私が毎週火曜日の夜に楽しみにしている『いのうえおとの秘密のハーブ』(鎌倉FM:インターネットで世界中から視聴可能)というラジオ番組の中で、過去2週にわたって、中国の新疆ウィグル自治区で使われるハーブについてのお話がありました。
※新疆ウィグル自治区についての詳細はこちらをご確認ください。(Wikipedia)
今年の10連休のGWのときに、ラジオパーソナリティーのいのうえおとさんが中国のウィグル自治区へ旅行をされ、その際に出会ったハーブのことについて色々と話をして頂けたのですが、私自身「新疆ウィグル自治区で使われるハーブ」というのは完全な盲点でしたので、非常に興味深い内容でした。
そのお話の中で、新疆ウィグル自治区のいたるところで「生のパクチー」が料理に使われているという情報がありました。
生のパクチーというと、東南アジアのタイ・ベトナムなどで頻繁に使われるという印象をもっている人が多いと思うのですが、キルギスやタジキスタンといった国と国境を接する国で、且つ、中華圏で「生のパクチー」が使われているというのは自分の中で非常に新鮮な情報として捉えました。
しかしながら、Wikipediaで”パクチー”のことを確認してみると、以下の記述がありました。
一般には、英語に従って、果実や葉を乾燥したものを香辛料として「コリアンダー」(英語: coriander)と呼ぶほか、1990年代頃からいわゆるエスニック料理の店が増えるとともに、生食する葉を指して「パクチー」(タイ語: ผักชี)と呼ぶことが多くなった。
また、中華料理に使う中国語由来で生菜を「シャンツァイ」(中国語: 香菜; 拼音: xiāngcài)と呼ぶこともある。中華料理にも使われることから、俗に「中国パセリ」(英語: Chinese parsley)とも呼ばれることがあるが、パセリとは別の植物である。中国へは張騫が西域から持ち帰ったとされ[注 1]、李時珍の『本草綱目』には「胡荽」(こすい)の名で記載がある。
※Wikipediaより一部抜粋
言われてみれば、日本でもよく聞くシャンツァイ(香菜)って中国語の響きでしたね。なので、中華料理で使われるというのは一般的な側面もあるのかもしれません。
私自身は中華料理で、過去に生のパクチーが使われていた料理は今までの人生で食べている可能性も否定できないですが、記憶がなぜか蘇らないです。。
でも、新疆ウィグル自治区における生のパクチーとの関係については、歴史的な背景含め興味が掻き立てられたのですが、
神奈川県・藤沢に中国西南部の少数民族料理を食べることができる中華料理屋さんを取り上げた記事を見つけたのですが、その記事中でも生のパクチーが使われている料理の写真があり、「このお店のオーナーと話すことで、より深い話を聞くことができるかもしれない」と感じました。
その記事をご紹介します。
発酵・熟成・ハーブで洗練されたおいしさを! 藤沢『茶馬燕』で中国少数民族料理の神髄を堪能
- Summary
1.中国少数民族料理から辺境の郷土料理まで!【特集・マニアック中華】
2.雲南省や貴州省など、中国西南部の少数民族料理が味わえる、藤沢『中国旬菜 茶馬燕』
3.うま味調味料をほぼ使わず、料理人としての経験と薬膳アドバイザーとしての知識による”洗練されたおいしさ”を追求
四大料理だけじゃない、食の奥深さを体感できる「マニアック中華」に熱視線
日本で中国料理といえば、いわゆる八大料理(山東・広東・江蘇・四川・浙江・安徽・湖南・福建料理)のなかでも、前四者の四大料理を想像する人が多いだろう。
そんな日本の中国料理に近年ひそかな変化が起きている。四大料理以外の八大料理や、中国辺境の山間部に生活する少数民族の伝統料理にスポットが当たり始めているのである。
交通手段や海がない等の環境制限があるために、発酵・熟成等の調理法を駆使しながら、限りある食材を最大限に生かすのが特徴だ。そんな「マニアック中華」の世界を覗いてみよう。
藤沢のディープワールド『中国旬菜 茶馬燕』
マニアック中華を専門的に扱う店が都内に増えているなか、その近郊の神奈川県藤沢市にも食通の注目を集める一軒がある。『中国旬菜 茶馬燕(チャーマーエン)』だ。
同店は、中華に詳しくないお客にも分かりやすいよう「四川・広州の店」と謳っているが、食を愛する者として注目すべきは、むしろそれ以外、つまり中国少数民族料理である。
