イングリッシュ・ラベンダーというラベンダーは存在しない? 「イングリッシュ・ラベンダー事件」が招いた混乱とは。

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ホームセンターで売っているラベンダーの種類というのはあまり多くはないという印象を持っていたのですが、先日「カインズ(CAINZ)」というホームセンターへ行ったら、たくさんの種類が置いてあり、10種類くらい買いました。

こんな感じで売っていました。(クリックすると大きくなります。)

上の写真以外にもまだ数種類ありました。

今まで、ホームセンターでこのようにたくさんのラベンダーが置いてあった経験がなかったのでかなり驚きました。

家に帰ってきて、以下のような感じで、フェンスに掛ける鉢置きでラベンダーを配列してみました。

これでも、すべてを配置できていないので、今週末に残りの分を床置きなどで配置する予定なので、楽しみにしています。

ところで、このシーズンにハーブ苗を買いにいくと「イングリッシュ・ラベンダー」という表記を当たり前のように見ます。

この「イングリッシュ・ラベンダー」にまつわる、ラベンダー探求者の間では知らない人はいないくらい有名な「イングリッシュ・ラベンダー事件」というものが20世紀前半にあったそうです。

私自身は、全く知らない事件だったのですが、目から鱗というか、、イングリッシュ・ラベンダーへ見方が180度変わる内容だったので、紹介したいと思います。

この事件を知ったきっかけは、ラベンダー栽培史研究家の岡崎英生さんが書いた以下の記事です。”7000いいね”に迫る勢いなので多くの方が見ていると思います。

以下に、どんな事件だったのかを要約します。

英国のキュー王立植物園で研究員をしていたある若い女性がいた。

この女性は大学で植物学や庭園史を学び、キュー植物園に就職。園内の植物の管理記録の整理や文献学的な研究などを任されていた。

その女性は男性との恋愛経験が無いまま、ラベンダーに熱愛。

ラベンダーは中近東から地中海沿岸にかけての乾燥した山岳丘陵地帯が原産地。英国には古代ローマ人がブリテン島に侵攻し、征服したときに伝えられたとされている。

その後、17世紀の半ばにフランスでプロテスタント教徒への弾圧が始まり、知識人を含む何万人ものフランス人が英国へと逃れたときにもラベンダーが持ち込まれ、英国の社会にこの植物を愛好する趣味が以前にもまして浸透。

キュー植物園研究員の女性は、英国のそうしたラベンダー愛好趣味の真っ只中で育ち、ラベンダーに熱烈な恋をするようになった。

1911年頃、彼女は300種類以上あるラベンダーを自分なりに再分類してみようと思い立った。

ラベンダーにはいくつかの原種の系統があるが、その中で最も花が美しく、香りもいいのは、ラテン語学名で「ラヴァンデュラ・アングスティフォリア(オフィキナリス)」という種類。

独自に再分類を行ったとき、あろうことか彼女は「ラヴァンデュラ・アングスティフォリア(オフィキナリス)」に「イングリッシュ・ラベンダー」という名称を与えた。

その直後の1913年、英国の化粧品会社ヤードレーが『イングリッシュ・ラベンダー』という男性用の香水を発売。格調高い上品な香りで人気を呼び、たちまち大ヒット。

こうしてイングリッシュ・ラベンダーという言葉が広く流通するようになり、ついにはラベンダーの品種名として定着。

彼女は、一番美しく、一番香りのいいラベンダーに「イングリッシュ」という自国名を冠したことが誇らしかったのかもしれない。

しかし、イングリッシュ・ラベンダーという呼称は、あたかも英国がラベンダーの原産地であるかのような誤解も広げている。だが、前にも述べた通り、英国にとってラベンダーは外国からの渡来植物であり、原産地ではない。

恋は甘く、恐ろしい。。。というお話。

名前というのは本質ではないですが、名前の与える印象というのは本当に強いものがあります。

「イングリッシュ・ラベンダー」というだけで、イギリスの王族が愛している高貴なラベンダーという印象を与えるので、ビジネス的にはプラスの影響を与えると思います。

ラベンダー以外にも、このような話ってあるのかも知れないですね。

今回のお話は、ラベンダーを愛好している人が多いが故にインパクトが強いです。

一つ、勉強になりました。

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2件のコメントがあります

  1. アバター画像

    いまやラベンダーはどなたにも馴染みのある花であり香りですね。
    それだけに、一度刷り込まれた記憶はなかなか消えるものではありませんが、こうして『ホントはね!』っていうお話もまた、おもしろいし楽しいものですね。

    1. アバター画像

      コメント頂き、ありがとうございます。そうですね、馴染みがあるが故に、こういったお話は楽しいですね。

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