東京都江戸川区の南部には、インド人が5000人近く住んでいる「リトル・インディア」と呼ばれる地域があり、以前その地域のインド料理についての記事を取り上げたことがあります。
【過去記事:東京・西葛西のインド料理街の大きな魅力が伝わる記事】(2021年5月20日)
一度、江戸川区・西葛西のインド料理街を一日中ゆっくり巡ってみたいと思ってますが、その江戸川区に関連する興味深いニュースが入ってきましたので早速紹介したいと思います。
江戸川区で栽培、インドで愛される野菜メティ「日本のほうが美味」「手に入り感動した」
外国人が多く暮らす地域で、その国が原産の野菜を栽培する取り組みが広がっている。野菜の消費量が低迷する中、販路拡大に挑戦する農家が増えたためだが、故郷で慣れ親しんだ野菜に出会えた在留外国人からも好評で、食文化を通じた相互交流に一役買っている。(石川貴章)
全国最多の5000人超のインド人が住む東京都江戸川区。住宅街にあるビニールハウスでは5月に入り、家庭料理の具材や香辛料として現地で愛される野菜「メティ」の葉が茂った。
区南部には「リトル・インディア」と呼ばれる地区がある。コンピュータープログラムが不具合を起こすとされた「2000年問題」対応で来日したインド人のIT技術者らが、都心に近い新興住宅地だった一帯に定住したのが始まりだ。
生産農家の中代喜一さん(54)は、江戸東京野菜として知られる区特産の小松菜づくりを長年続けてきたが、「ブランドにあぐらをかかず、インド人が多い土地柄を生かした『武器』になる野菜を探していた」と語る。
マメ科のメティはインドや中東などで栽培され、シャキシャキした食感とほろ苦い味が特徴だ。日本にも乾燥したメティは輸入されているが、生野菜が入ってくることはまれだった。
栽培を後押ししたのは、地元住民でつくる「えどがわメティ普及会」だ。「新鮮なメティを食べたい」というインド人の声を聞いた小林洋さん(73)らは、区内の農家に栽培を依頼。彼らを招いた試食会では「日本の方がおいしい」と評判になった。今では区内の農家3軒がメティを生産している。
同区南小岩のネパール・インド料理店「サンサール」を営むネパール出身のマラカール・ウルミラさん(56)は「日本でもメティが手に入って感動した。故郷を思い出す」と笑顔を見せる。ジャガイモといためた家庭料理「アルメティ」は日本人客からも人気だ。
「江戸川インド人会」のジャグモハン・チャンドラニ会長(69)は「異文化に理解のある日本人を知り、好意的な感情を持った」と笑う。帰国後に「日本でメティを食べられた」と周囲に語る人もいるといい、「異国で経験したありがたさは、一生忘れられない」と話す。
「メティを小松菜に並ぶ江戸川の名産品にしたい」と話す小林さん。「地域で生きる多くの外国人とメティ料理を囲み、ともに多文化共生社会を築きたい」と夢を広げている。
■ノコギリパクチーやキャッサバ芋も
農林水産省によると、1970年度に約115キロあった国民1人あたりの年間野菜消費量は、2020年度には90キロを下回っている。肉食の増加やファストフード店の流行など食生活の変化が背景にあるとみられる。
「農家を取り巻く環境は安泰とは言えない。生き残るための工夫が求められている」と話すのは、「ノコギリパクチー」といったベトナム品種野菜を生産する富山市の農家斉藤大悟さん(39)だ。ベトナム料理店からの引き合いも多く、斉藤さんは「誰もやっていなかったので、唯一の存在になれると思った」と振り返る。
鹿児島県の障害者就労施設「あまみ徳之島絆ファーム」は、キクラゲをつくっていた約8年前、ブラジルで有名な「キャッサバ芋」もつくり始めた。当時、国内に生産者がほとんどいなかったことに目をつけたという。大阪府での増産計画を温める佐多はつみ代表(71)は「付加価値のある作物を選んで正解だった」と語る。
外国原産野菜に詳しい東京農業大学の志和地弘信教授(熱帯作物学)は「新型コロナウイルス禍を受け、国内の飲食店で海外旅行気分を味わおうとする人が増えている」とし、「スパイスを自作する本格的な店も多く、外国野菜の需要は今後も伸びるだろう」と話す。
※読売新聞オンラインの2022年5月7日の記事(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220507-OYT1T50098/2/)より抜粋
1つの野菜の栽培を通じ、インド人と友好的な関係性を築いている内容を見て、個人的に大きな刺激を受けました。
私自身も、ハーブ・アロマを通じた世界的な交流を活性化させることで、少しでも平和貢献を目指していきたい想いがあるので、大きなヒントをもらうことができました。
日本人は、宗教的な深い信仰心というのは他の国に比べると薄く、すんなり異文化を受け入れられる部分があるので、日本に来た外国人との間でWin-Winの関係性を作りやすいのではないかという個人的な見解を持っています。
今後、日本で栽培された珍しい外国原産野菜に出会う確率が上がっていくはずなので、非常に楽しみになってきました。