オーナーシェフの中村秀行さんは、料理人としてキャリアを積むなかで四川料理の面白さに魅了される。以来、都内や横浜などの各店で本場中華のイロハを習得。その傍ら、実際に中国西南部・タイの山間部・ラオス等を周遊するなかで、現地の叡智溢れる伝統料理に衝撃を受ける。そのときの経験をベースに、同店では雲南省や貴州省周辺の食材や調理法を取り入れながら、体に優しい料理を提供している。
料理
雲南・貴州省の少数民族料理、四川料理、広州料理
特徴
うま味調味料(化学調味料)はほぼ使わず、今までの料理人としての経験と薬膳アドバイザーとしての知識による”洗練されたおいしい料理”を目指している。その根本には、「限られた環境や資源で生活している山間部にこそ、食の原点がある」との考えをもつ。
「物流インフラが不十分だったり冷蔵庫がなかったりしても食材の保存は出来ているわけですから、その知恵を紐解いて応用することが料理人として大切です」(中村さん)。
その言葉通り、発酵・熟成等、中国山間部で日常的に使われる、食材の保存性を高め、かつうまみを増幅させる手法を随所に取り入れた料理をつくり上げている。
今回は、そんな中村さんの技が散りばめられた逸品をご紹介しよう。
▲「豚皮チップス雲南タイ族トマトソース」
乾燥させた豚の外皮を油で揚げてチップスとし、爽やかなトマトソースでいただく人気の一品。中国西南部の傣(タイ)族にとって定番の料理だ。
パリパリなチップスに合わせるソースはナンミィといい、雲南省南部に居住する少数民族・傣族の料理には欠かせないもの。現地ではさまざまなナンミィが存在するが、このトマトベースのファンチェナンミィは、生野菜とともに使われることが多い。
同店では、それをトマト・パクチー・ミント・塩で構成。トマトは、地元藤沢のものを使用することで、完熟した甘みとみずみずしさを帯びている。ソースのフレッシュさ、パクチーやミントの爽やかさがいい塩梅で主張されており、すっきりした白ワインを呼ぶ品である。
▲「ピータン・油揚げ・ミントの雲南タイ族和え」
刻んだピータンと藤沢市鵠沼(くげぬま)産の油揚げを、ミントとともに自家製ソースで和えた前菜。雲南省の山間部で食べられる料理である。
ポイントは、パイナップル・ココナッツ・タイ産醤油で構成された自家製ソースであるパイナップルナンミィ。その他、タイ料理に不可欠な、大豆を原料とした調合液体調味料であるシーズニングソースと酢で調味。
▲自家製パイナップルナンミィ
ソースのもつエキゾチックで複雑な辛みが、ピータンの塩味やうまみ、ミントの爽やかさと渾然一体となっている。辛さの奥にコクとうまみが存在し、時おり清涼感が駆け抜ける、多層的なおいしさだ。
▲「自家製貴州納豆と卵のふんわり炒め」
こちらは、貴州省・雲南省・湖南省の西南部やタイの山奥で食べられるものを再現した一品。現地では水豆豉(スイトウチ)と呼ばれる大豆を発酵させた調味料を使用するので、同店では国産大豆を使って水豆豉を自家製している。それを、誰もがイメージしやすいよう独自に「貴州納豆」と呼んでいる。
この貴州納豆は、1週間かけて作られる自家製。まず大豆を2日かけて発酵させ、それを、発酵前の漬け汁と塩・香辛料を加えてさらに5日間熟成させる。熟成してうまみを蓄えた貴州納豆を漬け汁ごと卵と炒めれば完成だ。
納豆といっても納豆菌による発酵ではないので粘り気はほぼない。卵のやさしい食感と味わい、貴州納豆のホクっとした食感と濃厚なうまみが見事にマッチしている。
▲「白身魚の揚げなれずし」
傣族や中国南東部の江西省で親しまれ、日本の伝統的な保存料理「なれずし(魚の腹にご飯を詰めて乳酸発酵させた保存食)」にも似た料理である。
ティラピアという川魚に、蒸してから洗ったモチ米をまぶして3~4日発酵、さらに1週間ほど熟成させる。ティラピアは鯛にも似たやわらかな身を持つ白身魚で、このような発酵料理にはよく合うという。
寿司の原形と言われる「なれずし」自体、東南アジアから日本に入って定着したことを思えば、これが日本人の舌に合うことは想像に易いだろう。
ソースに見えるものは、実は油。これ自体にバターのようなうまみがあるのだが、熟成させたティラピアを揚げ炒めする過程で、油にモチ米や魚のうまみが流れ出てソースのような役割になるのだという。
ねっちりした食感のティラピアだが、焦げた部分からチーズのような濃厚なうまみも味わえる。上に乗ったパクチーやディルとともにいただけば、そのうまみと爽やかな風味がバランスよく楽しめる。
▲「発酵筍と骨付き鴨の土鍋煮」
こちらも、中国西南部で見られる料理。山の多い現地では、豊富に採れるタケノコを早いうちに収穫し、塩水に漬けて発酵させ、保存食として備蓄しているという。
