今まで、北海道札幌市にあるラベンダー畑というと「幌身峠ラベンダー園」しか知らなかったのですが、植え付けラベンダーの株数で比較すると(幌身峠ラベンダー園の)約20倍のラベンダー畑が同じ札幌市内にあることを知り、衝撃を受けましたので早速取り上げます。
札幌のラベンダー畑から巨大な大仏の頭が出現…!? その正体が意外すぎた!
奈良の大仏、鎌倉の大仏など、日本には歴史的な大仏があります。その多くが遠方からでも確認できるほど威風堂々としていますが、北海道札幌市にある真駒内滝野霊園の大仏は、遠くから見ると頭だけがつき出たように現れ、「近づかなければ全貌がわからない」と、訪れる人たちを驚かせています。巨大さとユニークさで外国人の間でも人気を集めている「頭大仏」を紹介します。
Tanasut Chindasuthi / Shutterstock.com
謎の「頭大仏」、実は安藤忠雄氏が手掛けた霊園のモニュメント
大仏は仏教の流れを汲む大きな仏像の通称です。日本では奈良時代(710~784年)に聖武天皇が、東大寺に奈良の大仏を建立したのが最初と言われています。以降、現代に至るまで各地に仏像が造られています。
ラベンダー畑から出現する「頭大仏」は、実は札幌市南区にある真駒内滝野霊園のモニュメントのひとつ。開園30周年記念事業として2016年に完成しました。セビリア万国博覧会の日本政府館や、アメリカのピューリッツァー美術館など、国内外の独創的な建築物を多数手掛けてきた安藤忠雄氏が設計を担当。ドーム状の屋根から頭だけ突き出していることから「頭大仏」と呼ばれています。
真駒内滝野霊園は、札幌市内最大級の広さをもつ霊園です。公益社団法人が運営し、広大な大地に花々や緑が彩り、心安らかな空間を提供しています。モアイ像やストーンヘンジ、頭大仏など、従来の霊園からかけ離れた明るいモニュメントがあり、墓参者だけでなく観光客も多く訪れています。
真駒内滝野霊園へは、地下鉄さっぽろ駅から南北線に乗り、終点の真駒内駅で下車。墓参バスや路線バス「真108便」に乗換え、約20分で到着します。
真駒内滝野霊園に入るとまずモアイ像に迎えられる
真駒内滝野霊園に到着すると、ずらりと並んだモアイ像に迎えられます。誰もが「本当にここは霊園なのか」と驚くことでしょう。宗教との関連はありませんが、真駒内滝野霊園ではモアイの「モ」には未来「アイ」には生きるという意味があることから、先祖を祀るシンボルとして建立されました。大きいもので高さ9.5m・重さ120t、小さいものでも高さ6.5m・重さ60tもあり、その姿に圧倒されました。
日本の墓地は、正方形の墓石が所狭しと並んでいるのが一般的ですが、真駒内滝野霊園は約180万平方メートルの敷地に、さまざまなモニュメントがゆったりと設置されています。モアイ像に見守られて進むと、イギリスのストーンヘンジのようなモニュメントが出現しました。一見宗教と無縁と思いきや、永代供養墓なのだとか。斬新すぎる発想に驚かされます。
ラベンダー畑から大仏の頭が突き出している不思議な光景
ラベンダーの丘と、てっぺんから頭だけをのぞかせる大仏が見えてきました。目的の「頭大仏」の登場です。その光景はまるで異次元の世界。国内外の建築物を多く手掛ける建築家・安藤忠雄氏の作品です。頭大仏は開園30周年記念事業として建設されました。2013年10月に着工し、完成まで実に約3年も費やされた一大事業です。
真駒内滝野霊園は緑の中での散歩、休息等のレクリエーション機能を持つ公園の要素を強く押し出し、公園霊園として各礼拝施設の建立を行ってきました。頭大仏はそのモニュメントのひとつなのです。
頭大仏はもともと建設されていた「御霊供養大仏」がベースとなっています。最初に大仏を囲むドームが作られ、土が盛られて丘を形成することで、頭大仏が完成。もっとも難しかったのが、そのまわりに咲く15万株のラベンダーの栽培。ラベンダー農家のアドバイスや、ボランティアの協力により、種をまくことからはじめことで、美しいラベンダー畑となりました。
頭大仏へと続くパワースポットを進む
頭大仏へ続く道は最高のパワースポット。不思議な力に導かれるようにまっすぐ伸びています。全体が見えないことで想像力を喚起する狙いがあり、近づくほどに大仏の厳粛な雰囲気が伝わってきます。
アプローチを進むと水庭が現れました。大阪やベニスなどで水との関わりのある建築物を手掛けた安藤氏らしい提案です。この水は心を清め、非日常へ切り替える結界としての役割を果たしています。期間限定のイベントとして、約4,600輪が水庭に浮かぶ「花参道」が彩られていました。
