私自身、タイ料理が好きで、毎日タイ料理でも飽きないくらいの大好物ぶりなのですが、その要因の一つとして、タイ料理には定番の「パクチー」が好きであることが挙げられます。
パクチー嫌いで、タイ料理が好きだというひとに今まで出会ったことがありません。
パクチーが好きか嫌いかという話になると、パクチーが苦手という人に結構高確率でヒットするのですが、大好物の私からすると、苦手な人の気持ちを理解するのがなかなか困難です。。
今日は、”パクチーの好き嫌い”が遺伝子構造の違いによることが示唆されているという興味深い情報について取り上げたいと思います。
パクチーが嫌いなのは遺伝子のせい。約15%の人は嗅覚遺伝子に突然変異によりどうしても無理なことが判明
世の中には、好き嫌いがはっきり分かれる食べ物が存在するが、パクチーもその1つだろう。何を隠そうわたしも苦手だ。三つ葉やイタリアンパセリはむしろ好きなので、形状が似ているパクチーを間違って口にしたとたん、何度絶叫しそうになったことか…大人だから息を止めてちゃんと飲み込むけども。好きな人はとことん大好きだというパクチーだが、世界の人口の約15%(約7人に1人)はとことん無理なタイプが存在するようだ。私がその7人に1人なのだが、実は遺伝子が関係しているという。『Mirror』などが伝えている。
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独特の風味を持つパクチー(コリアンダー)
欧米では、コリアンダーと呼ばれているパクチーは、タイ料理やベトナム料理には欠かせない香草の1つで、その独特な風味が大好きという人は多い。
しかし、一方で「カメムシのにおいがする」「石鹸のように感じる」と、嫌悪している人も一定数存在する。
実は、その好き嫌いは、遺伝子構造の違いによる可能性があることが過去の実験や研究で示唆されている。
パクチーが苦手なのは嗅覚受容体の遺伝的変異に起因している
アメリカ、ニューヨークのコーネル大学の研究によるとは、「パクチーの味覚に遺伝的要素があり、パクチーへの嫌悪は嗅覚受容体の遺伝的変異に起因する可能性があることを示唆している」ということを発見した。
また、アメリカの遺伝子解析サービスを行う企業「23andMe」が、約5万人の顧客を対象とするパクチーの好き嫌い調査を実施し、被験者たちのDNAを比較したところ、パクチーをカメムシや石鹸の味と考える人は、人間が持つ嗅覚受容体遺伝子のひとつ「OR6A2」に突然変異を持っていることが判明した。その割合は約15%だったという。つまり約7人に1人だ。
その突然変異によってDNAブロックの一部が変化していることにより、パクチーからカメムシや石鹸臭を検出し、嫌悪する傾向があるというのだ。
遺伝子の突然変異によりアルデヒドに敏感になる
パクチーには、風味を形成するアルデヒドという芳香成分が含まれている。実験および調査の結果、OR6A2遺伝子に変異がある場合は、このアルデヒドに対して敏感になり、脳がパクチーを非食品と認識してしまうようだ。
23andMeによると、パクチーの芳香の質は数種類の物質によって作られているが、それらのほとんどが主にアルデヒドという化合物であると記している。
パクチーの味や風味を嫌う人は、不快にさせる不飽和アルデヒドに感受性があり、パクチーが好きな人が感じる爽やかな風味の芳香化学物質を嗅ぎ分けることができず、カメムシや石鹸臭や辛味を感じてしまうそうだ。
英メディアが伝えたところでは、特に女性やヨーロッパ系の女性にそれが多くみられる傾向があるという。
また、オーストラリア・ビクトリア州ディーキン大学の感覚と食品科学を専門にするラッセル・キースト教授は、遺伝子構成とパクチーへの愛憎関係について、このように述べている。
私たちの鼻には、潜在的な食品から放出される揮発性化合物を含む、大気中の揮発性化合物を特定する役割を担う嗅覚受容体があります。
嗅覚受容体の量や種類、また嗅覚受容体による自然な変化は人それぞれです。同じにおいでも、あなたが感じるにおいが必ずしも相手も同様に感じるということにはなりません。嗅覚は人により大きく異なるのです。
私の周りはなぜかみなパクチーが大好きで、「何でこんなおいしものが嫌いなの?」「新鮮なやつなら絶対おいしいからもう一度食べてみな」とか言ってくるのだが、どんなに新鮮だろうと、日本産だろうと、遺伝子のせいだからしょうがない。
パクチーが一定数苦手な人がいるという記事は前から話題となっていたが、最近大好きだった鳥塩ラーメンにデフォでパクチーが乗ってくるようになったので、この事実が広まって欲しいという祈りを込めて改めて記事にしてみたよ。
あと宇都宮にはパクチー餃子っていうのもあって、好きな人にはたまらんだろうけど、苦手な人にとっては地雷なんだよ。
written by Scarlet / edited by parumo
追記(2021/03/27)本文を一部修正して再送します。
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※カラパイアの2021年3月27日の記事(https://karapaia.com/archives/52300237.html)より抜粋
この事実を知ることで、私自身は、周囲のヒトに対する姿勢が大きく変わると思いました。
パクチーだけではなく、食の好き嫌いが遺伝子レベルに関連する可能性が高いということ知っておくだけで、苦手だと言っている人に対して、無理に勧めることの愚かさを認識できます。
香り、味というのは、個々の人間と対象との間の相互作用であることを忘れてはいけないと改めて感じました。