その中国から仕入れた発酵タケノコの漬け汁に、醤油・砂糖・紹興酒・唐辛子・ローリエ・桂皮(ケイヒ:シナモン)を加え、そこに骨ごとブツ切りにした鴨を1時間ほど煮る。タケノコのうまみと発酵由来の酸味が鴨に染み込み、滋味深い味わいとなっている。
アルコールは、こだわりの自然派ワインや、フルーティーさが魅力な中国の蒸留酒・白酒(パイチュウ)も揃えている。滋味深い少数民族料理にワインや白酒を合わせれば、より複雑なおいしさに悶絶することだろう。
シェフが中国少数民族料理にこだわる理由とは
中村さんがこのような料理に行きついたのは、「医食同源」が根付く中国料理の多彩さや知恵深さが関係している。
そもそも、一言で中国料理といっても、食材や調理法は非常に多彩で、たとえ同じ料理でも店ごとに味付けや特徴が異なることに面白みを感じ、探求心に火が付いたという。
「20年ほど前、フレンチやイタリアンでは現地で修業したシェフによって、現地の香りのする料理が作られ、世間でもてはやされていました。ただ、中華はそれがなかったんです。そこに悔しさもありました」(中村さん)
そのように感じるシェフは他にもいたようで、現地修業をしたシェフによる情報発信やメディア露出も次第に増え、四川を始めとする中国四大料理の隆盛とともに、フレンチやイタリアンのように本場仕込みの味を受け入れる日本人も増えていったという。
中村さん自身も、中国西南部や東南アジアを周遊するなかで、前述の通り内陸部では当たり前の発酵・熟成といった保存技術が人間の生存にとっても不可欠と確信。その調理工程を経ることで、自らの理想とする自然本来のうまみを持った”洗練された味”にも近づけることができた。
中国現地を思わせる、こだわりの店づくり
同店が位置するのは神奈川県藤沢市、JR藤沢駅より徒歩5分ほどのビル6階。20名前後のテーブル席が並ぶ店内は、中国の伝統建築に見られる丸門をモチーフにした飾り棚やテーブルに埋め込まれた絵画など、中国現地を思わせる設えである。
「日本人の知っている中華はほんの一握りで、もっとおもしろい中華がたくさんあるので、そういう面白さを広めたいです」と中村さん。
ようやく開けてきたマニアックな中国料理を堪能するには欠かせない『茶馬燕』。新たな食と出逢いに、ぜひ訪れてみよう。
▲中村秀行シェフ
1973年埼玉県生まれ。
都内や横浜などの中国料理店で修業後、中国西南部・タイの山間部・ラオス等を半年ほど周遊し、その土地ごとの食文化を体感。帰国後、その経験を生かし『菊華』(横浜中華街)では料理長を務め上げた。そして2009年に『中国旬菜 茶馬燕』(神奈川・藤沢)を開業。日本中医食養学会認定 薬膳アドバイザーの資格を持ち、薬膳をも取り入れた体に優しい料理を提供する。
【メニュー】
ピータン・油揚げ・ミントの雲南タイ族和え 小皿950円 中皿1,600円
豚皮チップス雲南タイ族トマトソース 小皿950円 中皿1,600円
自家製貴州納豆と卵のふんわり炒め 1,550円
白身魚の揚げなれずし 2,450円
発酵筍と骨付き鴨の土鍋煮 2,450円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です
※ディナータイムは別途席料350円(コースを除く)
【食の賢人・マッキー牧元さんも『茶馬燕』に注目】
「中国・少数民族料理」とは何か? グルメ通から熱い視線が注がれる、マニアック中国料理の世界『茶馬燕』
中国旬菜 茶馬燕(チャーマーエン)
住所
〒251-0055 神奈川県藤沢市南藤沢20-15 第一興産18号館6F
電話番号
- 0466-27-7824
- 営業時間
- ランチ(土・日・祝のみ) 11:30~14:00、ディナー 17:30~21:00
- 定休日
- 水曜、日曜(月一回)、その他不定休あり(HPにて要確認)
上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。
※Dressingの2019年5月29日の記事(https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/22365/)より抜粋
「限られた環境や資源で生活している山間部にこそ、食の原点がある」とのいう中村シェフの考え方は、非常に共感します。
この記事の内容を見ているだけで、行きたくてうずうずしてきました。
中村シェフと会話できることで、何か非常に新しい視点に気づかせてくれる情報が得られそうな感じがします。
茶馬燕(チャーマーエン)へ行き、中村シェフと会話ができ次第、改めて記事にしたいと思います。