水庭を抜けると、胎内を表現したトンネルに続きます。前進すると少しずつ姿をあらわし、天空から注ぐ光の中で全貌が明らかになります。
青空のもとに鎮座した頭大仏は、高さ13.5m、総重量1,500tの石像大仏で、57ものパーツから成り立っています。重厚かつ厳か。外国人、特にアジア圏の人たちにも人気のスポットです。ドームの中では絵馬に願いを書き込んだり、おみくじを引いたりすることもできます。なお、絵馬やおみくじは有料で、霊園の維持費に充てられています。
小さな灯りに願いを込める「メッセージ燈篭」には、訪れた人たちの思いが綴られています。そのほとんどが家族など、大切な人の健康を願う気持ちが綴られていました。
頭大仏のおすすめ撮影スポット
頭大仏周辺では四季を通して美しい光景を見ることができます。特にラベンダーが咲き誇る夏がおすすめ。7月中旬から下旬にかけて頭大仏の丘が紫に彩られ、香水のような香りが漂っています。
頭大仏に草花を取り入れることで、無機質な中に躍動感がある写真が撮影できます。頭大仏とストーンサークルの中間の土手に咲いているタンポポが素敵なアクセントになりました。
駐車場側にある花マルシェも絶好の撮影スポット。ヒマワリとラベンダー、ふたつの花が、素敵なコントラストを見せてくれました。
冬にはこんな幻想的な光景も!
ラベンダー畑も美しいですが、雪景色とのコラボレーションも見どころの一つ。頭に雪が積もり、まるで雪の帽子をかぶったような姿をはじめ、幻想的な光景を目にすることができます。
ロタンダカフェ&ストアでランチ
お腹がすいたら、頭大仏殿内にあるロタンダカフェ&ストアにどうぞ。パスタやうどんなどの軽食やコーヒー、手作りアイス専門店「ミッシュハウス」のアイスクリームなどが味わえます。アイスクリームのテイクアウトもやっていますので、車やバスの中でも食べられますよ。
Tシャツやクリアファイルなど、「ここでしか買えない頭大仏オリジナルグッズも販売しています。頭大仏写真集は日本語と英語で解説。建築家・安藤氏が滝野の大地で挑んだ新たな祈りの世界も収録。もちろん、ここでしか購入できない商品です。
期間限定で「ラベンダーまつり遊歩道(祈りの道)」も開催
7月のラベンダーのシーズンは土日祝限定で「ラベンダーまつり遊歩道(祈りの道)」を有料開催。普段はのぼることができない丘を散策できます。遊歩道チケット(500円税込)には、ラベンダー摘み取り体験がセットされています。チャンスがあれば、参加してみてください。
心が浄化される場所
頭大仏をはじめ不思議なモニュメントが立ち並び、ここが霊園であることを忘れてしまいました。「霊を供養する場所に観光客が気軽に訪れていいのか」と心配になりそうですが、宗派を問わない公園霊園であり、真駒内滝野霊園としては、たくさんの人に訪れて魅力に触れてほしいそうです。
圧倒的な存在感の中にも温かさを感じる頭大仏に心洗われる思いがしました。みなさんも札幌観光のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
●実施中の新型コロナウイルス感染症対策
店内や設備等の消毒・除菌・洗浄/除菌・消毒液の設置/お客様の入れ替わり都度の消毒/店内換気の実施/スタッフのマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温の実施//お客様へのマスク着用のお願い●外国人受け入れ対応
英語表記のパンフレットあり真駒内滝野霊園
〒005-0862 札幌市南区滝野2番地
電話番号:011-592-1223 (受付時間 9:00~16:00)
開園時間:4月~10月 7:00~19:00 11月~3月 7:00~18:00
頭大仏拝観時間:4月~10月 9:00~16:00 11月~3月 10:00~15:00
料金:なし
定休日:なしモデル:橋本真依
Text by:Masakazu※本記事の情報は2021年7 月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
※Live Japan perfect guideの2021年7月19日の記事(https://livejapan.com/ja/in-hokkaido/in-pref-hokkaido/in-sapporo_chitose/article-a1000418/?sc_cid=lj_rss_ja_gunosy_1)抜粋
霊園であること、及び、設計を安藤忠雄氏が手掛けたことにより、今まで全く見たことの無い雰囲気のラベンダー畑です。
15万株という表記と、写真から伝わるラベンダー畑の壮大さが一致するので、一度訪問してみたいです。