わせると重さが約100キロとこれまででも最大級で、ナリスさんは「龍涎香の質にもよるけど、すでに買い取りたいというビジネスマンがいてね。最高級のものであれば、1キロ96万バーツ(約331万円)払うと言われているんだ」と今にも小躍りしそうな喜びようだ。

もしこれが現実となれば、ナリスさんには3億3千万円以上の大金が転がり込むこととなり、漁師として1か月7万円ほどの稼ぎで暮らしていたナリスさんの生活は一変することになる。

ナリスさんは「発見した龍涎香にどのくらいの価値があるのか、専門家に調査してもらっているんだ。どんな結果が出るのかとても楽しみにしているよ」と述べ、「警察にも行くつもりさ。盗まれるといけないからね」と興奮を隠せない。

ちなみに龍涎香が海岸に打ち上げられるのは非常に稀とのことで、ナリスさんはまさに強運の持ち主であると言えよう。果たして100キロの龍涎香にいくらの値がつくのか。龍涎香の色は暗褐色、白、黄色と様々で、香りも塊によって違うというが、ナリスさんが発見したような黄色味を帯びた龍涎香は「一番香りが良い」という説もあり、今後の展開が楽しみである。

画像は『The Sun 2020年11月30日付「MOBY SICK Penniless fisherman finds ‘world’s largest-ever’ blob of whale vomit worth £2.4MILLION because it’s used in perfume」(Credit: ViralPress)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

※Techinsightの2020年12月3日の記事(https://japan.techinsight.jp/excerpt?id=738611)より抜粋

「たかが香り、されど香り」と感じる面白いニュースです。

この内容を見ると、歴史上、多くの女性を虜にしてきた「シャネル N°5」の香りへの興味が俄然高まりました。

こんな貴重な龍涎香なので、シャネル N°5に使用されているのは合成香料なのかな?と一瞬思ったのですが、最近、人工合成への道が開かれたというニュースが流れていたので、合成したものではないことがわかりました。

龍涎香の世界は深そうなので、今後もアンテナを張り知見を深めていきたいと思います。

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